ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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やるしかない

「危ないことはしないでほしいのです」

 

 翌日の放課後、さっそく梨花ちゃんと話をしたら心配されてしまった。学校の教室にいるのは、竜宮さんを除いた部活メンバーがいる。部活メンバーも現状は理解できているのだろう、皆真剣な顔をしている。

 

「と、言うわけで立て籠もり事件が発生した時、皆も協力してほしいんだけどさ」

 

 彼らには雛見沢症候群について説明はしていない。そういう問題が発生した時に備えて年長組含めて話をしよう、という程で話す。しかし、彼らは竜宮さん絡みの話であろうということを察している。特に昨日竜宮さんと接触した前原君は十分に脅威を感じているはずである。

 

「もしガソリンを撒いて爆発しようとするなら、私であれば二段構えでトラップを仕掛けますわ」

北条さん(・・・・)ならどうする?」

「・・・ま、まぁ。ガソリンを撒けなくなったり何かで使い物にならなくなったら、他にも爆発できるようにしたいですわ」

「爆弾みたいな物を作るかもしれないのです」

 

 冬夜には爆弾の知識はないが、そんな簡単に作れるものだろうか。そんな簡単に図書館とかに爆弾の作り方みたいな驚異的な本があるわけでもない。

 

「時限式なら簡単に作れるかもしれませんよ」

 

 魅音ちゃんがそう言った。それは園崎家だから出来るのでは?と思ったが、不安材料は須らく把握しておくべきだろう。もしかしたら鷹野三四の手帳の中に爆弾の作り方とかが書いてある可能性もあるのだ。全てに備える必要はある。

 

「まぁ先生皆が外に出ている時に立て籠もりされる可能性も有る。皆にはなるべく冷静に対処してほしい。まぁ大丈夫だろうけど」

「はい」

「冬夜さんは、どこまで知ってるんですか?レナのこと・・・」

 

 唐突に魅音ちゃんが話をし始める。どこまで知っているのか、それは竜宮さんの容体のことなのか、それとも殺人についてだろうか。

 

「どこまで、と言われると自信がないな」

 

 ここで殺人について言ってしまうと、誰が言ったのかという問題に繋がる。梨花ちゃんは話をしてくれたが、果たして彼らはそれを知ってどう思うだろうか。どこか梨花ちゃんも申し訳なさそうな顔をしている。

 

「北条鉄平と間宮リナ、聞いたことはありますか」

 

 ここまで言っているということは、間違いなく魅音ちゃんは現状を理解しているのだろう。どうやって知ったのか、という内容はもはや関係ない。

 

「知ってる。彼らの顛末も、ね」

「そう、ですか」

 

 魅音ちゃんだけではない。前原君も沙都子ちゃんも顔を伏せた。

 

「顔を上げなさい。君たちが覚悟があるならば、しっかりと前を向く必要がある」

 

 冬夜は毅然として言う。本来であれば彼らの行動は法の下で裁かれるべきことである。今見過ごしている状況は先生という立場だけでなく人として許されないことだろう。しかし、冬夜には遺棄をした時の皆の顔を想像してしまったことで、警察にも言うことができなくなった。

 冬夜は自分のしていることが全て正しいと思ったことはない。しかし、今の彼らを咎めるべき人物である立場ではあった。それが、『地田冬夜』という人格がもし無くなってしまった時に、自分のしたことに後悔しないためでもある。

 

「俺は今回目を瞑る。俺は何も知らないし、さっきの事も何を言ったか忘れた。それでいいじゃないか」

「・・・はい」

「さぁ、話を戻すけれど。今回立て籠もりをする人物は用意周到の可能性がある。もし爆弾を仕掛けるというならば襲撃をする前日の深夜に仕掛けるだろう」

 

 冬夜は考える。そもそも爆発をさせないようにするならば、その用意してきた道具を使い物にできなくすれば良いのだ。ガソリンで放火するというならば、隙を見て火を奪わなければならない。

 

「そもそも立て籠もりをさせない、というのはできないんですか?」

「俺が凶器を持った人に対して戦えるなら良いんだけどね」

 

 必ず竜宮さんは鉈を持って襲撃するだろう。そもそも前回の園崎詩音の時は捨身だったからできたのであって、今回は失敗は許されないのだ。失敗して殺されてしまったら、死体が一つ増えたぐらいで通常の立て籠もりが起こることだろう。

 

「園崎家で事前に保護というのは・・・」

「魅音、あのレナなら保護は難しいかもしれねぇ」

 

 前原君の言った通りである。保護できるならば別に警察に頼んでも良いのだが、雛見沢症候群を発症した人間を保護するのは危険であろう。どちらかといえば精神病棟とかの方が良いのかもしれない。

 

「じゃあレナが犯罪を犯すまで待ってるんですか!?」

「そうだ」

 

 ハッキリと答える。他に方法があると思えない、そう結論づいた答えだった。もう少し時間があれば答えは変わっていたのかもしれない、今できることをするしかなかった。特効薬があれば話は変わっていたかもしれない。

 今の状況であれば間違いなく竜宮さんは立て籠もりをする。それに対応ができる存在というのであれば警察や園崎家の荒事に慣れた人材ぐらいだろう。

 しかし、警察の大石さんはどういう意図か分からないものの竜宮さんと関係を持っている。下手に彼に会って問題を大きくしたくない。園崎家の人間もそうだ。竜宮さんは昨日会った時に言っていたが園崎家を怪しんでいるような事を言っていた。こちらも関わらせたくない。

 

 覚悟を決める必要がある。この荒事を問題なく治めるために、竜宮さんを犠牲にする必要があるのだ。反吐が出る。自分の無力さに腹が立つ。

 

「皆には悪いけど、その間はなるべく行動を控えてくれ。相手を刺激したくない」

「・・・分かりました」

 

 魅音ちゃんはあまり納得はしていない様子だが、それでも頷いてくれた。彼女には無理をさせているかもしれない。申し訳なかった。

 その後は誰もが無力さを感じながら、それぞれの家路へ向かう。魅音ちゃん、前原君、梨花ちゃんと沙都子ちゃん。皆まだ子どもだ。無茶なお願いをしてしまったと思う。だが引き返せないのだ、問題が起こるまで待ち続けるという無茶苦茶な作戦、それで良かったのかは分からないが、それでもやるしかない。

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