ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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運命の強制力が強すぎる

 結果から言えば、入江監督の動きは早かった。彼は優柔不断な所があると梨花ちゃんから言われていたのだが、それは良い意味で裏切られたと言えるだろう。翌日には富竹さんを含めて四人で話をすることができた。

 

「簡単な話は聞いているよ」

「富竹さん、入江先生、ありがとうございます」

 

 今いる場所は古手神社の境内。明日になればここも綿流しの準備で人の出入りも多くなるだろう。つまり密会ができるのは今日だけになる。

 

「鷹野さんがレナちゃんの症状を悪化させていること。そして梨花ちゃんを殺す可能性があることも聞いている。・・・本当なのかい?」

「今の所一番怪しいと睨んでいます」

「正直信じられない。彼女は雛見沢症候群の根絶を心から願っているはずだ」

 

 鷹野三四の人生というものを冬夜は知らない。そもそも動機が見えてこないのも問題ではある。

 

「信じる信じないは良いんです。誰かが梨花ちゃんを殺そうとしている。富竹さんならどう動きますか?」

「よほどの事態であれば番犬部隊を出す。けれど、今の状況であれば山狗部隊を動かすだけで精一杯かもしれない」

「なるほど・・・」

 

 その山狗部隊がどれほど助かる存在か分からないが、富竹さんと入江先生の二人が言うのであれば大丈夫なのだろう。まぁ他にも何かしら用意するべきか。

 もし鷹野三四が黒幕なのであれば、彼女について詳しく調べるべきか。

 

「雛見沢症候群についての実験は残り2年と決められています。それまでには沙都子ちゃんも竜宮さんも治せる薬を作ります」

「期限があるんですか。確かにそうですよね、実験にはお金がかかりそうですし」

 

 そうか、2年以内であれば彼女たちも安心に暮らせることだろう。

 

「2年以内で病気を調べられなくなることに自暴自棄になる、そういうことは有りませんですか?」

「え?」

「ずっと調べられていたいことや大事な物が取り上げられるなら、自棄になるかもしれないのです」

 

 滅茶苦茶腑に落ちた。鷹野三四という人物がどれほど雛見沢症候群について熱意を持っているか知らないが、よほどの事情が有るのかもしれない。

 

「・・・可能性はある。山狗部隊と番犬部隊、両方に対応を願い出るとするよ。何もなければそれはそれで良いもんさ」

「ありがとうございますなのです」

 

 鷹野さんを疑うのも気が悪いのだが許して欲しい。今は犯人を絞りたいのだ。もちろん、今回で黒幕の凶行を止めたい。前回は富竹さんは信じてくれないような雰囲気ではあったが、梨花ちゃんのフォローのおかげで無事に話を通すことができたのである。

 薬の存在を知れたのも大きい。これで必ず治せるというわけではないが、症状を抑えられるのだ。その存在が知れただけでも大分進捗があるといえるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 問題は翌日発覚した。もう胃が痛い。今いる場所はガンガンにエアコンをつけた車内だ。運転席にいるのは大石さん。助手席には熊谷さんもいる。

 

「今日の朝なんですがね。興宮と雛見沢の中間付近の道路で富竹ジロウさんと入江京介さんのご遺体を発見しました」

「死因は事故死っす」

 

 昨日話をしてすぐの事である。二人が興宮へ向かう道にある崖に車ごと転落をしたということらしい。ガードレールは有ったのだが法定速度を超える運転をしていたらしく、ガードレールを破壊するほどの速度で突っ込んだそうだ。

 

「一昨日は入江京介さんとエンジェルモートでお話をしていたようですね。昨日には富竹さんも雛見沢へ来ていたという目撃情報があります」

「そうですね。一昨日エンジェルモートで会ってます」

 

 一番怪しい人物と思われるのも仕方が無かった。大石さんとは今は会いたくなかったのだが、まさかこのような形で会うとは・・・。

 

「ずいぶん冷静ですね。人が亡くなったんですよぉ?」

「冷静でないと気が保てません。叫べばいいんですか?そうじゃないでしょう」

「・・・」

 

 大石さんはポケットから煙草を取り出して吸い始める。冬夜は煙草を吸ったことはない。少しだけ咽た。

 

「冬夜さんはどう思いますか?今回の事故」

「雛見沢連続殺人事件、ですかね」

「私はそう睨んでます。一昨日、入江京介さんとは何を話していたんですか?」

 

 心臓がバクバクと音を立てる。あの二人が殺された以上、冬夜も梨花ちゃんも危険な状態だ。早く梨花ちゃんと話をして対策を練る必要がある。

 今目の前にいる大石さん。彼が今信頼できるかどうか分からない。竜宮さんと協力関係にある彼をどこまで信用するべきか・・・。

 

「お話、してくれませんか?」

「その前に、大石さん。あなた竜宮さんと協力関係にあるという事ですけど、どうなんです?」

「・・・えぇ。竜宮レナさんとは連絡を取り合っていました。今はどうやら行方不明のようですからねぇ。捜索しています。S号絡みでしょうが」

 

 園崎家は遺体遺棄に関わっているのかもしれないが。行方不明は違う。

 

「なぜ協力を?」

「それを言えば、一昨日の件についてお話をしてくれるんですよね?」

「えぇ、もちろん」

 

 状況によっては嘘を言うがね。今竜宮さんと協力関係にいる彼に、不要な情報を伝えたくない。何かをきっかけに竜宮さんに情報が行き渡ってしまったら、おそらく立て籠もりに対して色々と対策を練られる可能性がある。

 

「竜宮さんの持つ、黒い手帳。あれには雛見沢に関する黒い歴史があることでしょう。園崎家に関することも・・・」

「は?」

「富竹ジロウさんの恋人さん。鷹野三四という女性の手帳です。今日には予定を組んでお話をするつもりだったんですが、お二人の事故死以降連絡が途絶えています」

「まさか、あの手帳を信じてるんですか?宇宙人説を?」

 

 もう定年間近で焦っているのかもしれないが、あの手帳を信じるのは雛見沢症候群感染者ぐらいだろう。正直あの手帳はオカルト雑誌レベルだというのに。

 

「鷹野三四の連絡が途絶え、今は竜宮レナも失踪中。あの手帳を中心に多くの犠牲者が出ている。それならば手帳に大きな闇が書かれていることでしょう」

 

 本気か?大石さんと熊谷さんの顔を見る限り、真剣そのものだった。これでは入江先生の話もぼかした方が良いかもしれない。

 

「入江先生と話をしていたのは記憶喪失についてです。少しばかり思い出しましてね」

「古手梨花さんも一緒にいらっしゃったんでしょう?」

「梨花ちゃんのおかげで思い出したんですよ。その情報を伝えるために三人でお礼がてらにエンジェルモートで話をしました」

「そうですか、記憶が少しでも思い出せたようでおめでとうございます。どうでした、自分の身元が分かるような情報などは分かりましたか?」

「いやぁ、正直田舎暮らしだったことらしい、としか分からないです。名前も思い出せません」

 

 あぁもうどうしようもない。協力者は全員死ぬか怪しい人物しかいなくなってしまった。これではこのループで勝てるかどうか分からない。いっそのこと梨花ちゃんを連れてどこかに逃げるか?

 

「そうですかぁ。それなら仕方がないですね。竜宮さんを発見したら警察に連絡をしてください」

「分かりました」

 

 胃が痛い。時間を見て梨花ちゃんに説明をしなければ・・・。

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