爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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爆発オチなんてサイテー!とは誰の言葉だ?

爆発オチなんてサイテー!…とは誰が言ったのか。

 

走馬灯のようにあらゆることが脳内を駆け巡る。

ここは戦場、敵味方が血の香ばしい臭いと土の味と時々火薬の染みる音が鳴り響く。

そんな中で一人の少年兵が地雷を踏んで吹き飛ばされた。それは走馬灯ぐらいあるだろう。

酷い末路だが、自分の身に降りかかればそれはそれはサイテーな言葉である。

この言葉の主もそう思ったのだろうか。何たる豪傑か豪胆かとなるほど天晴れである。

 

…ここまでダイジェストにフレキシブルな思考だ。

だが、死ぬのはあるとして前世など存在するのか、ましてその記憶というのは有り得るのか。

前世、生前というべきか。いきなり脳内に出てきた言葉。

そこからドンドン流れ込む前世の記憶。

…今まさに死ぬのかもしれないのにいるのかその知識は。

 

私の経歴など前世に比べれば一言で終わる。

孤児が使い捨ての弾として鍛えられ、死ぬ。ただそれだけ。

前世は知識からするに平和な世界だったようだ。

 

思い出されるは前世での平和、平穏、他殺、毒殺、監禁、脱出、強奪、安寧…。

 

訂正、前世の自分は頑張っていたようだ。

現在進行形で後数秒の命、地面と頭がぶつかり潰れるその時すら足掻いていただろう。

自身の自由と平穏の為に。…世界中から取り寄せた甘いお菓子を貪りながら。

 

私に、俺に足りないものを見つけた。空虚な人生でこの甘美な記憶を再現する。

まだ死ねない。俺は生きたい、生きるのだ。生きたい!!

 

生まれて初めて抱いた感情と共に心臓の音が何よりも大きく響き渡った。そんな気がした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇とある戦争の絶えない国の将軍

 

使い捨ての弾は消費され地雷の中の道が開けた。

所詮は孤児。この世に存在する価値もないにしては上出来だ。

 

考えるだけ無駄だと戦地を俯瞰する。自身の『覇気』の応用だ。

 

戦争で生計を立てているこの国では『覇気』と言われる技術を使える者が稀にいる。

自分の覇気は戦場の俯瞰できる視野ともいえるものだった。

『覇気』に関してはよくわかっていない部分も多い。

肉体を黒色へ変化させ銃弾や斬撃をも無効化する者等もいる。

覇気を使うのは消耗が激しいため乱用はできないが、自身の将軍としてこうも便利な能力もない。

 

自身の作戦どおり本命が突撃を駆けるのが見えた。

…その路は既に弾を使い切り開いた。これで両翼に展開している軍とで包囲が完成する。

確認が終わり、体力の消耗を抑える為に見聞色の覇気を辞めようとした。

だが、その瞬間、何かが戦場を見えなくした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

後から来る友軍が何かを見て驚いていた。

俺だけはそれが何かを理解していた。

 

俺に驚いている。

 

死にかけの少年兵が何かを起爆させて衝撃を緩和させて、死ぬ運命を覆した。

その何かは俺自身もわからない。だが、この世界には未知の何かが存在する。

無線も無しにこれほどの統率が取れる軍隊がいる。友軍にはこの使い手がいる。

俺にも聞こえると表現すれば良いのかわからないが、理解した。

鉄には鉄の、人には人の、声がある。声が悲鳴を上げては消えて行く。

この声に対して平常心でいること、それを使って戦争をしている上がいる。

 

この中の友軍ではない。慌てて俺へ発砲命令を出す不慣れな指揮官。

俺が味方だと認識できない程に恐怖している。

この力は平常心で使われるものだ。

もうそれらの撃たれる瞬間やどこへ飛ぶのかも理解できる。

 

だから、俺は逃げることにした。既に逃走経路は『見取った』。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

それは戦場に何の変化も齎さない小さな出来事であった。

地雷で死んだと思われた少年兵が生存しており、後詰の部隊隊長が発砲命令を出して戦死した。

実績作りの為の部隊長の思わぬ些細な失敗は勿論隠蔽された。

何よりその後の戦場での後詰は滞りなく行われた。

 

ただ一人、その国の将軍に何かを思わせただけの些細な出来事だった。

それも次の戦場に思考を割いていく中でその出来事の全てが消え去った。

 




〇戦争の絶えない国
グランドライン前半にある軍事国家。なお、ガルツバーグではない。
孤児を少年兵を仕立て上げ即席の弾避けにするくらいには非道な手段も用いる国。
覇気使いが何人かおり、前半の海で略奪国家している。
覇気を理解して使いこなしているわけではなく、戦争等で稀に覚醒する力を『覇気』と呼ぶくらいしか知らない。見聞と武装の区別は名称は違えども一応ある。

・将軍
見聞色の覇気の使い手。空島編の神官程度に見聞色の覇気が一応使える。
だが、消耗が激しいためここぞという時にしか使わない。
覇気を鍛えるという発想はあるが、常時戦争して稼いでいる国なので余計な体力が使えず平常心でいないといけないため中々上手くいかない。

・不慣れな指揮官
実績の為に親のコネで勝てる戦いに放り込まれた士官候補生。
コイツでなく他の指揮官なら『覇気』に目覚めた少年兵と判断されて保護された。
ある意味主人公的には救世主。国にとっては損失を招いた戦犯。
主人公へ爆発オチなんてサイテーな発砲命令をしたので親も含めて隠蔽工作を頑張った。
なお、その過程で隠蔽工作の才能があることが発覚したのでその路に進むことになった。

・主人公
戦争孤児(5歳)。親にコネも祖父母等家族もいないので不要な人材として人弾部隊へ入れられた。
前世知識前までは徴兵も両親の下へ行く準備と考え生を諦めていた。
生前の両親が買ってくれた北の海の絵本『嘘つきノーランド』は嘘ではなく本当ではないかと思っていたファン。
なお、現在は前世知識と如何に生き残るかでそれどころではない。
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