爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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「面倒臭いのでいらない」

〇海軍本部第8支部、会議室

 

つい先ほどウォーターセブン近海にて起こった歴史的大事件、否、未遂事件について支部を代表する佐官達が集まっていた。

 

ローブスター中将を始め、その場にいた佐官達はその事件をたった一人で解決してみせた『民間人協力者』の話をただただ黙って聞いていた。

 

「…以上です。ローブスター中将、何か他にありますか?」

民間人協力者の男は“ほぼ”事実通りの報告を終え、この支部のトップに確認を求める。

民間人協力者という肩書で二年間あの一帯の大規模テロを未然に防いでいた。

それ故にここにいる佐官達と政府上層部以外は彼の表向きの異名『プッチの英雄』という程度しか知らない。

 

「あの爆殺魔ノベルを一人で…」

ローブスター中将が質問する前に誰かが言葉を漏らす。

…誰もそれを叱責しなかった。皆が同じことを思っていた。

相手は戦略兵器を超える威力の攻撃を無尽蔵に使える大海賊だ。

今が平時ならば大将案件だった規模の大戦果だ。

 

現在、ロックス海賊団という危険分子のあらゆる場所で凄まじい規模の悲劇が起き続けている。

海軍が後手に回る中、ほぼ唯一被害なしで収めて見せた。それもたった一人でだ。

 

「彼女は極悪非道ですが、中々に気骨ある人でしたよ」

男は場の空気等気にしないように海賊を評価した。

…これが海軍所属であれば叱責ものだが、海軍ではない上に功績が功績だけに誰も止められない。

 

「部下達の仇討ちの為に今海域での最後の作戦に自ら出陣、最後は仲間の秘密を守るために能力を使って爆死です」

男は淡々と爆殺のノベル最後の大作戦を語る。

大規模な殺戮者にして大海賊のこれ以上ない程、見事な最後である。

 

「それは確かなんだろうな」

ローブスター中将が念のために男に確認した。…肝心な海賊ノベルの最後を男以外誰も見ていないのだ。

海軍は本来ならば男の事前の通報が入るはずだった。だが、今回だけは市民の通報から全力で駆け付けるしかなかった。

 

ローブスター中将はウォーターセブン近海での大津波を止め、ノベル程の海賊と交戦する羽目になったと聞けば通報する暇はないのは当然であるとも思った。

だが、男の言葉が本当か確認しなければまた同規模のテロが発生するかもしれない。

 

「もう今回と同じテロは起きないはずです。ノベル自身が最後のケジメとしていたので…」

男はローブスター中将の懸念を汲み取ったのか、必死に思い出すように言葉を絞り出す。

大海賊ノベルのケジメ。エニエスロビー近郊での作戦の責任者だった女海賊自身がやろうとした。

これは間違いないとローブスター中将は確信した。他の佐官達も同様だった。

そもそも男が何か隠す意味もないと誰しもが思うはずである。

 

「ニトニトの実の覚醒した能力で洪水起こしてこのG-8まで壊滅させる気だったようです」

男はノベルの極悪非道な大殺戮計画を語る。

その場に居合わせた誰しもが思わず息を飲む。…流石にそのような計画等信じられないという佐官も多い。

 

だが、

「おい」

ローブスター中将は今事件の情報統括担当に事件の目撃情報を語らせるように合図する。

新世界、後半のグランドラインの化け物達を知らない身内の為だ。

ローブスター中将からすれば過去に自身が戦った巨兵海賊団の船長達ならそれくらいは普通にやってのける確信があった。…やるかどうかは別として。

 

「はっ!…確かにウォーターセブンでアクア・ラグナ級の津波が大勢の市民に目撃されています」

ローブスター中将の合図を受け情報統括担当は前へ出て発言した。

アクア・ラグナ。人類が起こせない規模の高潮である。

G-8の面々ならば知らぬ者がいない事例を引き合いに出す。常識で考えれば、人類が起こせる規模とは思えない所行だ。

驚く佐官達。

だが、担当者はまだ皆が驚くのは早すぎると思った。…文字通り、桁が違うのだ。

 

「津波は進路上で凍結、その後砕けて爆発しました。また、同程度以上の爆発十数回以上が多数の市民から目撃されています」

情報を纏めた担当は何枚かの証拠写真を張る。

ウォーターセブンの市民達が撮影したものだった。大規模な津波、凍った津波とその爆発。

更に遠距離からの撮影だが、規模が大きすぎて写真に写る程の大爆発の連続写真。

 

ざわつく会議室内。そこにいる皆がウォーターセブンからG-8まで滅ぼせる力だと確信した。

 

「…凍らせたのは悪魔の実の力か?」

ローブスター中将は凍らせたのは何なのか気になり言葉に出してしまう。

無粋な詮索だが、悪魔の実の能力を今の今まで使わなかった理由がわからない。

 

「悪魔の実でないのですが。血流コントロール出来るようになれば使えます」

そう言って男は自分の持っているコップの水をいとも簡単に凍らせる。

 

「誰か海楼石の手錠持っていませんか?それに触りながら凍らせますので」

男はまるで宴会芸でもするような調子で周囲の佐官に聞いた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

男が悪魔の実ではない技術であれこれ凍らせるのを周囲の佐官達は確認した。

どうやっているのかは説明されても欠片も再現できる者はいなかったが。

観察していた軍医が髪まで操れる特殊な肉体操作技術の応用だと言葉を述べた。

 

なお、20歳になり昇進したイタミ中佐は男が少しぐったりし過ぎているような気がした。

今の今まで戦って更に報告となり、気疲れなのだろうが随分珍しい光景だと彼女は思った。

 

「…物を凍らせる技術があるのであって、悪魔の実の能力を報告していなかったのではない」

ローブスター中将は一先ず話を打ち切った。男が相変わらず真剣な空気をぶち壊すようなあれやこれやをするので止められなかった。

だが、本当は男が悪魔の実の能力を使えるのではないかと思っていただけに内心驚いていた。

 

そして、

「それよりどうします?流石に新世界の大物をぶち殺したとか言われると私の今後の生活が困るんですが」

男が自分の功績を面倒臭いのでいらねぇとぶちまけた。

 

 

 




・ローブスター中将
想像以上に元不法航海の不審者が正義感強くて驚いた人。
プッチの英雄と呼ばれたのも合わせれば男が三年間も人生何周も遊べる額の懸賞金すら霞む程の成果を出し続けていた。
懸賞金もいらないと殆どを慈善活動に投じ、趣味にしか使わないので性格は非常に面倒臭いが海軍に欲しいとすら思い始めている。
また、二年前から儂よりこいつ強くない?と思っていた。
最近世界中で荒れた海を守る為に、老体に鞭打って鍛えなおしている。だが、全盛期には遠く及ばないので歯がゆく思っている。
なお、ノベル海賊団を捕まえられなかったが、爆殺する能力とそれまでの経歴を考えれば自爆するのも納得しかないので全く疑っていない。

ロックス海賊団に詳細不明ながら本命の作戦とやらがあると男から個人的に報告を受け、本部へ即通報した。

・イタミ中佐
ロックス海賊団以外にも滅茶苦茶海が荒れている為、武勲をガンガン稼いでいる女海兵。
男の微妙な変化に気づくようになったが、大体菓子やらで誤魔化されている。
相変わらず性格に難のある男の窓口係である。同時に慣れたのか休日に男の店に行ったりしている。

・佐官達
支部全体を単騎で落とせそうな新世界の大物が出てきたことに驚愕している。
一年前より情勢が一気に悪化し、正義の為にフル稼働している要塞で男がいなければ対応不可能と断言できた。
部下達が正義に力がないことを嘆く者と奮起して努力を重ねる者に別れ始めている…かに見えたが男がチャチャ入れて来るので全員半ギレで鍛錬をするようになっている。
部下達に発破をかけてくれたことに感謝をしているが、イタミ中佐が何か男の店に行きつけになっていると聞き撃ち殺しても良いかなと思ってもいる。

・民間人協力者A
悪魔の実の能力をとことん隠し続ける男。遠目過ぎて市民からも戦闘はわからない。
海楼石に触れてもバレない程度に動けるように訓練し続けていた。
イタミ中佐にバレそうだったので地味にショックを受けている。
後、海軍関係者の嫉妬が怖いのであまりイタミ中佐に店に来てほしくない。

ノベル海賊団が戦死したと世界政府に認識させることに成功した。
秘密基地って素敵な響きだと考えている。
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