爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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慈善活動

 

〇美食の町プッチ『フォーザデッド2号店』応接室

 

美食の町プッチのやや町はずれに営業する。フォーザデッド2号店。

美食の町プッチの英雄が営業する店として有名である。

この町、プッチで海賊等が暴れるとその店主が即鎮圧しに来る。

店に店主がいないことが多い為、プッチでは珍しいテイクアウト専門店である。

町一番の菓子屋と評判のため、店主の不在が長いと即完売してしまうのが難点だ。

 

その有名店の店主は応接室でパティシエの帽子を外して会話していた。

相手はシスター服で身を包んだオレンジ髪の美女だった。彼女の名はセフィ・ローズ。

この時世で幅広い国々で慈善活動に取り組む団体の代表であった。

捕まえた犯罪者の懸賞金の大半を慈善活動に投じているプッチの英雄。

それを受け取っているローズは時折会っていても不思議ではない。

 

そして、今回も普段通りその個人としては破格の資産の出資先について話していた。

…いつも通りその中の一部について話していた。

どこもかしこも余裕がなく、貧富の差に無頓着な世界の国々の王や貴族。

現在、この男が団体の活動を裏から支えていると言っても過言ではない。

ローズはこの数年で男の勧め通りの活動で多くの人々を救えていた。

 

「戦災孤児とその関係者合わせて30人。…この子達も特別に対応した方が良いのかしら?」

ローズはプッチの英雄に『特殊な』子ども達について尋ねる。

ローズとしても重要なことなので念のため男に確認する。

 

「そうですね。彼等は少々特殊な経歴なので」

男は先日のやり取りを思い出しながら、その認識で間違いないとローズに返した。

 

「わかったわ」

ローズは男の言葉を聞き、ため息を吐く。どこかの船の乗組員の人数のようだと思った。

 

「経歴については聞かなくて良いので?」

男はローズのため息を見て、念のために尋ねる。聞かれれば答えるくらいには信用していた。

 

「ふふっ…英雄さんの頼みですものこちらで何とかしてみせるわ」

ローズは茶化すように男へ笑みを見せて言葉を返した。

 

「あなたも随分と珍しい方ですね」

男はそれならいいやというように言葉をひっこめた。

…英雄とやらは誰もが魅了されるローズの笑みをしれっと交わした。

 

「貴方の理想は私達の理念と合致しますもの」

ローズは少しだけ思うところがあるが笑顔のまま返す。

心の底からそう思っているので嘘は全くない。

 

だが、

「すみません。間もなくお客さんのようです」

男は話の腰を折ったことを謝罪する。

ローズは態々対応するということは面倒な客なのだろうと察した。

…同時に流石にイラッと来た。

 

「あら、私もケーキ買って行こうかしら?」

その面倒な客の前に自分が出て行ってやろうか。ローズは内心思いながら男へ言う。

 

「今日はセフィさんの誕生日ですからね。ただで良いのでお好きなものをどうぞ」

男はキチンと誕生日を覚えていた。面倒な客の前に対応するくらいわけないと返した。

ローズは肩透かしを食らったような気分になった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇フォーザデッド2号店内カウンターテーブル

 

「いらっしゃいませ。イタミ大佐殿」

店主はお得意様の客を迎え入れる。

他の客もいるので内心が漏れないようにしているが本心から嫌だなぁと思っている。

 

「こんにちは!…何か今日機嫌悪くないですか?」

獅子奮迅の大活躍で有名な支部のアイドル、イタミ大佐は不思議そうな顔で店主に尋ねる。

イタミ大佐は男との長い付き合いで大体機嫌がわかるようになった。

 

「…ケーキを買いに来たんのでしょうが、追及するということは聞きたいんですね?」

男はイタミ大佐に八つ当たりすることに決めた。郵送予約も受け付けているのに来る方が悪い。

 

「あ、いや、その」

イタミ大佐は面倒臭い男の地雷を踏んだと悟った。

 




〇フォーザデッド2号店
美食の町プッチの町外れにあるテイクアウト専門店。
その場で飲食可能なカウンターテーブルもあるが、顧客の要望に応えるかは店員の裁量に任せている。
海軍基地に作ったクッキー製造工場のように全自動で出来る格安品から一つ一つ手作りの菓子まで幅広く扱っている。
店主の長期不在用に全自動工程の量産品があるのだが、安くて美味しいと評判で需要が高い。

店員は技術がいらないため、徒弟というよりもバイトに近い。
海賊被害等で失業した者という条件で雇っている。
家族を養える程度には給与も出している上に望めば再就職先の斡旋まで行っているので職業倫理感は高い。
もし、本格的に菓子作りを学びたい場合は最低限教えてから元弟子の1号店を勧めている。

・セフィ
慈善活動に精力的に取り組んでいるシスター。
ロックス海賊団のせいで、世界中で大規模な事件が起こって活動資金すらままならなくなっていた。
三年前、莫大な資金提供を申し出た男の話に乗った。
結果、慈善活動の他に戦災後の都市復興等にも加わって世界規模で影響を与えつつある。
男の『拾った』孤児達に特別な対応をしているが、些細なことである。

・イタミ大佐
中佐からすぐ昇進した女傑。20歳で武装色・見聞色も身に着けた二刀流の剣士。
業者の若鮎と蓼丸という二振りの名剣を20歳だからという謎の理由でとある男から押し付けられた。
それまでの剣も大切にしているが、貰った剣でそれまで以上のポテンシャルを引き出せている。店に来るときまで帯刀している。
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