ロックス海賊団全盛期とも言える時代、世界の海は荒れに荒れ、国々は荒廃していた。
ノベル海賊団を討伐した男は航海許可証を手に入れた当初の目的を果たした。
そして、男はプッチ近海の国々からこの荒れた海の治安維持が依頼された。…海軍は頑張っているが、誰の目にも海軍だけでは手が足りていなかった。
プッチを含む近隣の世界政府加盟国が連名で男に自由な航海が許可、否、求めた。
男がノベル海賊団討伐した状況証拠を国のトップ達は知っていた。何故、広められないのかは謎だが、『英雄』は今まさに必要とされている特級戦力であった。
男は本業を疎かにしたくはないと言ったが、各国連名で永年航海許可証を提示されて渋々引き受けた。
男は複数の世界政府加盟国の推薦で航海自由権を手に入れた。
最も、犯罪をしないで治安維持に協力するという条件付きではあったが。
〇カーニバルの町サン・ファルド近海
男は想定外過ぎる自由を手に入れた。そして、周辺国の希望を叶える活躍をしていた。
運の悪い、性質の悪い犯罪者の大半は捕まり、海軍へ直送コースである。
周辺の海軍も男がいる範囲に割く戦力が減り、荒れた海で全力を発揮できている。
最早、周辺の海賊からは『魔海』と恐れられ、出来得る限り近づかなくなっていた。
なお、近づかなくとも男が海に出れば必ず誰かは捕まる。…海賊達は神へ祈って航海した。
その日、男はいつもとは毛並みの違う犯罪者を捕らえていた。
「人攫い屋か。人身売買ね…」
男は捕まえたゴミを見て呟いた。
人身売買は世界政府でも犯罪としている。
賞金稼ぎのように兼業する者もいるのでお目溢しされる事例もあるが、当然男からすれば論外である。
「…待ってくれ!非加盟国のガキどもと魚類だぜ!なぁ、見逃してくれよ!!」
捕縛された人攫いの一味のボスは男にそう叫んだ。
今まで見たこともない強さの化け物には脅しも懐柔も全く意味をなさなかった。
しかし、捕まれば後がない。無駄であろうとも必死にそう乞うしかなかった。
「煩い。煩わしい。黙れ」
男はそう吐き捨てて、ボスをボウリングの玉に見立てて一味にぶち込んだ。
「「「ウギャア!!」」」
飛んで行ったボスが人攫いをストライクで押しつぶす。
…全員、死んではいないが最早瀕死であった。
「…っと、申し訳ない。今解放するので待っていてくれ」
男はそんな人攫い一味を無視して被害者の拘束を解くことにした。
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被害者全員の解放が終わった男は捕まったナマズの魚人と対面していた。
…一番反抗したのか怪我が酷いと思った。なお、人攫い一味は怪我どころではない。
「…礼は言わんぞ。人間」
ナマズの魚人は人間への憎悪を隠さずに吐き捨てた。
その言葉を聞いた解放された同胞達が目の前の強者がキレないかと慌てていた。
「まぁ、恨んで当然というか…家の店で怪我治していきません?」
男は魚人差別の酷さを読み取っていたので、怒りはしないで怪我を心配して言った。
なお、人攫い一味は瀕死である。恩ある解放者とはいえ同一人物の言葉に思えない。その場にいた全員が思った。
「この程度、魚人にとって…うっ!」
ナマズの魚人は自分が大丈夫に見せようとして傷が開いてしまった。
気合で何とか保とうとしているが、明らかに無茶であった。
「兄貴!大丈夫ですか!?」
スズキの魚人である弟分がナマズの魚人を心配して駆け寄る。
解放した男はスズキの魚人に救急セットを黙って押し付ける。
スズキの魚人は応急処置しろという意味だと悟り、感謝の会釈をしてから応急処置を始めた。
「…魚人のお医者さんが知り合いにいるのでそこへ行きます」
男は海軍の駐在所に人攫い一味をぶち込んでから人嫌いの魚人の医師のところに行くことにした。
幸いナマズの魚人は生死に関わる程の怪我ではないのでそれくらいの時間はあった。
そして、
「そして…君達、どうする?帰りたいなら送っていくけど?」
男は人攫いに遭った非加盟国の少女達へ声をかけた。…実年齢で言えば同年代かと男は思った。
子どもを攫った悪行にキレかけたが、同年代。どうしてこうなったのかと軽く現実逃避していた。
・ロックス海賊団
原作40年前の全盛期。ロックスの時代と呼ばれた後世からも忘れたい悪夢の時代。
本当に世界中が滅茶苦茶になり、海賊のレベルも段違いになっている。
それに合わせるように世界中の悪党が跳梁跋扈している。
・プッチ及び周辺各国
状況証拠からノベル海賊団という怪物を止めたと確信している。流石に当事者なので隠蔽しても男の活躍から推察できた模様。
男が何故名乗りでないのかわからないが、勝手に世界政府の圧力と思っている。
事実、他の国々では世界政府の威信が少し持ち直したのでそう思うのも無理はない。
国が亡ぶ寸前だったのを救ってくれたことに感謝しているが、ガチで世界中が荒れて国が危ういので航海許可証を加盟国名義で勝手に出した。
各国連名の特使を派遣し、もうなりふり構わないくらいにお願いした。
男は取り敢えず関係各国へ菓子を送った。本人曰く「頭に糖分足りていないと思ったから」とのこと。
流石に本当に信頼できる相手にしか愚痴っていない。
・プッチの英雄
最大の脅威は除いたので航海自由権を返そうとしたらプッチ市長に全力で泣きつかれた男。
裏で荒廃した町を復興、その維持できる人材を世界政府加盟国・非加盟国問わず世界各国へ派遣したりしている。
将来的に航海自由権自体は欲しかったが、世界政府加盟国連名で出されたので少し引いた。
店に週2くらいしか滞在できていない。なお、各国もそこまで求めていないくらい活躍している模様。
・世界政府
戦力が足りないので本当は取り込みたいが、加盟国が連名で先んじて男へ権利を認めた上に想像以上に治安維持になっているので追認した。
裏がないかサイファポールを使って調査もしたが、男がガチで店やりたい善良な市民だとしか考えられなかった。このまま現状維持というか放置することにした。
・海軍(G-8)
男の来訪が週1どころか4か5に増えた。
功績的にイタミ大佐を本来であれば更に昇進させるべきだが、上に引き抜かれると困るので現状維持にしている。
後、性格に難のある男の対応として最適と残されている。名刀二本渡しているってそういう事なのかと思っている。
・人攫い
『魔海』に近づかないように気を付けていたのに捕縛された。
非加盟国と魚人ならセーフじゃないかと思ったがアウトだった。
人間の少女だけなのは纏めて売れば高くなると思ったのと、一部逃げられた上に歯向かって来た少年達を殺してしまったから。
一応、懸賞金5500万ベリー押し売りのホーフェン。ロックスの時代となり、懸賞金のインフレが激しくなっている。
・魚人
数人纏めて捕まえられた魚人達。労働力として高く売れると期待して魚人島で捕縛した。
ナマズの魚人が必死で暴れた為、ホーフェンが思う程捕まえられなかった。
人攫いから解放されたことよりも人間への憎しみが深く理性で抑えきれないでいる。
・非加盟国の子ども
実は故郷が滅んでいる。逃走中に人攫いに遭い、大人は死に残ったのは非力な少女のみになった。
ダイスでファンブルが出た(メタ)。解放されてもいく宛がない為、聞かれても困っている。