爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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Dr.ランプ診療所

〇ウォーターセブン近海『Dr.ランプ診療所』

 

プッチの英雄と称される男は人攫いを海軍駐在所にぶち込んだ。

その後、怪我したナマズの魚人、ナマズマの為に魚人が営んでいる診療所にやってきていた。

チョウチンアンコウの魚人にして、人間嫌いの医者Dr.ランプの診療所である。

…人間であるはずの男はここに出入りするほぼ唯一の人間であった。

 

ナマズマは応急処置だけはされていたが、傷が深くDr.ランプが手術をすることになった。

なお、人攫いは死なないからセーフと駐在所に押し込まれている。

 

「ん…まぁこれで大丈夫じゃて」

Dr.ランプはナマズマの手術が終わり安定したことを皆に伝えた。

なお、人攫いにあった人間の子どもは別の部屋に待機させている。

…Dr.ランプの人間嫌いが周囲の魚人達すら理解できた。

 

「ありがとうございます。Dr.ランプ」

ナマズマ達を連れて来た人間であるはずの男は礼を言う。

Dr.ランプがこの人間だけ普通に対応するのか、ナマズマ含めた魚人達は不思議に思っていた。

 

「…ああ」

Dr.ランプは男に生返事をした。

周囲の同胞の反応を見て、目の前の男が人間であることをようやく思い出した。

人間か疑わしいとDr.ランプは思うが、二年以上付き合いもすればと複雑な気分になった。

 

「ありがとうございやす!お二方には感謝してもしきれねぇ…」

スズキの魚人、ラブラは兄貴分の代わりに礼を言う。

ナマズマと同じく人間嫌いではあるものの感謝すべきことは感謝すべきと誠意を示していた。

 

「…」

ナマズマは弟分の振舞いを、Dr.ランプを見て複雑な顔になっていた。

同じように感謝すべきだが、したくないという顔だった。

 

「兄貴も感謝はしてんですが、人間には良い思い出がなくて…」

弟分ラプラは兄の心情を慮って代わりに感謝の言葉を伝える。

人狩りの際には人間も同胞も含めて精一杯逃がす為奮闘した兄貴分の振舞いを見ていられずに庇うように言葉を漏らす。

 

「あんまり言わないであげてください。下手するとまた傷開きます」

当の人間は気にしないようにラプラを制した。ナマズマの顔が凄いことになっていた。

 

「お前さん、こいつを人間とか考えない方がいいぞ。いや。生き物かもわからん」

Dr.ランプは人間の男に見える生命体に指を指して言い切った。

これまでの付き合いからそう結論付けた。考えたら負けである。

 

「酷い扱い…私が何をしたというんですか?」

Dr.ランプの言葉に心外なという態度を取る人間。

 

だが、

「…ほれ、砂漠のイチゴと解毒剤」

Dr.ランプは以前頼まれていた苺のような蜘蛛とその解毒剤を男に手渡す。

 

「ありがとうございます」

男は劇物を受け取って蜘蛛を口に入れた。

解毒剤は毒でのたうち回ったりした時を想定して離れに置いた。そういう毒ではないと知っているが。

 

「…解毒剤?」

ナマズマは思わず言葉を漏らした。正気とは思えない行動が脳裏を駆け巡る。

 

「砂漠のイチゴ…アラバスタ王国等の砂漠地帯に生息する毒蜘蛛の一種じゃ。食ったら数日後死ぬし、死体も毒になる」

Dr.ランプは何でもないようにナマズマに説明した。いつものことなので気にしたら負けである。

 

「はぁ?…おい、吐け!今すぐ!!」

ナマズマは人間に向かって思わず叫んだ。起き上がろうとするが、Dr.ランプに取り押さえられる。

なお、周囲は一瞬固まったが、同じく男に劇物を吐かせようと駆け寄る。

 

「猛毒と言われるだけあって体内を侵食するのがわかりますね。…頑張れば自力で解毒できそう」

周囲の魚人たちを躱しながら男は毒の感想を述べる。

まるで未来でも読んでいるかのように全ての魚人を躱しきった。

 

「解毒剤もあるから問題ないぞ」

Dr.ランプはナマズマ達を安心させようとキチンと説明した。

後、自力で解毒できそう等という男の妄言は多分事実なんだろうなと思った。

こういう奴なので、こいつを人間と思うのは無理である。

 

「いや、そういう問題じゃねぇだろ!!」

ナマズマは思わず素で叫んだ。人間とは言え一応恩人で劇薬目の前で飲まれて。

自分の価値観が色々混乱していた。

 

「…患者もいるし、解毒剤はすぐに飲め」

Dr.ランプはナマズマの様子を見て男に言った。

…毒に耐性を付けたいと抜かして二年間あらゆる毒を服毒する馬鹿が人間と思えるかと内心罵倒した。

幾ら恩人とは言え、持って来た毒に対する解毒剤を用意するようになった自分も自分だが。

 

「わしは人間が嫌いだが、人間じゃねぇよこいつ」

Dr.ランプは男が渋々解毒剤を飲んだのを確認してそう言い切った。

 

「人間なんですけど」

男は自身の種族を訂正する。男は人間を自称する。

 

「…な、考えたら負けじゃ。アレ」

Dr.ランプはナマズマにそう言った。周囲の魚人も二人に振り回されて疲弊していた。

 

「…」

ナマズマはDr.ランプの言葉を否定できないので沈黙を選んだ。

 

「ちょっと少女達のところに行ってきますね」

男は上手く解決したなと言わんばかりの態度で席を外すと宣った。

 

「ああ、うん…」

ナマズマは取り敢えず返事をした。一先ず、医者の言うように男を人間の分類から外した。

 




〇Dr.ランプ診療所
ウォーターセブン近海にある魚人Dr.ランプが営む診療所。
魚人や人魚、他魚等の診察のみ受け付けている。
人間でも緊急事態には一応手当だけしてくれるが即追い返す。
二年以上前、魚類への医術を使える魚人ということで珍しさから人攫いに遭いかけたところを人間の男に救われた。
恩には恩を返す性格なので聞いたところ今から服毒するので解毒できるかと尋ねられた。
思わず正気を疑い生返事をしたら本当に服毒した。
急いで解毒剤を作成して男へ飲ませた。
訳を聞いたら海賊や人さらいが毒を使うことがあるので耐性を付けたかったと供述した。
今回のも大丈夫だと思ったが、専門医の知見が欲しかったらしい。
人攫いから魚人や人魚達を解放する度に診察の依頼されたりするうちに狂気の人体実験に協力するようになった。

・ナマズマ
ナマズの魚人。人間の人攫いで友人や両親が奴隷にされた等の所業を見てきて育ってきた。その為、人間を憎悪している。
弟分のラプラを始めとした者達を守るために魚人空手等を身に着けるが、5500万ベリーの賞金首の人攫い達には善戦するも勝てなかった。
自分達を助けた人間の男の狂気の沙汰を見せられ、席を外している間にDr.ランプからその理由を聞き戦慄した。
男を人間のカテゴリーに入れるのを辞めた。考えたら負けと思った。
後日、男に魚人空手を見せることになった。代わりに男からは敵の先手を読む技術を教わった。

・人間の男
原作知識より毒が強いワンピース世界で耐性を付ける為に試行錯誤していた。
毒に関する本等を店の顧客から貰ったりしたり、身近な弱毒から自身へ投与してみたり。
バットバットの実自体にそこそこ毒への耐性が強いと判明したが、慢心せず猛毒を試そうとした矢先に二年以上前にDr.ランプと出会う。
人間嫌いの医者との遭遇のお陰で完全に隠蔽された状況で毒耐性を強化していった。
結果、致死毒とその解毒剤も合わせて原作ルフィ以上に毒耐性を身に着けた。
現にルフィが解毒できなかったヨロイオコゼの皮の毒まで自力で解毒可能。
そりゃあ、Dr.ランプも人間扱いするわけがない。
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