ウォーターセブンから魔の三角地帯の間、一度入ると二度と出られないといわれる無数の氷山が浮かぶ海域が存在する。
その話の正体はグランドライン特有の獰猛な動物の狩りであった。
冬の気候の海域に浮かぶ氷山を動かし、獲物にぶつける大胆な狩りだ。
その名もそのままドウモウペンギン。
『氷街道』と呼ばれる海域に存在するペンギンであった。
ドウモウペンギン達は集団で氷山を動かし、獲物にぶつける。大胆過ぎる野生の狩りを行う。
偶々入り込んだ船はペンギン達の狩りの対象となり、沈んでいく。どう考えても危険地帯だった。
海軍は勿論、海賊も入らないように細心の注意を払うそんな海域であった。
…その危険地帯は一人の男の気まぐれでなくなることになる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇氷街道
魔海の主と呼ばれる男はいつものように海のゴミ掃除をしていた。
ウォーターセブン近海まで来た男はふと思いついた。
「自然の氷。氷菓子、アイスクリームにシャーベット…試してみるのも悪くない」
男は自然災害地域、『氷街道』を思い出した。
男は忙しい毎日にややウンザリしていた。息抜きに寄ってみよう。自然に触れあってみたい。
そんな軽い気持ちで海軍も海賊も近寄らない危険地帯に気分転換でやってきた。
そんなアホの船を氷街道の狩人たるドウモウペンギン達が襲うのは当然の流れだった。
狩人の誇りを持って縄張りに入って来たアホを沈める為にいつも通りの必殺の氷山でプレスしようとした。
だが、
「邪魔」
男は自分の船に氷山が衝突する直前にそれを除けるように手を振った。
男はただ手を振っただけだった。だが、その風圧で近づいて来る氷山の動きが止まった。
ただ、振った手は覇王色を纏った雑な一撃であった。
見る者が見たら覇王色の無駄遣いこの上ないと思う事は間違いない。
「…もう少し、純度がある氷が欲しいな」
男は氷山を見て言った。折角ここまで来たのだから下にいる雑魚が簡単に動かせるようなものではないものが欲しいと思った。
そして、
「ペンギンってどう食べるのだろうか…」
男はドウモウペンギン達を見取ってそう呟いた。
折角の一時のバカンスの気分が台無しになったと男は気分を害した。
…覇王色を纏った状態で。
その瞬間、圧倒的捕食者の気配をドウモウペンギン達は悟った。
戦ったら死ぬ。逃げても死ぬ。その直感がペンギン達に襲い掛かる。
ペンギン達は覇気の存在を知らなくとも、自らに備わった本能で上にいる怪物が自分達の行為で気分を害していると理解した。
その場にいたドウモウペンギン数百匹は即座に怪物の前に飛び出し、そしてひれ伏した。
どうやっても死ぬ以上、目の前の怪物の慈悲に縋るしかないと必死でジタバタと頭を下げる。
「あ、ペンギンさんだ。思ったより可愛い」
実年齢11歳はペンギン達の反応等気にも留めずに、ペンギン達への感想を素直に述べた。
実際見るのと気配を見取るのでは大分違うと改めて思った。
今世で初めて見る可愛らしい(男目線)生物の一匹を持ち上げてみる。
自分の前にわざわざ現れて、小刻みに震えて愛らしいと感じていた。
ドウモウペンギン達は、自然災害を引き起こせる世界有数の獰猛な生物は怪物が気分を和らげたのを感じ取った。
…ドウモウペンギン達は狩人の誇りを捨て、全力で目の前の男に媚びることにした。
その日、前半の海の自然災害は男の愛玩動物と化した。
〇氷街道
アイスハンター編にて登場。ウォーターセブン後のアニオリ回。
そこに生息するドウモウペンギン達は氷山を動かし、その嘴はそのまま地面に突き刺さる程鋭い。
一度入ると二度と出られない海域として有名。
どこぞのアホは自然の氷で氷菓子を作りたい、食べたいと思い足を運んだ。
・ドウモウペンギン達
いつものように狩りをしていたらヤベー怪物だった。
全力でひれ伏した様が11歳の心をつかんだ。
数百匹の群れが一度に触れ臥す様を見て可愛いと思うか怖いと思うかは人による。
男のお願い(命令)で氷街道の氷山を偶に届けるようになった。
最早、狩人の誇りより命が惜しい。
・魔海の主
ついに自然災害を従えた。本人は可愛らしいペンギン達と思っている。
男の命令一つで氷山で海路を封鎖できるが本人に自覚はない。
氷山の氷で作る氷菓子は美味かったので定期的に届けるようにペンギン達にお願いした。
流石に一人で使い切れないので氷街道の氷はプッチの町でも流通するようになる。
海賊狩りに疲れてところでウォーターセブン近海に来ると可愛らしいペンギン達と圧倒的自然美を見に行くようになった。