〇ゴッドバレー近海
魔海の主と呼ばれる男とイタミ少将は後に歴史の闇に葬られる事件、その現場近くにいた。
魔海近くにいたCP0、その悪魔の実の能力により強引に飛ばされた。
表世界の最高権力者五老星からの依頼を男は即決で引き受けた。とある条件と引き換えに。
本当は男としてはイタミ少将にプッチの町に残って欲しかった。
だが、海兵としてイタミ少将本人が志願したので止められなかった。
男は盗聴防止の白電伝虫越しで依頼主の五老星と会話をしていた。
「五老星。…こちらは間もなく交戦を開始する」
男は桁外れの戦力を感じ取りつつ報告する。同時に大きな別の力を二つ発見した。
一つは以前、全力で殺し合ったロジャーであった。
もう一つは知らないが男の原作知識から海軍の英雄ガープと推測した。
「先ほども言ったが、認めて欲しいことがある」
男は敬語も省き、自らの求めに応じることが可能か問うていた。
「…今すぐに頼む」
世界政府最高権力者五老星の一人が、逸る気持ちを抑えて言った。
世界最高峰の実力を持つ男の要求が何か知らないが今すぐ交戦して欲しかった。
男からすれば後で却下されたら困るというのもわかるが事情が事情だった。
「もうまもなく目視できます!早く!!」
イタミ少将は自らの見聞色で感知した戦力を悟り、男に叫んだ。
お互いもう話せる時間はない。男は一言で済ませることにした。
「私はバットバットの実の能力者だ。…この戦いの後もどうか敵対しないでほしい」
男はそう言って五老星との電話を切った。
「イタミ少将、取り敢えず足止めをするので近くにいる海軍と連絡をお願いします」
男はこちらに気が付いたロックス海賊団を足止めすることにした。
時間を稼ぐので味方である海軍と連携するようイタミ少将に求めた。
「は、はい!」
イタミ少将は自分ではわからないがいるという男の言葉を信じて返答した。
男が悪魔の実の能力者であること、五老星への要求の意図等は一旦保留した。
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〇??? 世界最高権力『五老星』
魔海の主と呼ばれる男の通信が途絶えた。五老星は一手止められることを信じた。
ロックス海賊団と真正面からぶつかって生きているとも思えないが、使えるものは何でも使った。
五老星は男の最後の言葉を反芻し、その真意を理解した。
「…ああ、わかった」
通話していた五老星は魔海の主の要求を理解して、虚空に向けて同意した。
「あの実の能力者か…隠すのも無理はない」
もう一人の刀を持った男が同じく真意を読み取って呟いた。
魔海の主がもう少し弱ければ全力で確保しに行った。そんな能力者であった。
理論上、不死にもなれる悪魔の実。その実の確保は世界政府も望んでいた。
…前の主が死に五年、その実は別の主に変わっていた。
「この状況下でその程度、安い条件であろう」
額に傷のある白髭の男は魔海の主の真意を読み取りつつ、許容範囲と認めた。
バットバットの実モデルバンパイア。
意志のある動物系悪魔の実である為、確保が至難かつ運命の様に流出してしまう悪魔の実であった。
「…こちらから敵対するのは論外だな」
魔海の主と通話していた男が結論を出した。
どう考えてもデメリットしかない秘密を魔海の主が明かすのは『平和』の為としか言えない。
その目的であれば世界政府も共存が可能であった。
その日、魔海の主の生死に関わらず要求という名の約束は保証された。
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〇ゴッドバレー近海
ロックス海賊団とその他勢力の寄り合いとの戦いが始まっていた。
後のゴッドバレー事件であった。
「ロジャー!…もう一撃来るぞ!」
魔海の主はかつての敵であり、一時味方という体のロジャーに呼びかけた。
「ああ、こちらも行くぜ!」
ロジャーは笑いながら男の呼びかけに応えた。
「ああ、糞!やってやる!!」
ガープは怨敵とよくわからん男と連携することにした。
三人の前には世界の海を破壊するような『力』が目の前に迫っていた。
「ああ…ああ…!」
それを見つめる天竜人達と奴隷達は絶望の声にもならない声を挙げた。
だが、
「“気化核爆発“!!」「“神破“!!」「“山崩“!!」
連携にもならない個による『力』のゴリ押し。それらが合わさり、一点に集中し爆破した。
天地開闢とも言うべき空が割れ、海もまた文字通り二つに割れた。
その割れた海が、引きずり込まれて大波となり消えて行った。
それを為した者達がそれぞれ言葉を発した。
「取り敢えず、防げますね」
魔海の主と呼ばれる男は防いだ事実だけ結論づけた。
最大火力と張り合えれば問題ないと言わんばかりに平然としていた。
「わはははは!当然だ」
海賊ロジャーはかつてない強敵を前に高らかに笑う。
三人でやってここまでの規模の破壊力に楽しくなってきた。
「…取り敢えず、あいつらを倒すぞ!!」
海兵ガープは色々言いたいが、目の前の海賊をただ見ていた。
一番の目標を他二人と自分に言い聞かせるように叫んだ。
少し離れた位置から海兵達もまた動いていた。
「私達も展開して臨機応変に!」
イタミ少将は出来る最大限をすることを海兵達に鼓舞した。
その姿は覇王色も相まって救国の戦乙女と表現するしかない程美しかった。
「姉ちゃんに負けるな!野郎ども!!」
ロジャー海賊団副船長レイリーは船員達をそう鼓舞した。
海軍にセンゴク以外で覇王色持ちがいることを内心驚いていた。
魔海の主とその連れとも言うべき女海兵だと思っていたが、負けてはいられなかった。
…圧倒的な個の力と群を率いる力、それぞれの覇王の素質を生かしていることにレイリーは感心した。
「「「おお!!」」」
海軍と海賊、それぞれが高らかに答えるように吠えた。
そして、
「お前が世界最高峰のパティシエか…」
誰もが美女と認めるであろう女傑が獲物を見る目で魔海の主に言った。
体格は9m近くあり巨人族に迫るが、それ抜きでも魅了される程美しい王だった。
「シャーロット・リンリン、確か菓子好きと聞く。…実に惜しい」
男は同好の士とも言うべき存在を認めつつもその在り方を惜しんだ。
「そうさ、俺はリンリン!この海の王になる女さ!」
後のビックマムは男に向かって改めて名乗りをあげた。
自分と男の会話を邪魔する奴らの寿命を抜いてホーミーズにする。
仮初の命を吹き込まれた武器や火、雲等が実体化して周囲を囲んだ。
目の前の男は前々から自分の物にしたかったので、実に好都合だった。
だが、
「私にはそれは効かないね」
男はリンリンの作ったホーミーズ達を一蹴した。否、吸収した。
「っち!相性が悪いね。こりゃあ…」
リンリンは思い通りにならない男だと判断して間を取った。
リンリンは男のホーミーズへの攻撃の性質をその一瞬で悟った。
「私は奪う。貴方は与える能力ですね」
男はリンリンの咄嗟の行動を止めなかった。
迂闊に追撃すると他が来ることを読み取っていた。
「俺の言う事を聞かないなら死ね!!」
リンリンはその場から構えを取った。それは巨人族の技であった。
「“威国”!!」
リンリンは何里もの島々の地形を貫く技を味方の被害等無視して放った。
「“気化核爆発”!!」
男も被害を無視して左手に冷気、右手に炎を纏い衝撃波をリンリンに向けてぶつけた。
男の方は敵地で被害は全部敵なので気にする必要はなかった。
お互いの最大火力の技がぶつかり、文字通り天地を割った。
同時にその場にあった物全てが消し飛んだ。
「ご機嫌よう、マダム。…出来ればここで止めを刺したかった」
男は全ての物が消し飛んだ中でただ一人残っていた。
男はリンリンが自分の攻撃を躱したと悟り、他の戦場へ応援に行くことにした。
男は優雅な礼と共に闇に溶けて消えて行った。
「糞!逃がしたか!!」
リンリンは目的の一つが殺せも捕らえもしなかったことに激怒した。
同時に今がその最後のチャンスだったと悟った。男とリンリンは純粋に相性が悪過ぎた。
今の一瞬で自分の能力を見破られた以上、再戦するならば自分以外の戦力を拡充しなければならなかった。
リンリンからすれば恐らく弟分のカイドウを鍛えれば問題ないと思ったが、今ここで男が欲しかった。
「畜生~!!てめえ、戻って来やがれ!!!」
リンリンは男に向かって地団太を踏んで叫んだ。
…無駄だと悟ったリンリンはカイドウに今すぐ恩を売ることにした。
後のビックマムと魔海の主の会合は互いに先を見て引くことで決着した。
この後、カイドウに恩を仇で返されたことをリンリンは酷く恨んだ。
〇原作ゴッドバレー事件の相違点
魔海の主と呼ばれる男は五老星に参戦要請された。
参戦は承諾し、密約を交わした。
送り届けたのはCP0の能力者で場所は知らされていない。
ビックマムと戦うもキリが無いので収めた。
撤退許可が下りたら即撤退し、男はここがどこなのかすらも聞いていない。
・ロックス海賊団
原作通り壊滅。ロジャーとガープの連携で倒した。
魔海の主は基本補佐で、味方の回収と敵の各個撃破を繰り返した。
イタミ少将はその場の海軍と連携し、被害を防ぎつつ前線で鼓舞し続けた。
・五老星
魔海の主の要求は理解できたので認めた。
魔海の主の希望通り、極秘情報として取り扱うことを約束した。
不老不死が可能な能力は喉から手が出る程欲しいが強すぎるのと約束として断念した。
バットバットの実を探していたが、その行為も辞めさせた。
他の不老不死が可能な方法に関しては引き続き調査している(男の関係者を除く)。
・魔海の主
呼ばれると思っていなかった12歳。
想定外だが、イタミ少将の件もあり五老星と取引した。
一応、ゴッドバレー事件後に詳細を話し合い決着した。
能力を開示しても安心して暮らせるようになった。
・イタミ少将
大活躍したけど歴史の影に埋もれた女傑。
男が能力者だと隠していたことが不満だった。
だが、五老星直々に聞かなかったことにしろと命令された。
余程の事情を察した。だが、気になって夜も眠れなくなってきている。
・ビックマム
魔海の主もとい世界最高峰のパティシエを手に入れるつもりだった。
だが、想像以上に強い上に能力の相性が最悪過ぎた為、その場は諦めた。
後日、カイドウを連れて奪いに行くつもりだったが、あの恩知らず逃げやがった。
食い煩いを発症しそうなところに送り主不明の菓子が届けられた、
定期的に渡すから辞めろと件の男からハガキがあり、長男達が毒等を検査してマムに急いで食べさせた。
長男ペロスペローと謎の人物が文通するようになった。謎の男はマムの長男に懐かれた。