爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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狂信者

〇氷街道

 

ウォーターセブンから魔の三角地帯の間、魔海の範囲ギリギリにある氷山海域『氷街道』。

かつて、今もであるが一度入ると二度と出られないと言われている海域であった。

その原因であった自然災害級の生物ドウモウペンギン達を魔海の主がペットにしていた。

それからペンギン達は約三年間、プッチの町に氷街道に氷山を運んだり、男の店で働いていたりしていた。

休憩の餌等の待遇が野生より良いため、今では交代制で数百の群れが男に従属していた。

 

その日、男は自らの魔海の後継たる13人のうちの一人、サラーを連れてやってきていた。

口実としては氷山運搬に関しての引継ぎであったが、勿論別の目的もあった。

サラーもそれ以外の子ども達も男の『何か』に勘付いていたが知らされていなかった。

なお、イタミ少将は頭のネジが外れている男の何かに勘付いていない。

今日は男が不在なので近隣の海賊を襲うとのことだった。もう少し気付けと男は思った。

 

「わぁー…オーロラ、綺麗ですね」

そう呟く儚い雰囲気を醸し出す銀髪の少女の名は、サラー。

12歳の少女は男と来た氷街道の夜空に浮かぶオーロラに感動していた。

救い主である男にここで死ねと言われても本望であるというサラーは考えていた。

 

…サラーは魔海の主を神の如く愛していた。

それを改善しようと男が努力しても神の試練と耐えきる狂気を少女に感じていた。

サラーは非能力者で既に海軍本部中将以上の力を身に着けている一人であった。

なお、サラーは男に迷惑をかけていると悟り、鍛えすぎた強靭過ぎるメンタルで普通を装っている。

男はサラーの過剰な行動が一過性のものだと思い、秘密を守れる子として今回連れて来ていた。

その選出理由は今回は最適解であり、最悪でもあった。

 

「サラーの青い瞳みたいですね」

男が目の前の青いオーロラを見て純粋な感想を述べた。

 

「…ありがとうございます」

サラーは崇拝する対象からの言葉に感極まっていたが、無理やりそれを抑え込んだ。

故に男はまたもや気が付かなかった。今回はどうでも良いのだが。

 

「さて…ラウフさん。オーロラをありがとう。そろそろ良いかな?」

男は目の前に浮かぶ青いオーロラに向かって話しかけた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

魔海の主と呼ばれる男はサラー達の前から人攫いの被害者を救出していた。

ロックス海賊団という激動の時代に身売りされる子ども達を沢山見て来た。

出来得る限り最大限の配慮をしつつ、セフィ・ローズに任せていた。

だが、中には男が課した試練という名の拷問を受け、合格した子ども達も当然いた。

その中で最初に男が出会った子ども、それがラウフと呼ばれる少女だった。

ローズとの緊急時の伝令として誰にも悟られない隠密特化に育った子である。

男が悪魔の実を与えた少女はCP0すら欺ける程に成長していた。

…そして、男がトレーネの前に後継者にとも考えていた逸材であった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

オーロラがうねるように空間を捻じ曲げ、人型に集約していく。

炎、雷、そういう非物体ともいうべき『プラズマ』が男とサラーの前に収束していった。

 

「気に入って貰えましたか?」

瑞々しくしなやかな容姿の少女、ラウフは己の主たる存在に問いかけた。

 

ラウフは6年以上前に男がプッチの英雄と呼ばれ始めた頃、自らの神を見つけた。

以降、ラウフはセフィの護衛以外で自分の能力で男の一言一句を漏らさず聞いていた。

プラズマと為れる能力は一瞬で海や国すら一瞬で超えられる速さを持っていた。

男から教わった見聞色の覇気を使えば、海を超えていつでも駆け付けられた。

…少将と後輩達の姿を見てもなお、少女は嫉妬よりも主の心の安寧に感謝を捧げていた。

 

そして、ラウフはサラーと目が合った。

その瞬間、二人は永遠のような時間を感じた。

ラウフとサラーは、お互いがお互いを同胞であるとその場で悟った。

 

「ええ、氷街道でオーロラ…北極にでも行った気分になれました」

男は二人の狂信者の会合に気が付かずに言葉を続ける。

 

魔海の主は秘匿できる才能が高いサラーとラウフに男が旅立った後、緊急時の顔合わせとしてこの場を設けていた。

自分の計画に巻き込むというよりも自分がいなくなる時に繋がりを維持していたかった。

ズマズマの実のプラズマ人間であるラウフは電伝虫いらずの緊急連絡網となり得た。

魔海の主はただ単にイタミ少将に勘付かれない為に氷街道とサラーを選んでいた。

 

「…私、18になったんです」

ラウフは男に話かけた。ラウフはイタミ少将の状態を知っていた。

同胞サラーならば自分の言う真意にいずれ気が付くはず。

己が主の為に尽くす少女ラウフは世間話のように話を逸らした。

 

…我儘のようで、忠節の為には偽ることを辞さない少女はその場で覚悟を決めた。

 

 




・サラー
魔海の主に信仰というか崇拝というかヤバい方向に感情が振り切れている12歳。
男に勘付かれてからは振舞いを改め矯正した。
男は一時期罹るはしかみたいなものだったと認識している。
初めて会った同胞から素晴らしいことを遠回しに聞いた。
迷惑をかけるかもしれないが、利の方が大きいと判断した。

なお、男がプッチから去った後の緊急時と氷街道の氷についてはその場で纏まった。

・ラウフ
男の試練という名の地獄を受けた結果、神を感じたヤバい18歳。
普通は、大概は男に感謝しつつも悪態をつくが稀に信仰に目覚める層がいる。
ズマズマの実のプラズマ人間であり、高速移動と広範囲の見聞色が可能。
エネルの上位互換的なことが可能である。常に研鑽し、己の主をストーカーしているヤバい存在。
男は偶に気が付いてもそういう役目を押し付けたから悪いことをしたと認識している。
セフィ・ローズも匙を投げた狂信者にして計画の重要人物でもある。

・魔海の主
12歳半でヤンデレよりヤバい存在を量産している男。
鈍感ではないが、普通の範囲で普通の理解はできる。
イタミ少将くらいわかりやすいとわかる。
イタミ少将の秘密を知り、18歳で固定化すれば見間違えたりしないと提案される。
計画に人生捧げすぎと思いつつ、警告した。
だが、美しくありたいとお願いをされ、色々迷惑をかけてしまったと思っていたのでギリギリ了承した。
何かおかしいと思っており、ラウフは俗物でもないのに何故こんな願いをとは思っている。
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