爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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コミュ強者

〇雲に届く秘境メルヴィユ 村落前

 

男とイタミ少将は目標である村落の近くまでやってきていた。

到着地点から村落まで最低半日はかかる距離だったが、二人は気配を消しつつ小一時間もかからず到着できた。

中将以上の速さなら容易だが、多少は疲れるのに対し二人とも息切れ一つしていなかった。

 

二人とも村落と湖を囲うように木々が生えていたのをメルヴィユの上空で目撃していた。

その集落を囲んでいた木の前でそれを観察していた。

 

「動物達はこれでやって来ないみたいですね…臭い」

イタミ少将は鼻がピりつくような臭いに思わず距離を取った。我慢できなくはない程度に臭かった。

ここまで感じなかったが、動物の嗅覚なら更にキツイだろうと思った。

 

「この植物、毒がありますね。…イタミ少将は大量に吸い込むと不味いかも」

男は目の前の大根のような根とブロッコリーのような葉の植物の臭いで毒を分析した。

 

「…イタミ少将って呼び方だとややこしい事になりませんか?」

イタミ少将は男の注意を聞きつつ、村落では少将という呼び方を辞めてみてはと提案した。

イタミ少将は地味に攻めてみることにした。

 

「…イタミ」

男はイタミ少将の挙動不審の方が怪しまれると思いつつ、イタミ少将に従った。

『さん』づけしないのは当てつけである。

 

「や、やっぱりなしでお願いします!」

イタミ少将は男の呼び捨てに動揺して取りやめた。

イタミは恥ずかしくなり顔が赤くなるのを自覚していた。

 

「これ以上、立ち止まっていると流石に気が付かれるかもしれません。いきましょう」

男はイタミ少将の行動に内心ため息をついてそのまま歩き出した。

巨大ザリガニと巨大バッタが安全圏外ギリギリで飼われていることや井戸端会議等、十分見聞色の覇気等で聞き取れていた。

 

「あっ…待ってください!」

イタミ少将は男が先に行こうとするのを慌てて追いかけた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇数時間後 メルヴィユ村落内

 

この秘境に住む人々が、入った余所者を受け入れてくれるのかイタミ少将は心配していた。

特に男の方は世界一イカレているクッキー脳であった。

 

だが、

「そうかい。アンタ、あの姉ちゃんの友達なのか!」

村落の代表がそのイカレた男と飲み交わしていた。

村落からの突然の来客。だが、知り合いの友人と名乗る男とその連れは歓迎されていた。

イタミ少将は知らないが共通の友人は美しい女性だと言う話である。

男に問いただしたいが、今は空気を読んでいた。

 

「ええ。ラウフがお世話になったようで…元気にしてましたか?」

男は共通の友人の話に花を咲かせていた。

ラウフとの関係は友人と言った方が丁度良いと男は場の空気を読んだ。

 

魔海の主と呼ばれ、世界でも有名な男は普通の気の良い兄ちゃんと化していた。

イタミ少将は男が我を通さず、すんなりと場に馴染んだのを内心驚いていた。

海軍本部の支部であるG-8に来た時など、クッキーの話を10日間も話していた。

とても同一人物には見えなかった。イタミ少将は男の一面しか知らなかったのだと悟った。

 

「肉ありがとうな。ダフトに罹ったのを治すのに皆で動いたせいでちょうどなかったんだ」

男の持って来た手土産に若い衆が礼を言う。

 

村落を囲んでいる木々の名前はダフトグリーンと言い、その毒を過剰に摂取すると緑の斑点が出来て体が動かなくなる。その病気をダフトという。

イタミ少将は男が話している最中に村の若い女性達に聞いた。

ダフトを治すためにはI.Qと呼ばれる風鈴のような花が大量に必要らしい。

 

「クッキー美味しいね。お兄さんが作ったって本当?」

幼い少女が男に話しかけた。いつものようにクッキーを持ち歩いていた男は幼い子ども達に分けていた。

子どもから大人まで巻き込んで村落では軽い宴の様になっていた。

 

「ええ。レシピをお母さんたちに渡しましたから今度作ってみてください」

男は少女の声に優しい口調で返した。

男は若い女性陣に数瞬で馴染み、料理のレシピを交換し、好感を得はじめていた。

イタミ少将が途中から割って入ったため、男は村落の男達と酒等を飲んでいた。

 

「ラウフさん…元気にしてるかなぁ」

若い衆の一人がその姿を思い出してため息をついた。

イタミ少将が見た限り、魔海の主の知り合いという女性、ラウフにゾッコンのようであった。

 

「あの嬢ちゃんとはともかくあの姉ちゃんとはどういう関係なんよ」

村の代表がこっそり耳打ちして男に尋ねた。

イタミ少将は女性陣と会話していたが、聞き耳を立てた。

 

「うーん…子どもの時から長い付き合いではあるんですが、何だろう?幼馴染ではない?」

男は言葉を濁して返した。

実際、男からすると拷問みたいな取引を乗り越えた最初の一人であり、6年の付き合いのある部下以上友人とも言えなくない微妙な関係だった。

なお、ラウフの方は男を神と崇めている。

 

「なんだはっきりしねぇな!イハハハハ!」

村の代表は男のはっきりしない回答を聞き、笑い飛ばした。

 

イタミ少将は聞き耳に集中し過ぎて、村の女性陣に完全にどういう関係か気が付かれた。

女性陣は村の男達から離れた位置に移動し、イタミ少将と男との関係を嬉々として根掘り葉掘り聞き出した。折れたイタミ少将は軍規に反さない範囲で自分と男の話した。

 

なお、イタミ少将は幼い少女に『なんで、そのままなの』と聞かれた。泣きそうになった。

 




・メルヴィユの現地人
男が以前来た絶世の美女と知り合いと聞き、興味を持つ。
普通に子ども達にクッキーを渡したり、村の困りごとを解決してくれたりで即馴染んだ。
女性陣は早めにイタミ少将に男から引き離された。それを見てあまりにわかりやすいので質問攻めにした。
反応が初心なので揶揄っていて楽しい。少女の一言で本部少将は一発KOされた。

・イタミ少将
男がコミュ力高すぎて引いた人。そんだけ空気読めるのなら普段からしろと思っている。
男と女性陣が仲良くなってきたので、引き離したら逆に質問攻めに合った。
少女に泣かされそうになる。

・男
ラウフがどの程度介入したかわからないが、一応聞いてみたら意外と村にしっかり滞在していたのでそこから盛り上がってみた。
話の種がなくとも問題なく場の空気を盛り上げるコミュ力がある。
ラウフに魅了された村の若い男を見て、自分のした行為にちょっと罪悪感を抱いた。
普通に場を楽しんでいる。酒を飲んだかどうかは秘密。
肉や皮、クッキー等で色々調理したりしたら、小さい宴みたいな形で持てなされた。

宿を取った後、人目を盗んでI.Qとダフトグリーンを回収した。
勿論、村の物ではない。情報を下に自力で採取しに行った。
ラウフを人気のないところで呼び出した。
I.Qとダフトグリーンの苗木を手渡してサラーに渡しに行くように伝えた。
ついでに異常がないか確認したが今のところ問題ないと言われる。
ラウフに溶け込むのは良いが若い男を魅了し過ぎではと苦言を呈した。
ラウフに嫉妬ですかと聞かれて、言葉に詰まったのでそれ以上の追及を辞めた。
一連のやり取り等は村の人々にもイタミ少将にも全く気が付かれていない。
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