〇キューカ島 第3プール場
夏島の休暇の為のバカンスの島、キューカ島。
そこでとある有名人が世界経済新聞社の記者にインタビューを受けていた。
キューカ島は文字通り休暇を取る為の島。有名人のゴシップ等を狙い来る記者達も多い。
だが、今回の相手は異色の有名人だった。
「さて、一昨日の魔海での出来事でよろしかったですか?」
魔海の主と呼ばれる男は記者の問を確認するように尋ねた。
ビーチチェアにゆったりと寝そべりながら新聞を読んでいた。
記者の方を横目で対応していた。バカンス中に態々相手をしてやるという態度が出ていた。
「…」
イタミ少将はそんな男を横目に警戒していた。
イタミ少将はつい先ほどナンパされそうになったが、思わず威圧して気絶させてしまった。
このような場所に慣れていないイタミ少将は心にゆとりを持てと男から軽く怒られた。
「魔海に現れた金獅子のシキの第35海賊艦隊。それを全滅させた少女達についてです。はい」
記者はイタミ少将の警戒を若干気にしつつも記者として取材を全うしていた。
記者は目の前の男、魔海の主とは写真等を取らない条件で取材を受けていた。
目の前の男は昨日、キューカ島周辺の海賊船10隻を潰した男であった。
偶々キューカ島で魔海の主に遭遇した記者はその本人へ取材ができる幸運に感謝していた。
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実際は、魔海の主の即興で思いついたことだった。記者は幸運ではあるが必然でもあった。
確実に記者の居そうなところで男が思いついたのがキューカ島だった。
記者を通して世界に魔海の主が後継をここまで任せられるというアピールの為だった。
一週間程空けると宣言して4日目の日。
シキの部下の艦隊が攻め込んできたという報を聞き、メルヴィユから魔海まで戻って来たが少女達は自らの力で問題なく討伐できていた。
その為、男は不要だったのだが、何かできないかと考えた。
メルヴィユにはまた何れは行きたいが戻るのも変だったので、記者が居そうで結構距離のある地。
購読していたゴシップ紙からキューカ島を選んで男とイタミ少将はやって来ていた。
海賊船も適当に狩れば自分がここにいると記者が嗅ぎつけるかもという理由であった。
イタミ少将がキューカ島の雰囲気に慣れないようなので、見張りを兼ねてビーチチェアに寝そべっていたら目的の記者が来たので男は一応写真NGで取材に応じた。
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「彼女らは私が鍛え、育てた後継者達です。魔海も平和になりましたし、ちょっと任せてみました」
男は大体真実を言う。正確にはここから一年育てて盤石にするつもりである。
四皇幹部クラスには到達した少女達を鍛え上げ、出来れば海軍本部大将級にしたい。
男は新大将ゼファー38歳の就任式の記事に目をやりつつ、育成計画を考えていた。
「大将案件の規模の船団を倒した少女達…一体どこから集めたんですか?」
記者はやや探りを入れた。年齢10代前半で金獅子のシキの部下を文字通り全滅させた少女達である。出自が気になっていた。
「…普通に強くなりたいという意思で集まり、あそこまで強くなりましたが?」
男は少女達が滅んだ非加盟国出身というと後日問題になりそうなので適当にあしらうような回答をした。事実強くなりたいという想いであそこまで強くなれた。
「いや、あそこまで強いのは普通に…」
記者が追及しようと突っ込んだ。流石にどこか特別な血を引いているとかそういうのを期待していた。
「私も10歳であれくらいは強かったですよ?」
男は本当のことをいう。何なら現在13歳である。
「…」
イタミ少将は記者の質問にイラついていた。
自らの教え子とも言えなくない少女達に下賤な詮索だと思った。
男の発言を鵜呑みにはしないが、最初から海賊を狩って海軍本部第八支部にやって来たのを思い出す。
男がそう言うのならば真実だろうと飲み込んだ。なお、その時の男は5歳である。
「ええ…。では、質問を替えまして」
記者は男の発言を信じられない。だが、気分を害してこれ以上得るものはないと悟り、次の質問に移ることにした。
記者は魔海の主の思い通りの記事内容になるような取材結果を得た。
自覚なく魔海の主の口車に乗せられた記者は魔海の後継として新たな伝説となる記事を次の日の新聞に載せることが出来た。
・キューカ島にいた記者
世界経済新聞の記者。当たり障りなく都合の良い事実を記事に出来た。
伝説の記事を書いた記者となるが、それ以降はあまりパッとしなかった模様。
・五老星
魔海の主が自分の後継として育てていた少女達の実力を知り、驚愕した。
イタミ少将の報告が真実だったと認識をようやく改めた。
魔海の主と敵対したら海軍総動員しても負けかねないと悟った。
力を持っているのに海軍にも海賊にもならない。善良な市民である。
だが、敵対すれば第五の皇帝という恐ろしい光景が余裕で見えた。
魔海の主に敵対する意思はないと行動も言動でも証明しているのが幸い。
ついでにイタミ少将だけでは不足かと思い始めた。
・イタミ少将
メルヴィユから魔海、キューカ島とかなり移動を強いられた。
二日間いたが、キューカ島は慣れないと感じた。店員に勧められた水着を着れなかった。
もやもやと考え事をしていたら、ナンパが来たのでイラついて威圧してしまった。
一人の男には弱いが他の男には強い模様。
・魔海の主
残りの3日の消化を思いつけなかった男。海賊狩りつつキューカ島に行ってみた。
イタミ少将と同じくキューカ島は慣れないと感じた。多分、イタミ少将が水着でも着れば動じた。
13歳となり思春期が近くなっている。逆ナンパされたが紳士的に流した。
何だかんだで慣れている。イタミ少将がナンパを威圧して気絶させたので流石に怒った。
実は記者を軽く洗脳し、都合の良い記事を完成させた。
バットバットの実の標準能力洗脳と持ち前の口車による催眠術の応用である。
記者は潜在能力を発揮して後継の記事を執筆できたが、それ以降パッとしなかったのは男の一時的な洗脳や催眠が解けてしまったから。