爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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天才

 

魔海から主と呼ばれる男が不在になり一週間経過した。

その間に金獅子のシキの配下である第35海賊艦隊20隻が襲来する事件があったが魔海の後継と認められた少女達が文字通り全滅させた。

結果的に魔海の主の不在でも海賊達の墓場『魔海』は健在と世に知らしめた事件となった。

不在だった主の方も外で海賊船計40隻を拿捕していた。

 

最早、世界中で魔海とその主が、海軍とも違う平和の砦と誰もが確信していた。

新世界でしのぎを削る四人の王達もまた新世界手前に陣取る魔海の主の厄介さを認識しつつ、その強さから放置するしかできない勢力として認識していた。

後の大海賊時代と言われる時代より前のこの時代、世界の勢力図は海軍と魔海、そして新世界の四人の王とで拮抗していた。

 

〇美食の町プッチ『マストダイ農場』奥地

 

そんな世界政府とも違う第三勢力として世界が認識している魔海の主とその後継達は…。

 

「皆、私の留守の間、素晴らしい成果でした。本当に、素晴らしいとしか言えない!」

留守番を果たした子ども達を褒めるような魔海の主とそれに喜ぶ後継達がいた。

 

「頑張りました!」

少女から大人になりつつあるルビーが勢いそのまま男に抱き着こうとした。

…ルビーはイタミ少将が不在なので既成事実を作ろうとしていた。

 

「“紙絵”」

思春期に入りつつある実年齢13歳は14歳の少女を六式まで使って避けた。

実は、地味に少女達の距離感がキツイ。

イタミ少将が押せば勝てそうなくらいには男は子どもから大人になっていた。

 

「年頃の娘があんまり男性にベタベタしては駄目ですよ」

男は子どもに注意するようにルビーを叱る。見た目は兎も角中身は男の方が年下である。

 

「はーい…」

ルビーはそう言いつつ、男の反応からもう少し押せば行けるのではとほぼ確信した。

ルビーは自分達が見目麗しいのを自覚していた。…イタミ少将とは違い武器の使い方を熟知していた。

 

「はーい…って、リーダー」「流石にがっつき過ぎ」

先日の20隻の船団を氷漬けにしたリピとジモは息の揃った罵倒をリーダーに言う。

11歳の青髪双子は連携してルビーを拘束する。

これ以上好きにさせると目の前の男に勘付かれると知っていた。

彼女達はイタミ少将23歳より引き際を弁えていた。

 

「そう言えば、イタミ少将はどうなされたのですか?」

イディオの海賊船を地獄絵図に変えたフルーフ12歳は不在のイタミ少将について尋ねた。

少将という客人が居ないからこうも好き勝手話しているが、いつも勝手に来るので気になっていた。

 

「ああ…私が拿捕した海賊船30隻を海軍に引き渡すのを頼んできました」

男はイタミ少将がいない理由を説明した。

 

海賊達は気まずい空気となった二人を紛らわす為、男の悪辣な技の数々の餌食になった。

当然、それをイタミ少将は見ていた。

だが、男の手段が全部合法な上に略奪上等な海賊相手なので一切気にしなくなっていた。

海賊狩りが休日の過ごし方であるイタミ少将は海賊を絶対逃がさない男の執念を感心した。

イタミ少将は海賊引き渡しと上からの呼び出しもあり、男と海軍本部第八支部で一旦別れていた。

…男はその呼び出しに嫌な予感がした。忘れる為に頭を切り替えることにした。

 

「それにしても…。20隻の海賊船の略奪品ですか。これは」

男は少女達が破壊したと表向きには海に沈んだ宝の山を見て言った。

 

「主君は悪魔の実や業物以外は全部政府に丸投げするが、我々は頂く」

カッツェは小柄な身体で堂々と言い切った。

小柄な体系を活かした俊敏さが武器だが、9歳から12歳まで殆ど成長していない。

15歳くらいには見えるので問題ないが、これ以上成長しないのではと内心焦っている。

後継の中でも一際広い見聞色の覇気で海賊を襲いつつも収穫は全て確保できるようにしていた。

 

「まぁ、良いのですが。私がほぼ丸投げしたのって面倒だからですし」

魔海の主として後継のスタンスに口を出すつもりはないので男は軽く流した。

逆に言うとこれまで悪魔の実や刀剣で業物があればしれっと確保していた。

それでも財宝等には手を着けずに被害者の下に帰るように言伝して全部海軍に渡していた。

それ故に魔海の主は賞金稼ぎとは違うと評価され続けていた。

 

「私達の戦闘だと先生のようにいかないからね」

古代種アエピカメルスの能力者カーメル10歳は先生である魔海の主との差を指摘した。

魔海の主のように一方的なまでに強くないので船を傷つけ沈めてしまう。

カーメル自身の戦闘方法も獣形態で海賊船等を消し飛ばすか、人獣形態で乗り込んで暴れるかなので魔海の主のようにはいかなかった。

 

「私なら一瞬で制圧できなくもないけどね」

トレーネ8歳はそう言い切った。

魔海の主が自らの後継と断言した最初の少女なだけあって、彼女は一人で完封できる実力があった。

男としては気を抜くと自分の域にまで成長しそうなので気を抜かずに努力していた。

 

「トレーネは反則」

レッツェル9歳は一つ違いのトレーネの理不尽さを言い切った。

人型の複製に覇気を纏わせ人海戦術で戦う一人旅団とも言えるレッツェルの技を模倣し、船丸ごと植物に変えてしまえるトレーネ。

レッツェルにとってトレーネは才能の差を感じずにはいられない同胞だった。

 

「いや、二人とも反則ですからね。…私がいうのも変ですけど」

金髪碧眼のオッドアイの少女エリーゼ13歳は二人のがおかしいと断言した。

ウテウテの実であらゆる場所から大量の大砲での物量攻撃が出来るエリーゼだが、幼女二人の異常な才能を評価して言った。

…更に言えば二人は男の店で分身とはいえパティシエとしての技術を叩き込まれていた。

エリーゼからすれば二人が同胞で年下でなければ嫉妬していたのは間違いない。

 

「…イタミ少将がいないでこうやってわちゃわちゃ話せるのも久しぶりな気がする」

端麗な美女とも言える年齢13歳のツィーゲはイタミ少将が不在でぶっちゃけて話せるのが何だか嬉しかった。

ツィーゲはイタミ少将が嫌いなわけではないし寧ろ尊敬しているが、男と四六時中いて関係が進まないのはもう放置で良いと思っている。

 

「確かに」

魔海の主はツィーゲに同意した。イタミ少将がいると能力や才能を明かすのが手札を晒す感じがしてしまう。…海軍本部所属なため、どうしても明かせないところは男にもあった。

 

「そういえば…I.Qってお花とダフトグリーン。サラーから受け取っていた」

トレーネは男からの物だと受け取った植物を思い出す。

 

「ああ、はい。あれは緊急性が高い植物なので伝手で送りました」

男はトレーネの言葉に補足で説明する。

サラーは秘密を守り過ぎるきらいがあるので自分から説明すべきと判断した。

 

「ダフトグリーンは動物除け。ただ、胞子が体内に蓄積すると人間もダフトという病気になります。体長10m以上の動物も数百m以上近くに入ろうとしない程の効力があります」

男は大体の概要を説明する。

トレーネは植物の特性を理解できるようなので恐らく詳細は自分より把握していると思われるが後で改めて話すつもりである。

 

「問題はI.Qの方です。これは門外不出でお願いします」

男は皆に断言した。金獅子のシキでなくとも狙いかねない劇物だった。

 

「…あの、そのことでお話が」

グレーがかった薄茶色の長髪の少女リーベ13歳が男の言葉を遮った。

ずっと抱きしめていたペンギンを男に恐る恐る見せる。

リーベはこのことをすぐ報告するはずが、話に割り込めず切り出せずにいた。

 

「…わかります。食べちゃったんですね」

男はリーベに怒っていないと宥めるようにしつつ、最初に会った際、真っ先に土下座してきたファーストペンギンを受け取った。

 

「ク、クゥ~ェ(お、お許しください)」

初めてあった時のように震えまくっているドウモウペンギンは伝わらないとわかりつつも永遠の主君に謝罪を述べた。

 

「何だろう…可愛さは変わらないですが知能が向上している?」

男は環境に合わせて動物を進化させるI.Qの特性を思い出してペンギンを観察していた。

謝罪を思わせる鳴き声もそうだが、どこか前よりも知性を感じる。

何なら会計でお釣り等の計算もできそうである。前からクッキー製造やら色々賢かったが。

 

「トレーネの能力で増やせたI.Qを渡そうということになって、一輪落としてしまって…」

リーベは自分のミスで花を食べたペンギンが食べてしまったと説明する。

 

トレーネは能力によりダフトグリーンとI.Qの特性を殆どわかっていた。

送られてきてから3日間、能力でI.Qを増やせるか試していた。

そして、男に量産が成功したことを報告しようとしていた。

 

「一輪で…?」

男はI.Qが想像以上の劇物であることを認識した。

トレーネの能力で強化されている可能性もある。

だが、単純作業から複雑な計算ができる程知能が向上しているであろうペンギンを再び見た。

 

「ク、クェ!(私の有用性をご覧ください!)」

ファーストペンギンはその場で岩を砕き、等分の大きさの石を幾つか作り出した。

そして、14個の石像を作り始めた。氷山を貫く嘴で作った石像は男や少女達を模した物だった。ペンギンは数分程度で精工な石像を作り出した。

 

「凄い!凄い!」

男は、実年齢13歳は素でペンギンの作品を見て驚きと称賛の声を出す。

 

「…」

トレーネは男が実は自分達と同じくらいの年齢じゃないかと思った。

それならイタミ少将に任せるより自分達の方が良いのではとも。

 

「…思わずはしゃいでしまいましたが、この花って想像以上に凄いのでは?」

男は我を取り戻しつつ、3日で量産に成功したI.Qの劇物のランクを上昇した。

 

「これ、絶対イタミ少将には秘密ですね…」

ルビーは男の言葉に同意した。そもそもイタミ少将の前では絶対に見せないが。

絶対自分達以外が知るべきではない情報だと思った。男の持って来た物の中でも最上位に来る劇物だった。

 

「…人体にも効くか私で実験しますか」

サラーは男に人体実験を提案する。勿論、自分が検体となるつもりであった。

 

「駄目です。取り敢えず、耐性のある私が実験しますからそれから試して見てください」

男はサラーの狂気染みた提案を拒否した。少女にそんな真似はさせたくない。

 

普段拷問のような修行を化す男は自分のことを棚に上げていた。

男は自分自身8年間毒を投与し続け、毒を生成できる能力を身に着けている。

誰が見ても狂気のマッドサイエンティストである。

 

「…ペンギン達にあげてみる?」

トレーネは自分のことを棚にあげる男に思うところがあったものの一先ず保留した。

ペンギン達の知能向上以外にも別の変化があるかもしれないとトレーネは比較実験の必要性を男に提案した。

 

「賢くなるだけでなく、氷山を運んでいるペンギン達なら筋力増えたりするんでしょうか。

 トレーネが大丈夫なら頼みたいですが。結構な量が必要ですし、無理ならしなくても…」

男はトレーネの提案に大筋は同意した。

ただ、訓練の間に栽培することになるのでトレーネの時間が減る事を危惧して言葉を濁した。

 

「普段の作業と同じだし、大丈夫、です」

トレーネは男の危惧を不要と言い切った。

 

IQは特定の地でのみ栽培可能な固有種だとトレーネは気が付いていた。

男の発言はトレーネの能力で無理やり育てたのだと知っての思いやりと悟っていた。

だが、問題ないとトレーネは言い切れた。…トレーネの能力はもう既に覚醒の域にあった。

 

男が見出した小さな少女の才能は確かに魔海の主の後継者足りうる才能だった。

悪魔の実の覚醒、トレーネは覇気等の研鑽を積みながら三年でそこに至った天才であった。

 

 




・魔海の後継達
13人の少女達。魔海の主である男の反応からイタミ少将と何かあったと悟るが、進展はしていないと確信した。
海軍であるイタミ少将と結ばれれば男の為にもなると思ったが、自分達も強くなったので遠慮することは無いと計算もしている。
男の能力の一部を体験し続けたのでイタミ少将の外見年齢が変わらない種にほぼ気づいている。
男のルビーへの対応の変化から15歳より上なら押せば行けると確信した。

実年齢13歳の思春期による変化と勘づいているのは8歳のトレーネだけである。
飽くまで勘でしかないので言わない。だが、真実の場合、イタミ少将に遠慮する理由が減るだけなので隠すことにした。
男の精神的疲労も考えられる8歳の少女である。

・魔海の主
イタミ少将がいないので自由に話している男。普段隠していることも話せるので楽だった。
イタミ少将が上役に呼び出された理由に例のお節介おじさん達(五老星)が関与しているとほぼ確信している。余計なことをするに違いないが止められない。
自分は財宝等を海軍に引き渡していたが、後継にそれを押し付ける気はない。
実際、男が財宝を引き渡せるのは自分の能力をフル活用しているため。
良質な武器や悪魔の実だけは確保している。航海日誌等の情報媒体があれば不自然じゃない範囲で確保している。

実は襲った30隻に一つ悪魔の実があった。イタミ少将がいたがこっそりそれだけ抜き取った。
海賊の悪魔の実の記憶は消しているので問題はない。ただ、正直不要な能力の実であったためそのまま渡しても良かったかもしれないと思っている。
悪魔の実図鑑は暗記している。実の形まで掲載されていた悪魔の実なのでどんな能力なのか確信している。
勿論、鍛えれば強くなれるのは間違いないが、覇気や六式等で代用可能な超人系悪魔の実である。
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