魔海の主とその後継の少女達は海軍将校であるイタミ少将が不在な為にその後の鍛錬等を話し合い別れることにした。
最も新世界で暴れる金獅子のシキの幹部と戦った経験から各々学ぶことがあったようなので自分達で見つけてもいた。
男は少女達の特性を伸ばす為に必要だと思う資料や人材等を用意して後一年鍛えるつもりである。
後一年で大部分が四皇を足止め、ある程度互角に戦える大将クラスになり得ると男は考えている。
13人全員がそうなれば良いと考えつつ、イタミ少将は既に大将くらい強いと男は思った。
少女達全員がイタミ少将を倒せる強さを基準にしていた。
男はその対抗心を素晴らしいと煽ったは良いが何か嫌な予感がした。
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〇美食の町プッチ『フォーザデッド2号店』応接室
プッチの市長達へ自分が一週間も不在だったことへ謝罪等をしてきた魔海の主は明日の店再開の為に仕込みをしようとしていた。
だが、イタミ少将が連れて来た『部下』の存在で一旦作業を中止した。
あの五人、一体何を考えているのか。男は表向き世界最高権力者に対してイラっと来た。
「イタミ少将。すみませんが、改めて紹介お願いします」
男は内心を押し殺しつつ、イタミ少将に部下の紹介を依頼した。
「ええ、ティアさん」
イタミ少将は上層部の意図がわからない。だが、何となく腹が立った。
何だかわからないが、新しい部下に責任はないので勤めて感情を押し殺していた。
「昨日付けで特定支援班の班員となりましたティアです。よろしくお願いします」
十人中十人は振り返りそうな可憐な容姿の少女は場の空気を読まずに挨拶をした。
男が見てもわかる。これは美人局である。十代後半とか馬鹿なのかあの爺共と思った。
「それで、ティアさんは六式ではなく四式使い。鉄塊と指銃以外使えるみたいですが」
男は目の前の少女の戦闘力を分析して言った。
男は本当にギリギリ海軍本部大佐クラスと見積もった。
後の大海賊時代の大佐ならこれくらいもいる。
そして、ティアは高速船クルースニク3号に乗せられるギリギリくらいだった。
最高速をだしたらティアより弱いと普通に死ぬ。ティアでも死ぬかもしれない。
男の船は乗組員の耐久力を前提にされた設計であった。
「あ、いえ、あの…」
ティアは動揺した。魔海の主に関する極秘任務、裏からのサポートをしろと命じられていた。
だが、当の男が自分の使える武術から使えるものと使えないものまで見抜いていた。
「なるほど、新人なんですね」
男は爺達の行動力にある意味感心した。何も知らない新人を寄越した。
中々強いし、伸びしろもある。上位CPには欠けている人間らしい感情も大分残っている。
ここまでわかりやすいのを送って来るのは自分が裏で余程のことをしていない限り認めるということなのだろう。そこまで分析しても男はイラっと来た。
「お近づきの印にこれをどうぞ」
男は鉄塊を使えない新人に手っ取り早い悪魔の実を渡した。
先日潰した30隻の船の中で見つけた悪魔の実だった。
「え?…え?」
ティアは男から突然悪魔の実を渡されたことに困惑した。
食べればいいのだろうか。イタミ少将に思わず助けを求める。
元CP候補生として失格だが、訳が分からない。
「…これは何の実ですか?」
イタミ少将は男にツッコまない。男の高速船に乗せるのならティアは死ぬ。
その為に丁度良さそうな悪魔の実を持っていたから出したのだと確信する。
「カチカチの実です。身体を鋼鉄の強度、特性にすることが出来ます」
男は六式の鉄塊よりも硬度が高く、熱にも強い悪魔の実を紹介した。
熱伝導率で男の冷気をより広範に広げられるだろうし、熱ならその身に纏い攻撃できる。
覇気を使えば重ねがけできるので下手な動物系よりも耐久性が上昇するはずである。
「ティアさんが食べなくても構いませんが、イタミ少将ではない上に判断を委ねてください」
男は突然丸投げされてもわからないのでティアにそう言った。
「ですが、個人的には貴方みたいな人は好きですよ」
男はティアが美人局とわかりつつ、五人の老人の機嫌を損ねて殺されないように敢えて言った。
実際、ここまで素人感のあるわかりやすい人間は好みだった。異性としてではないが。
「ちょっ…!」
イタミ少将は男から出た言葉に思わずツッコみたくなった。
突然赴任した部下が男の好感度を上げたのは納得がいかなかった。
「…」
ティアはようやく自分がここに派遣された理由と男の振舞いを理解した。
極秘任務というか美人局であった。それがバレた自分への感情は最低だろうと確信した。
だが、目の前の男は最低1億ベリー以上の値がする悪魔の実と引き換えに何も知らない自分を守ろうとしてくれている。
男は一つ誤算があった。五老星が選んだ人選である。将来性はあるがただ間抜けの諜報員等送らない。
このティアは致命的に欠点があるCP候補生だった。
五老星がこの光景を見たら『かかったなアホが!』ということ間違いなしであった。
「私、政府仕えを辞めます」
ティアは自分を救おうとしてくれた男に尽くすことを決意した。
寒村でいらない子として山奥に捨てられた自分に1億以上の価値を見出してくれた。
「ん…?」
男は有り得ない事を聞いた。CPが自分の身分を明かした上に政府を辞めると言い出した。
そして、
「いただきます」
ティアはカチカチの実を食べようとした。
「ストップ!待って!後、イタミ少将、どうなっている!?」
男はティアの行動の意図がわからず、だが見聞色の覇気で未来が見えたのでティアを止めた。
男としてもイタミ少将に聞いても多分わからないとは思った。
「…」
イタミ少将は目の前の少女が即政府仕えを辞めると言い出して脳がショートした。
自分が散々海兵として悩んでいることを簡単に投げ出した様に見えた。
だが、ティアの目は命懸けで決めた者の目をしている。
それは、女の勘ではなく戦士の勘であった。
五老星は誰からも価値を見出されなかった過去を持つ少女ティアに魔海の主にぶつけた。
男の性格からして偽りの任務は即バレるが、ティアを絶対に守ろうと手を打ってくる。
その時、ティアは全てを捧げて男の為に尽くすだろうと計算していた。
無欲過ぎる魔海の主に美人局ではない本物を五老星は送り込んだ。
・ティア
原作ベビー5みたいな経歴の16歳。四式使い。
身寄りのない子どもを政府のスパイとして育成していたが才能はあるが、性格が駄目過ぎた。
処分するにしても才能は惜しいので悩んでいたところ、五老星の糞みたいな命令を受けたCP0が連れて行った。
それらしい任務を与えて送り込まれて、馬鹿みたいな事実を悟った。
任務失敗しても悪魔の実と引き換えに守ろうとして、真の任務であったら必要な言葉までかけてくれた男に心酔した。
男に死ねと言われたら死ぬくらいのガンギマリなのでイタミ少将に戦士の勘でヤバいと悟らせた。
・五老星
イタミ少将が男を押し倒さないので、丁度いい当て馬的ポジションを探すようにCP0に命令した。
糞みたいな任務にCP0はこれ以上ない程の逸材を持って来た。
諜報員としては最低値だが、惚れたら死んでも尽くす美少女という地雷を送り込んだ。
ティアの政府辞めるという知らせを聞き、作戦の成功を祝ったアホ五人。
・イタミ少将
戦士の勘でティアが魔海の主にガチ惚れしたと悟る。
怪しい部下と思ったら即辞められた。
動揺しているがこのままだと不味いと思っている。
・魔海の主
見事にボケ5人の罠に引っかかった男。政府が政府を裏切る諜報員を送り込んでくるとかわかるわけない。
一通り嵌められた後、ティアにカチカチの実を与えた。
ちゃんと言う事は聞いてくれるし、素直な子なので普通に人間としては好き。
ティアの才能を削っていた短所が自分によって消えた為、一年鍛えれば十分戦力になるので困っている。
諜報員も六式も短所が消えれば才能の塊となるティアを見て政府の人材育成に疑問を持った。