爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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高み

〇嘲りの町ジャヤ 『カフェ・アビス』ジャヤ店付近

 

その日、新世界から来た封印ジャウラ2億5千万ベリーの海賊がジャヤを襲っていた。

ジャヤの町にはあちこちに粘着質の網で何重にも拘束された人々があふれていた。

 

「ううん…痺れるゥ!!」

ジャウラは電気に痺れながら呟いた。

ジャウラは電気を発する宝石ダイナモンドを自ら飲み込んでいた。

 

そして、

「アミアミシビレ漁業!」

ジャウラは電気を纏った網を視界の範囲内全てに解き放った。

 

ジャウラはアミアミの実の網人間。

粘着質の網を飛ばしたり、自分そのものが網になったりする能力者であった。

体内に取り込んだ物の性質を網として使用もできる。

熱湯や金属、その他様々な材料で多種多様な攻撃と拘束が出来る捕縛のエキスパートだ。

 

その証拠に、ジャヤの厄介なペンギン達を何匹か捕縛していた。

ジャウラの仕事はこのペンギン達の捕縛で十分だった。

 

だが、

「ラファガ!」

ジャヤにいる女騎士がそれをさせない。

女騎士ザレシュカは電気網を飛ぶ斬撃とその突風で返した。

 

「やりますねぇ。元4千万が」

ジャウラはザレシュカの攻撃を素直に賞賛した。

魔海の主の犬とも言うべき海賊であったが、見合う強さを有していたと評価を改めた。

 

「…ワタシの仕事は珍しいペンギンをマムに献上すること。お互い引きませんか?レディ」

ジャウラはザレシュカに提案した。

元々、魔海の主が飼っている不思議なペンギンを入手するのが任務だった。

雑魚海賊のザレシュカ程度しかいないと判断し、部下達と共に来ていた。

ところが、ペンギン達が想定外に強く部下達は返り討ちに遭い自分一人のみ。

 

ザレシュカに時間を取られては怒り狂う魔海の主と正面からぶつかることになってしまう。

もしこれ以上時間をかければ魔海の主に出会う確率が高まってしまう。

ジャウラは圧倒的優位な状況と見せ、部下を気遣う紳士的な提案をザレシュカにした。

 

だが、

「…お前はアイツが怖いだけだ」

ザレシュカはジャウラの提案を飲むことはなかった。

ザレシュカにとってペンギン達は仕事仲間だ。

捕まったのも奇襲ということもあったが、孤児院の子ども達を庇おうとした結果だった。

 

何よりもビックマムの手下が本質的にザレシュカを見ていないのに怒りを感じた。

自分の弱さにザレシュカは苛立ちを覚えた。

 

「怖い…?いいえ、正常な判断と言って頂きたい」

ジャウラはマムと並ぶ巨大すぎる力を持つ存在を持ち出すザレシュカを一蹴した。

ジャウラはかつて新進気鋭のルーキーだった。己の力を過信し愚直に突き進んでいた。

だが、新世界で本当の強者達を知り、その配下に加わった。それだけの話である。

 

「大体、ユーもあの怪物の下にいる。ワタシと何が違うというのです?」

ジャウラは鉄製の網を武装色で硬化させ、ザレシュカに投擲した。

ジャウラからすればまだまだひょっこのザレシュカには致命的な一撃だった。

 

だが、

「私はアイツを殺すんだ!!」

ザレシュカは自身の剣ブラムを黒刀に変化させた。

圧倒的格上ジャウラの包囲網ごと突き破らんと己の力を振り絞った。

 

「ベンガンサ!!」

復讐の刃がジャウラの鋼鉄の網とぶつかり、そしてはじけた。

 

「何!?」

ジャウラは戦いの中で進化した鮮血の娘ザレシュカの一撃をまともに食らった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ザレシュカは自身の渾身の一撃を解き放った。正直、これ以上の戦闘は不可能であった。

だが、土煙が立ち込める中、敵はまだ立っていた。

 

「認めましょう。ザレシュカ・マーヤ」

ジャウラはザレシュカの一撃で肩から胸まで引き裂かれ血を垂れ流す。

だが、それは致命的ではない。薄皮一枚切れただけの浅い出血だった。

 

「貴方は強い心の持ち主のようだ。…だが、海賊の戦いに次はない」

ジャウラは圧倒的力を前に屈した己と奮起する目の前の娘と比較しつつも言い切った。

もう少し研鑽されていれば、自身への致命的な一撃になり得たとジャウラは分析した。

だが、次が無ければ無意味と言えた。ザレシュカもそれを理解していた。

 

「…貴方がワタシに挑むにはまだ早かった」

ジャウラはザレシュカを敵として認め、殺すことを決意した。

能力は使わず、己の腰にある剣を以てザレシュカに斬りかかる。

 

「…」

全力を出し切った騎士はジャウラの一撃が避けられないと悟った。

ザレシュカは死を覚悟した。走馬灯のように人生を振り返る中、仇である男の顔が浮かんだ。

 

「あー…遅れてしまった」

ザレシュカは母の仇である男が割って入ったのを見た。そして、そのまま気を失った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ザレシュカが気を失い、別の男が乱入してきた。そして、戦いは誰の目にも明らかだった。

戦いに巻き込まれ拘束されていた市民やペンギン達は男の足から放たれた斬撃で解かれた。

そして、そのまま全力で逃げた。乱入してきた男、魔海の主が戦えば余波で死ぬ可能性が高いので当然の判断だった。

 

「…海賊の戦いに汚いも何もないですよね?ジャウラさん」

男、魔海の主は紳士的な海賊に敬意を払いつつそう言い切った。

 

「…部下達は、いや、マムが許さないか」

ジャウラは計画が詰んだことを悟った。魔海の主を相手に出来る戦力はいない。

マムの所望するペンギンを回収し即帰る計画であった。

魔海の主と真正面から喧嘩を売って敵うわけがない。ジャウラはマムの無茶ぶりに精一杯努力していた。

 

「…その配慮は覚えておこう」

魔海の主はジャウラに向けてそれだけ言った。

男は全力で抵抗しようとするジャウラより少し早く動いた。

ジャウラは身体を網状にして打撃を緩和しようとした。

だが、網の身体を男の拳が引き裂いた。

 

ジャウラは遠のく意識の中で、自身が諦めた高みを目指す娘に幸運を祈った。

 




・封印ジャウラ
2億5千万ベリーの賞金首。ビックマム配下の珍獣ハンター。
魔海の主の飼っているドウモウペンギン達を所望された可哀想な人。
魔海の主のいないジャヤにいるペンギンを奇襲して数匹奪って即逃げるつもりだった。
思いのほかペンギン達が強くて部下が沈んで、ザレシュカに時間を稼がれた。
ザレシュカが時間を稼げたのが奇跡と言うべき実力差である。
魔海の主が来て計画は失敗なので、部下達の助命を願いつつ自分はマムの配下として全力で戦った。
なお、魔海の主に部下は見逃された。その事を後で知って魔海の主に感謝した。
部下達はマムのところに戻ってジャウラの奪還を懇願したが一蹴された。

アミアミの実の能力者。オリオリの実と似ているが、体内に取り込んだ物質で網を作れ、身体自体が網になる等の差がある。アニオリで登場したアミーゴの能力。
トンカチを食べて鉄製の伸縮自在な網、熱湯等ある。
基礎は粘着質の網だが、何重にも重ねることで新世界前のルフィ達すら拘束可能。
強いて言えば火に弱いが体内に取り込んだ材質次第で対策できる。網特化のバクバクの実というべき能力。

・ザレシュカ
カフェ等の同僚のペンギン達が狙われているのはわかったが、子ども達を庇ったせいで捕まったのもあり戦いを決意した。
2億5千万ベリーの大物に勝てはしないものの一撃与えられたのは偉業。
敗北を糧に更に強くなれる模様。途中で割り込む形になった魔海の主に怒りつつ、感謝もしている。
完全な決闘なら兎も角海賊の戦いに卑怯も糞もないため。

・ビックマム
魔海の主の飼っている珍しいペンギンを欲した。長男が全力で止めたが無視した。
長男が魔海の主に事前交渉するとかする前に動き始めたので最早止められなかった。
長男の姿勢から息子たちではなく、手勢の部下に命じたが案の定失敗した。
しょうがないと思ったが、海賊が欲しい物を妥協することは有り得ないとも思った。
後日、自分の意思でマムの元に来たペンギンを見て満足した。
手に入れた後になって魔海の主との戦争は流石に不味いと思いなおし、これ以上の干渉はなるべく控えることにした。

・五老星
魔海の主がビックマム相手に本気で戦争しようとするのを全力で止めた。
ソルソルの実の能力をマザーカルメルの情報から知っていた為、相性が悪いと判断した。
なお、男がビックマムの天敵だと知らない。男はホーミーズを吸収し、自分の力に変換できる。
ただし、その事実を知っていても均衡が崩れるので悩みはした。

・魔海の主
ザレシュカとの戦いは決闘ではないので割り込んだが若干後悔した。
ジャウラには敬意を持って倒し、部下達は一応その場では見逃した。

本件で責任を感じたペンギンがビックマムのところに行った。それを後から知り激怒した。
ペロス君からペンギンは自分の名を以て丁重に扱うと約束されたので矛を一旦収めた。
ペロス君との文通がなければ本気でビックマムと戦争する気だった。
マムが珍獣コレクターで本にして拘束するような真似をする可能性があった為。
ペンギン自身の意志とペロス君の確約、ついでに五老星の説得もあり辞めた。

男の分身体であるエインヘリャルが自分の意思でシュシバルバを起動し、ジャウラからアミアミの実の能力を奪った。
男が思いついても辞めた行為を実行したので、自分より倫理観ないのではないかと思っている。
ジャウラは海楼石の手錠をされた状態で連行されたのでその事実を死ぬまで気が付くことは無い。
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