爆発オチなんてサイテー!   作:kohet(旧名コヘヘ)

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人生の勝者

 

魔海の主が後継達に課した最後の修行期間である2年が経とうとしていた。

男は少女達に引継ぎの大部分を終え、自身の次なる計画の為に準備を始めていた。

 

そんなある日、男は15歳になったルビーから大事な話があると言われた。

男はイタミ中将等がいない時間帯に自身の店にルビーと対面していた。

 

男がルビーにここでの話は絶対漏れないと断言して話を聞くことにした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇美食の町プッチ『フォーザデッド2号店』応接室

 

「好きです」

ルビーは男へ開幕早々に告白した。

長い赤髪に琥珀色の瞳、少女から大人になりつつある美少女は最初に結論を言い切った。

 

男は普段の黒を基調とした袖口が赤いブラウスやスカートと違うことに気が付いた。

ルビーは胸が少し開いたノースリーブの赤いドレスであった。

…男はほぼ全て察したが念の為に聞くことにした。

 

「…ライクではなくラブの方?」

男はライクだと良いなと思いながらもルビーに尋ねた。

顔は真剣そのものであり、男としてもどんな回答されようとも逃げる気はない。

 

だが、

「はい」

ルビーは男の質問に即答した。

 

「…ちょっと待ってください」

男はルビーのあまりの即答に思考を整理する時間を求めた。

ルビーの顔はガチである。実年齢14歳となっていた少年はルビーが本気だと確信した。

 

「私もルビーのことは好きですが…肉親の情的な感じなんですが」

男は一応本心を言った。同時に遠回しの拒否でもあった。

 

「知っています」

ルビーは男の遠回しの拒否など気にもせずまたもや即答した。

目の前の男が鈍くないと知っているルビーは建前など気にせず言い切った。

 

「まだルビーは15歳ですよね?他に気になる男性とか…」

男はルビーに再度考えを改めるように促した。

こういう優柔不断な男に本気になってはいけないという想いがあった。

 

だが、

「貴方以外いません。…今までもこれからも」

ルビーは男が言う心変わりを否定した。

思春期の一時の気の迷い等と言うものではない。

どういう回答であろうともルビーは男に一生を捧げるつもりでいた。

 

「時間が必要ならずっと待っています。だから…」

ルビーはまだ子どもだという退路を断った。

男からどう思われているかは別として本心からの言葉だった。

 

「私、いや、俺は碌でもない男だぞ?」

男はルビーの本心からの言葉に正直に答えることにした。

 

「現段階でも責任取るしかないのではないかと思っている女性がいる」

男はルビーにそういう告白をスルーしていたと話す。

ルビーは男の事情を察していたので微塵も動揺しなかった。

 

「しかも、複数だ。…常識的に考えて優柔不断の屑男だ」

男はセフィ・ローズの件やらラウフ、ついでにイタミを思い出して言った。

10代前半で恋愛や情緒等を理解し切る前に男は女性達へ色々仕出かしていた。

男の姿は成人しているので言い訳できないし、する気もない。

男が本来の姿に戻って謝罪するにはもう手遅れだった。

 

「私は、貴方を好きになりました」

ルビーは男の全てを飲み込んだ上で改めて自分の想いを強調した。

そんなことはとっくに理解していたルビーにとってその程度は些事であった。

 

「…ありがとう」

男はルビーの態度に謝罪しそうになるも、言葉を飲み込んで感謝の言葉を述べた。

男の謝罪はルビーの想いを無下にするような行いだと無理やり飲み込んだ。

 

「だが、やはり早すぎる。もう少し落ち着いて話したい」

男はルビーが15歳という事実を挙げた。

男はもはや拒否するつもりはないが自身の常識が拒絶した。

 

「貴族の成人は18歳でしたよね?」

ルビーは男の言質を捕らえたとニヤリと笑みを浮かべた。

そして、ここまでくればイタミ中将が何をしようが無駄であると確信した。

 

「私を幻滅させる為に色々頑張っているのがバレバレですよ」

ルビーはクスクスと笑った。

悪戯が成功した子どものような、だが品のある女性らしい振舞いだった。

 

「どうしてこうなったのかなー…なんだかなぁ…」

男は魅力的な女性となったルビーを見て何とも言えない気持ちで呟いた。

真っ当に幸せになって欲しかったのだが、自分が真っ当ではないのでわからなかった。

 

男はルビーに本気で迫られたら拒否できない感情は抱いていた。

言語化できないが、彼女達へ独占欲でもあるのかと自己分析をしていた。

 

「今日は一緒に寝ますか?」

ルビーは男の疲れ切った態度を見て提案した。なお、ルビーはガチである。

 

「怒りますよ?流石に」

男はルビーへ警告した。感情を制御できる限界であった男は理不尽にキレそうであった。

 

「…はーい」

ルビーは惜しいと思いながら退くことにした。

これを無視すれば本気でヤバいとルビーの生存本能が警告していた。

 

男が断りきれない性分を突いて攻略したルビーは満足した。

この回答だと男はルビーだけ特別扱いするのは不可能である。

ルビーは目の前の男から年齢での拒否という告白の回答を引き出した。

最年長15歳で抜け駆けしたが、負い目を感じない成果を持ってルビーは撤退した。

 




・魔海の主
娘と思っていたルビー(15歳)から告白された14歳。
拒否しようとしたが、出来ない自分に動揺している。
誘惑してくる同年代の少女達に抱く感情を制御してきた自制心の塊である。
地味にラウフの提案の真意に気が付いた。自己犠牲的な告白なので後日叱るつもり。

・イタミ中将
遂に15歳の少女に先を越された24歳(21歳)。
男にとっては色んな意味で特別ではある。敗北者と言われたら立ち止まってしまう。
プッチの町から魚人島へ行く男に着いて行く予定であり、武器の手入れをしている。
男から貰った業物に変化を感じている。剣士として更なる高みに至ろうとしている。

・ルビー
15歳となり、もう告白しても良いと思って告白した。
男が最終的にどれ程、女性に囲まれようが気にしない。
それ以上の功績があるのでそれくらいは当たり前だと思っている。
他の少女達に抜け駆けしたが、年齢での拒否という回答を引き出したので問題ないと思っている。
実際、ルビーだけ特別扱いするのかと迫る口実が出来たので許された。
イタミ中将に力では勝てないが、人生の勝者である。

・五老星
この場にいればイタミ中将は敗北者だが、ティアなら問題ないなと開き直る。
この事実を知ればイタミ中将のことを『敗北者』と仲間内で呼ぶようになる模様。
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