(え、江戸川、コナン……!)
リュウダは自分を見上げてくる眼鏡をかけた小学生の男の子の顔を見て叫びだしそうになったが、何とか堪えて目の前の男の子が自分の知っている人物なのか確認する。
江戸川コナン。
言わずとも知れたサンデーの看板とも言える超長寿推理漫画の主人公。
その正体は日本一の名探偵と呼ばれる高校生探偵の工藤新一。ある日彼は謎の組織によって飲まされた毒薬によって小学生の姿となり、それからは父親が探偵業を営んでいる彼女の家に居候をして、自分を子供の姿にした組織を追いながら様々な事件を解決していくというのが、名探偵コナンの大体のあらすじだ。
しかしコナンやその関係者が行く所では必ず殺人事件や大きな事件が起きるため、今ではコナンのことを名探偵ではなく死神なんじゃないかと疑う読者も少なくない。ちなみにリュウダもコナンを死神なんじゃないかと疑う読者の一人で、コナンに出会わないことを心から祈っていたのだが、どうやらその祈りは無駄に終わったようだ。
何故ならば、リュウダが万が一の期待を込めて目の前の男の子を確認したら漫画やアニメで見たコナンそのものであったし、周りにはダークソウルの世界に登場するダークレイスの姿も複数確認できたからだ。しかも……。
複数のダークレイス達は、まるで◯ラーの神を崇拝するかのようにコナンの周りで、何度も何度も全く同じタイミングで崇拝の礼を行っているのである!
(か、確定……! やっぱりコイツは江戸川コナンで間違いない! しかもやっぱり江戸川コナンは死神だったんだ……! こんな風にダークレイス達に崇められるだなんて、『最初の死者』だって出来ないぞ? いや、『四人の王様』でも無理なんじゃないか?)
リュウダがダークソウルの世界にいる死者を統べる存在やダークレイスがいるエリアのボスを思い浮かべながらコナンを死神だと断定していると、その現世に降臨した死神の小学生は首を傾げてリュウダに話しかける。
「ねぇ、お兄ちゃん? どうしたの?」
「っ!? い、いや、何でもないよ? ……そ、それより君はどうしてこんな所にいるのかな? ここは殺人事件が起こった危ない所だから、早く帰ったほうがいいよ?」
リュウダはダメ元でコナンを帰そうとするが、やはりコナンは帰ろうとせずにリュウダの質問に答える。
「ボク、この近くで友達と待ち合わせの約束をしていたんだけど、騒ぎがしたからやって来たんだ。……それでお兄ちゃん、さっきの影、もう一度見せてくれない? ボク、あの影の動きで少しだけ気になる所があるんだ」
『『……っ! ぼ、ボク! それは本当かい!?」
流石は推理漫画の主人公。リュウダが出した被害者の影の動きから犯人のトリックに気付きかけているようで、コナンの言葉にその場にいた警察官二人が真っ先に反応した。
「あの……? いきなり現れた子供の言葉をそう簡単に信じていいんですか?」
コナンの言葉にすぐさま食いついた警察官二人を見て、リュウダは思わず思ったことを口にする。普通に考えれば子供を殺人事件に入れたり、その言葉を鵜呑みにするだなんてあり得ないことなのだが、この米花町は普通とは違っていた。
「普通に捜査しても何も分からないのだから、手がかりとなるならば情報源はどうでもいい!」
「被害者の霊まで呼び出して何も分からないとなれば、祟られるかもしれないからな。事件が解決するならばどんな手も使う!」
「………!」
リュウダに聞かれて情けないことをはっきりという警察官二人。しかし実際に霊がいるこの世界、それも毎日のように事件が起きる米花町で霊に祟られたらロクな目に遭わないことは明白なので、リュウダはそれ以上何も言うことができず再び被害者の影を作り出すのであった。