電子で構成された戦場。
そこに多くの爆炎を生み出しながら駆け巡る物があった。
白と青のガンダム、名をメディウス。
まるで満たされないというかのように次から次へと付近の機体を撃破していく。
そうしてあたりが静かになったころ、メディウスのコックピットに敵機接近を表すアラートが鳴った。
すぐさま右手に持つ複合兵装アルメヒティの銃口を向けるが、相手が武器を構えていないのを見て降ろす。
やってきたのは黒いジムⅢの改造機、何か引っかかるものを感じたメディウスの使い手パルスは通信を入れた。
「ここは戦闘エリアだぞ、武器も構えずに来るとはどういうつもりだ?」
自分の戦いを邪魔された苛立ちからか少し威圧的な態度で話す、しかし帰ってきたのはこの場所には似つかない言葉だった。
「あ、あのっ!僕と、バトルしませんか?」
「は?」
戦いたいならメディウスを見つけた瞬間撃てばいい。
ここは戦場、不意打ちでやられても文句は言えない。
だというのにこのジムの使い手はわざわざそんなことを言ってきた。
「もちろん、乱入なしの一対一で、です」
「何故俺を選んだ」
少年の補足を無視し疑問に思ったことを聞く。
驚くことにこの時パルスの思考はバトルをする方向へと向いていた。
なぜかはわからない、しかしこの少年と戦わねばという思考が彼を支配する。
戦えと、勝敗関係なしに満たされるはずだと頭の中で誰かの声が響く。
「分かりません、でもその機体を見たら戦いたくなって」
「奇遇だな、俺も同じものを感じている」
「じゃあ……!」
「ああ、やろうか」
デュエルの申請を送る前にパルスが口を開く。
「お前、名前は?」
デュエル申請用のカーソルを合わせれば分かるはずなのに、彼は名前を聞いた。
その意図を理解したのか、少年は少し笑い自らの名を名乗る。
「オノサカです、あなたは?」
「パルスだ」
オノサカの眼前に出現するデュエル申請のウィンドウ、彼は一瞬の迷いもなく承諾のパネルを押した。
瞬く間にカタパルトの中へと景色が変わる。
となれば彼らのやることは一つだ。
「ジムⅢアンルヴォル!」
「メディウス」
「出ます!」
「投下する」
己が機体の名乗りを上げ、アンルヴォルはカタパルトから射出、メディウスは開いた穴から投下される。
今回のバトルフィールドは狭く設定された砂漠の中、大した遮蔽物もないためすぐにお互いがお互いを認識し
全く同じ動きでビームライフルとアルメヒティを構えた。
発射と同時に回避行動、狙いが正確だったのか二つのビームがぶつかり、その場で霧散した。
空を飛ぶアンルヴォルと違い落ちていくメディウスはバックパック中央部を展開。
「オーバードブースト、起動」
と呟くと、展開されたバックパックから覗く一際大きなスラスターにエネルギーが集まり、放たれた。
レーシングカーのような音と共にとてつもない加速力を得るメディウス。
すぐに解除されたとは言え時速3000㎞の加速力は伊達ではない、慣性を乗せアンルヴォルへ接近する。
対するオノサカは相手の加速力に驚きつつもすぐにビームライフルとシールドを構え撃ち、
「当たれ!」
続けざまに肩のミサイルを全弾発射する。
ビームライフルはけん制程度の物のため当たりはしないが追尾してくるミサイルとなれば話は別だ。
バックブーストをかけアルメヒティと両腕のビームバルカンでミサイルを迎撃する。
ミサイルは八発、その全ての迎撃に成功するがオノサカからすればそれは分からない。
念のためビームライフルをビームサーベルに持ち替えて黒煙の前で静止する。
しかし、その判断が悪手だった。
先ほどと同じレーシングカーの様な音と共に、黒煙の中からアルメヒティをソードモードにしたメディウスが突撃してくる。
シールドを前に構えていたのが幸いし本体にまでダメージは無いが、左腕ビームバルカンからサーベルを展開したのを見てオノサカはシールドをパージすることを判断、バルカンを撒きつつバックブーストで距離を取る。
「浅いか、だが!」
「まだ来る!」
オーバードブースト程ではないがそれでも侮れない一瞬の加速で距離を詰められる、パルスはこのブーストのことをクイックブーストと呼んでいた。
左腕サーベルを大げさなほどに大きく振るメディウス。
その陰から出てきたのは四基のみ装備していたCファンネル、咄嗟のこととはいえオノサカは回避するが腰に装備したバズーカに被弾してしまう。
誘爆から逃れるためにパージ、もう一度メディウスを見据える。
「強いな」
「そっちこそ、けど
まだ本気じゃないでしょう?」
「ばれたか、お互い様だとは思うがな」
そう、二人の機体には時限強化系のシステムが搭載されていた。
そしてどちらもがここでその手札を切るべきだと判断する。
「さあやろうぜ、メディウス」
「行こう、アンルヴォル!」
メディウスのモニターには告死黒鳥の文字
アンルヴォルのモニターにはNMETの文字
二人が、闘志を剥き出しにして叫ぶ
「消えてもらおうかッ!」
「倒します!」
その声に応えるように機体が変化を始める。
メディウスはツインアイと胴体クリアパーツの奥が赤黒く光り、バックパックから同色の翼が生え、
アンルヴォルは赤いバイザーの奥が更に深く朱く染まり、前身のダクトが排熱で赤熱化している。
二機の間に静寂が訪れた、がそれは二機が全く同じタイミングで動いたことにより破られる。
アルメヒティとサーベルが打ち合わされ、拡散ビームをCファンネルで弾き、グレネードをバルカンで迎撃し、またサーベルとアルメヒティが打ち合わされる。
「ああ楽しいなあ、オノサカ!」
「楽しいですね、パルス!」
全力でぶつかり合う一進一退の攻防戦。
本能の赴くままに戦う二人。
実力は拮抗している、どちらが勝つかなんて分からない。
いや、もしかしたら引き分けで終わるかもしれない。
それでも彼らはぶつかり合う、楽しいから、勝ちたいから、そして何より
いつかの『約束』を果たすために
申し訳ないけど、このお話はここでおしまい
この先を見るなんて無粋だもん
あ、でもお話なのにタイトルがないね
うーん……、あ、これにしよ!
きっとこれが一番似合うはずだよ!
ガンダムビルドインターセクションAfterStory
『約束』が紡ぐ、二人の友情