【完】再会した幼馴染オカルトマニアちゃんにお薬飲まされて何やかやあった後の話   作:いらえ丸

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 感想・お気に入り登録など、ありがとうございます。
 誤字報告もマジ感謝です。

 例によって長くなったので分割です。カヤノ視点ちょっと長すぎませんか?
 そんでもって勢い任せの適当文章とはいえ、この執筆速度は自分的にびっくりです。感想のおかげです。マジです。

 今回、例によって独自設定独自解釈多めです。
 オイオイオイってところがあるのは筆者も承知しています。
 よろしくお願いします。


【カヤノ編3】この街で、長姉はバスを降りた

 旅はいいぞ、とパパは言う。

 島めぐりはいいぞ、ともパパは言う。

 要するに、パパはアローラの島を巡る旅はいいぞと言いたいのだろうと私は思う。

 

 しかし、いざアローラにやって来た私の頭は、来る試練に向け鋭く研ぎ澄まされ、いいぞとかよくないぞとかの感性はそぎ落とされていた。

 緊張と、ほんの少しの余裕。

 島めぐりへは、遊びで挑む訳ではなかった。

 

 

 

 メレメレ島に着いてしばらく、私は父方の祖父の家にお邪魔して島めぐり前の最終調整をしていた。

 孫に会えて喜ぶ祖父と祖母だったが、申し訳ないが今回の私は大事な試練の為に此処に来たので、そんなに孫サービスをできる余裕はなかった。

 体調管理に、ポケモンたちの調整。初めての地に困惑するニャオハだったが、今後たくさん活躍してもらう予定なのだ。少しでも早く環境の変化に対応できるよう、積極的に外に出してアローラの匂いを覚えてもらった。

 

「じゃ、行ってきます。おじいちゃん、おばあちゃん」

 

 そして、島めぐり開始当日。

 私は島めぐり用に買ってもらった靴と服と道具とその他諸々を装備して、島めぐりの証を貰いに行った。

 証を貰う段になって、島の管理人さんから出発前に3匹のポケモンから1匹を選んで連れていくよう勧められた。

 私には既にブラッキーとニャオハがいるから大丈夫……と断ろうとしたのだが、ふとほのおのポケモンを見ると気が変わった。

 

「ニャビー、良い眼してるじゃない」

「にゃぶ?」

 

 私はパパ同様にあくと相性のいいトレーナーである。普段ほのおにはあんまり興味は湧かないのだが、なんかこの子には運命的な何かを感じてしまった。

 私の勘は当たるのだ。一瞬断ろうとしたが、やっぱりやめてニャビーを連れて行く事にした。訊いて見ると、案の定ニャビーは進化するとほのおとあくの複合タイプになるらしい。

 実に冴えてて幸先が良い。私は新たにニャビーを手持ちに加え、ブラッキーとニャオハとニャビーの3匹で島めぐりを始める事になった。

 なに、パパもあく縛りでクリアしたのだ。私にもできるさと、意識して気を緩めた。緊張しっぱなしでは心が保たない。ニャビーのおかげでそう思えた気がする。

 

「トレーナー同士! 目と目が合ったらポケモンバトル!」

「あ、急いでるんで」

「グワーッ!」

 

 それはそれとして、楽しくないガバ要素は省いていく所存。

 道中、絡んでくるトレーナーを鎧袖一触しつつ、私は順調に試練を突破していった。

 

 父や先生の言う通り、確かに島めぐりは過酷な風習だった。

 アローラの気候は変わりやすいし、野生のポケモンたちも精強だ。単にポケモンバトルが強いだけじゃあ、結構厳しい旅になるというのもむべなるかなであった。

 ただまあ、私は事前にパパから旅の薫陶を受けてきていたので、それほど危ない目に遭う事なく進めていけた。

 

 幸先よくどんどん進めてメレメレ島を出る頃には、島めぐり前にあった無駄な緊張は解れてアローラの景観などを楽しめる余裕も生まれていた。

 モトトカゲだって止まるのだ。少しくらいゆったり行こうと思うようになったのだ。

 

「見て見てニャビー、アママイコたちが群れてるよ。かわいいね」

「にゃー?」

「経験値どれくらいになるだろ……ゆけ! ニャビー!」

「にゃー!」

 

 道中には、パパの言っていた通り素敵な光景がたくさんあった。

 パルデア地方とはまた違う自然と、そこに住まうポケモンたち。街や港も雰囲気というか何というかが独特で、かと思えばマリナードに似ている部分もあったりして面白かった。

 

 だが、まあ……。

 

「いつか、ダークライも連れてきたいな」

 

 そう、あくまで私は立派なトレーナーとして認められる為に島を巡っているのである。

 名残惜しいが、私は綺麗な光景や素敵な街はほどほどに試練を進める事にした。

 

「ガオガエン、キズぐすり使うよ? ちょっと染みるけど大丈夫だからねー」

「がぅぐぁ……!」

 

 最高効率のトレーニング。最高効率のルート。最高効率のバトル。

 私の島めぐりは、効率的に進んでいた。

 

「マスカーニャ、ブラッキー。痛いところはない?」

 

 だが、あえて不合理で非効率的にしているところもあった。

 私は、手持ちのポケモンを最初の3匹で固定していたのだ。

 

「よし、行こう。みんな!」

 

 それというのも、私の腕と適性があれば、島めぐりは最初の3匹で事足りていたからだ。

 旅の中、良い感じのあくポケモン自体はいたのだが、不思議とピンと来る子はいなかったというのも大きい。ていうかそれが一番だ。

 あの子でもないこの子でもないと厳選していたら、いつの間にか島めぐりも終わりが近づいていて、じゃあもう3匹でいいやとなっていたのである。

 

 急ぐ旅ではあったし、ブラッキーたちの力不足を感じた時などは事前に鍛錬や対策をして、時間をロスする場面もあった。

 島めぐり効率は悪くなっていたが、いつしか大好きな3匹で行く事にこだわるようになっていた。

 自分にこういう面がある事を知れたのも、島めぐりのおかげかもしれない。

 

「ありがとう! がんばったね、マスカーニャ!」

 

 そんな私に、ポケモンたちも応えてくれた。

 パルデアからの付き合いのニャオハはニャローテに、そしてマスカーニャへと進化した。その俊敏さはバトルのみならず旅の中で大いに役立ってくれた。

 メレメレ島からのニャビーはニャヒートに、そして筋骨たくましいガオガエンに進化した。その力強さはいざという時にとても頼りになった。やはり筋肉、筋肉は全てを解決する。

 元々強かったブラッキーも、私のエースとして大いに活躍してくれた。最後の試練など、もうダメかという時にブラッキーが踏ん張ってくれたから突破できたのだ。

 

 絞めるところは絞めて、拘るところはとことん拘る。合理性とロマン。効率と無駄。色んな事があって、色んな事を知って、そんなこんな答えもない曖昧さを許容できるようになって……。

 そうやって、私の島めぐりは完遂されたのだ。

 

 ブラッキーとマスカーニャとガオガエン。

 最後まで、この3匹で。

 不完全だけど、最高の旅ができた気がした。

 

「じゃあねー! また来るからねー!」

 

 島めぐりの後、私はお世話になった祖父祖母にお礼を言って、翌朝にはパルデア地方に戻って行った。

 

 さて、島めぐりを完走した感想だが……。

 島めぐりは、良い文化だと思いました、まる。

 

 惜しむらくは、やっぱりダークライがいなかった事である。

 夢でも会えなかったので、寂しかったのだ。

 

 

 

● 〇 ●

 

 

 

 マリナードタウンに帰ると、港では我が家一同にお迎えしてもらえた。

 未だ赤ちゃんの双子弟妹たちもそれぞれパパママに抱っこされていて、相変わらずドラパルトの上に乗っている弟とウーラオスに肩車されている妹は実にいつも通りだった。そこに、すっかり日焼けした私も合流した。

 ここにダークライを入れて、完成するのだ。

 

 で、だ。

 

「カヤノ、君にこのボールを渡す」

 

 おうちに帰ると、私はパパからひとつのボールを手渡された。

 それはダークライの入っている真っ赤なプレシャスボールではなく、上側に三日月マークが描かれた赤紫の謎ボールだった。

 なにこれ? と訊いて見ると。

 

「レンジャー協会に新しく作ってもらった、世界にひとつだけのダークライ用のボールだ。仮の名前だが、ダークドリームプレシャスボール……っていうんだ。やっぱ長いよなぁ」

 

 その、ダークなんやらのボールの機能とは、こうらしい。

 ひとつ、プレシャスボール同様、入っている間はダークライの悪夢エネルギーを吸収し、無害なエネルギーに変換できる。

 ふたつ、外に出した後も、ダークライの悪夢エネルギーをある程度抑える事ができる。

 みっつ、ボールの中はダークライの住環境に最適化された構造である。

 

「カヤちゃんが島めぐりを達成できるのは分かってた事だからな。カンムリ雪原の後、協会と交渉して特別に作ってもらったんだ。研究には、ダークライにも協力してもらった。カヤノには黙ってたけど、ダークライには了解を得て……」

「パパ!」

 

 私は何だか無性に嬉しい気持ちになって、気づけばパパに抱き着いていた。

 ほんの一瞬、ママからものすごい目で睨まれてしまったが、どうせ夜のひでんスパイスにするつもりなのだろうし、今くらい許してほしいものである。

 

「久しぶりだね、ダークライ」

「……、……、……」

 

 そんなこんなでダークライとも久々のご対面。

 夜、人目につかない家の中で、ダークライをプレシャスボールから出した。

 相変わらず、ダークライは不気味な見てくれをしていた。だが、私からすると何故だか安心する容姿なのだ。そのうち、他の人も慣れるだろう。

 

「ただいま、ダークライ」

 そのまま、握手をするようにダークなんとかボールを差し出すと、彼は握手に応じるようにして自ら新たなボールへと収まり直してくれた。

 そうして、私は協会公認でダークライのトレーナーになれたのであった。

 

 島めぐり達成者、ポケモントレーナーのカヤノ。

 未だ11歳の事であった。

 

 

 

● 〇 ●

 

 

 

 島めぐりから時が過ぎ、ポケモントレーナー・カヤノ12歳。

 その頃の私は、弟や妹を可愛がって生活していた。

 

 朝はママの料理を手伝い、スクールに行く上の弟妹をお見送りし、ぐずる下の弟妹をあやしたりしていた。

 昼はダークライや他のポケモンたちのお世話やお手入れなどをして過ごし、ママがお仕事で忙しい時は双子弟妹のオムツを取り替えたりした。

 夕方になると上の子らが帰ってくるので、一緒に遊んだりお勉強を見てあげたりして過ごした。

 夜になると上下の弟妹たちを早めに寝かしつけ、パパママの邪魔をしないよう裏工作していた。

 

 なんというか、正式にダークライのトレーナーになれたものの、私の生活は以前までとあんまり変わっていない気がしていた。

 むしろ、スクールに通っていない分暇しているまである。

 アカデミーに通うという選択肢もあったのだが、何だか今はそんなに乗り気になれなかった。

 

「どうすればいいんだろうねぇ~」

 

 おうちの屋根の上、ダークライと一緒に日向ぼっこしながらぼんやりする。

 すべき事、やりたい事は、そんなにすんなり出てこないものだ。

 ポケモンがいて、パパがいて、ママがいて、弟や妹たちがいて……。

 割と満足していると思うのだが、何故か私の心はざわついていた。

 

「これからどうしよっか、ダークライ」

「……、……、……」

 

 当然だが、ダークライは何も言ってはくれない。

 だが、彼の意思は伝わる。

 伊達に赤ちゃんからの付き合いではないのだ。

 

「……、……」

 

 ダークライは、空を――海の向こうを見ていた。

 遠く、カロスかイッシュかガラルの空を見ていたのだ。

 

「……旅に出る、か」

 

 よし、と起き上がり、準備を始める。

 旅の準備だ。

 

 既に要領は掴んでいる。島めぐりの応用だ。服と靴と装備とポケモン、これさえあれば旅ができる。

 お金は島めぐり中に親切なおじさん達にもらったきんのたまで何とかなるだろう。何とかならなかったら、その時は適当に何とかしよう。

 

「という訳で、私明日カロスに行くね」

「「えっ!?」」

 

 夕食中に家族に伝えて、翌朝船に乗ってカロスへGO。

 もちろん、ダークライも一緒だ。

 

 意味も理由も目的もない旅が、今はじまる!

 

 

 

● 〇 ●

 

 

 

 旅はいいぞ、とパパは事あるごとに言っていた。

 島めぐりの時は、その意味を半分くらいしか理解できなかったが、今なら分かる。

 

「旅は良いねぇ……まさに文化の極みだよ」

 

 ホウエン地方のとある森。私はコーヒー片手にキャンプを満喫していた。

 

 旅は、良いのだ。

 事実、意味も理由も目的もない旅は私に良い経験をさせてくれた。

 一歩歩けば違う景色。地方跨げば違う世界。パルデアやアローラだけじゃない。色んな地方の色んなポケモン、色んな人々との出会い……。

 その全てが、私の心を充実させてくれた。それに愛すべき仲間が加われば最強だ。

 

 現在、私の手持ちポケモンは6匹である。

 子供の頃から一緒のブラッキー。

 10歳の時に出会ったマスカーニャ。

 島めぐりでお世話になったガオガエン。

 初めての友達のダークライ。

 

 それから、旅で出会った2匹のポケモン。

 ガラルで出会ったサザンドラ。

 シンオウで出会ったダイケンキ。

 

 サザンドラはガラルのワイルドエリアで出会ったポケモンだ。

 当時、ダークライにちょうどいいバトルの相手はいないかなーとワイルドエリアを練り歩いていた時、なんか暴れていたサザンドラがいたのでダークライと戦わせてみたのだ。

 それから、まぁ何かビビッときたのでゲットしたのである。

 

 ダイケンキとの出会いはちょっと普通じゃなくて、この子はシンオウ地方で拾ったタマゴから生まれたミジュマルが進化して今に至るのだ。

 普通じゃねと思うかもしれないが、至った先が通常とは違ったのと、タマゴを拾った場所が特殊だったのが普通じゃないポイントなのだ。

 なんと、順当にフタチマルになったこの子は。次の進化で図鑑とは違う姿のダイケンキになっちゃったのである。原種と違い、このダイケンキは甲殻が黒く、アシガタナがギザギザしている。髭も長いし、なんか目つきも悪い。なによりタイプがあくタイプだ。

 先述の通り、タマゴを拾った場所も普通ではなかった。テンガン山の洞窟の中にポツンと放置されていたのを私が保護したのである。最初は捨てタマゴか野生のズバットあたりのタマゴかと思ったが、生まれてきたのは何とミジュマルでビックリ、進化したらあくタイプになってさらにビックリ。

 ビックリしすぎて何かの病気を疑ったものだ。謎の黒ダイケンキに進化した際、その足で近くのポケモン研究所に行って調べてもらった。するとどうやら、この黒いダイケンキは大昔のシンオウ地方でのみ確認された古のダイケンキの姿なのだという。実際、古い文献には記述があった。

 で、お金あげるからダイケンキちょうだいとか言ってきた研究員を押しのけシンオウ地方にサヨナラバイバイ、私はこの子と旅に出た。

 

 閑話休題……。

 

「旅は良いねぇ……」

 

 再度、コーヒーを飲みながらしみじみと呟く。

 焚火を囲んでいるポケモンたち。遠い星々。夜の静寂。

 とても、満たされた気分であった。

 

 あったのだが……。

 

「でもやっぱり寂しい……!」

 

 そう、もうしばらく家族と会っていない。

 姉的庇護欲が枯渇状態で満たされてない。パパのカレーもママのお味噌汁も口にしてない。

 旅を始めて早3年。私も15歳になった。ちょくちょく連絡は取っていたのだが、「今どこ?」「今ここ」くらいのやり取りしかしていない。

 旅に夢中で、気づけば一度も実家に帰っていなかった。

 

「リュウくんどうしてるかな。キリちゃんまた変な悪戯してないかな。ハスくんとハクちゃんはもう幼稚園かぁ……」

 

 呟いていると、無性に家族に会いたくなってきた。

 ダークライを見る。ブラッキーを見る。

 

「よし、パルデア帰ろう」

 

 てなわけで……。

 寂しくなったので、おうちに帰ろうと思う。

 

 

 

● 〇 ●

 

 

 

 久々に帰ってきたマリナードタウンは、何も変わっていなかった。

 だが、家の様子はかなり変化していた。

 

「お姉さん誰?」

「知らない人?」

「不審者?」

「見た事ある気がする」

「そんな気はする」

「ポケモン連れてるよ?」

「黒いポケモンだ」

「ニンフィアじゃないの?」

「なんでブラッキーなの?」

「ニンフィアかわいい」

「ニンフィアはいないの?」

「このもやもやポケモンは?」

「もやもや、名前なんていうの?」

「図鑑にいたっけ?」

「載ってなかったよ?」

「でもおうちの写真にはいたよね」

「お姉ちゃんらしき人の隣のポケモンだ」

「でもこの人、写真の人より大きいよ?」

「成長期かな?」

「思春期だよ」

 

「「ていうか、お姉さんは誰?」」

 

 私は、弟と妹に忘れられていた。

 いや、忘れたとかそういうのではない。この子等と私が会っていたのは双子が未だベイビーの頃で、そっから現在の時間の流れを鑑みるに私の事なんて知らない人になって然るべきなのだ。

 然るべき、なのだが……やっぱり寂しい。

 

「ハスくん、ハクちゃん、カヤノお姉ちゃんだよー」

「「誰?」」

 

 めちゃくちゃショックであった。

 二人がもっと小さかった頃など、私がオムツを替えていたというのに……。

 

 助けを求めてママを見るも、苦笑いをされた。

 パパは出張で居ないし、当然の様にウーラオスやバンギラスもいない。

 長旅は、こんなに世界を変えてしまうのか……。

 

「あれ? キリちゃんとリュウくんは?」 

 

 そういえば、あの二人がいない。流石にあの子達が私の事を忘れるなんてのはないだろう。

 もし忘れられてたら、脳が破壊されてしまう。

 

「リュウくんとキリちゃんは二人ともアカデミーで寮暮らしだよ」

「あ、アカデミー!?」

 

 そうだ、そうだった。パルデアのアカデミーは寮住みが基本であり、二人の年齢的にアカデミーに行っててもおかしくはないのだ。

 妹の方はちょい早くないかと思って訊いてみると、妹はリュウくんがアカデミーに入学した翌年にスクールを飛び級卒業してアカデミー入りしたのだとか。

 

「なん……だと……」

 

 お、おのれアカデミー、私の可愛い弟妹を取り上げやがって……!

 この寂しさはどうすりゃいいのだ……!

 なんとかするしかない! でないと私の中のお姉ちゃんが飢えて死ぬ!

 

「ママ! 私もアカデミー入る!」

「うん、そう言うと思ってたよ」

 

 私は勢い任せに編入試験を受け、当然のように合格し、あれよあれよと学生の身分へ舞い戻った。

 制服を纏い、ネクタイを締め、愛用のポケモンたちをホルダーに固定し、いざ第二の学生ライフ!

 ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!

 

 

 

「てなわけで! お姉ちゃんもアカデミーに入学しました!」

「うげっ! なんで姉さんが此処にいるんだよ!」

「ふへへ、カヤ姉おひさ~! なぁに? 寂しくなって帰ってきたのかなぁ?」

 

 アカデミーで再会した二人は、見た目こそ変化していたものの記憶の中の彼らと地続きの存在であった。

 その事が無性に嬉しくて、私のテンションは上がりっぱなしだった。

 

「ったく、姉さんは目立つんだから、アカデミーではあんま話かけないでくれよな……」

 

 弟のリュウキは、いつの間にか私より背が高くなっていて、身体つきも筋肉質になっていた。

 顔も男版のママにパパの要素を付け足したみたいになっていた。イケメンといえばイケメンだが、好き嫌いが分かれそうだ。

 手持ちのエースはドラパルトで、タマゴから育てたらしい。他の手持を訊いたら、「勝率下がるから嫌だ」と断られてしまった。

 なんか、久しぶりに会った弟は随分ワルっぽく……いや反抗期になっている様だった。

 

「わぁ、カヤ姉のポケモン強そうだねぇ! ふへっ、今度バトルしようよ、出来れば本気で!」

 

 妹のキリノは、心身ともにあんまり成長していない様に見えた。

 同年齢の平均より小さい身体をしていて、前会った時と身長がちょっとしか伸びていない。見た目もまんま小さくなったママであり、デフォルトの表情も生意気そうで子供のまんまだ。

 手持ちはゴーストタイプのみの構成で、エースはサーフゴー。何そのポケモンと訊いてみると、出てきたのはキンキラ金のポケモンだった。曰く、めちゃくちゃ強いのだとか。

 そして、驚いた事に我が妹は既にチャンピオンランクのトレーナーであるらしい。お姉ちゃんびっくりである。 

 

「これからよろしくね、二人とも! 困った事があったらお姉ちゃんに言ってね!」

「ねぇよ」

「特にないかなぁ」

「あ、うん……」

 

 こうして、私のアカデミー生活が始まったのである。

 

 

 

● 〇 ●

 

 

 

 翌年、私はチャンピオンになった。

 

 それから、学校最強大会(バトルスクールウォーズ)で優勝した。

 

 それからそれから、なんかノリで生徒会長になった。




 感想投げてくれると喜びます。


 追記
 双子弟妹の妹の名前を、「キノ」から「ハクノ」に変更しました。二回目です。
 理由はキノがキリノと被るからです。何故、気が付かなかったんだろう。



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