転ヴェル、転生したらヴェルドラだった件 P.S.タスケテ   作:転生しても物書きだった件

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3話

『衣と住をどうにかしたいと?』

 

ある日、リムルにそう尋ねられた。

 

「ああ、ゴブリンとカームウルフだけじゃ食はどうにかなっても他二つが難しくてな」

『たしかに。文明レベルが低いのは問題ですね』

「ヴェルドラが言ってた晴嵐を祀る者もどこにいるかわからないしな」

『僕の力が戻れば恐らくすぐにでも見つかることでしょう』

「希望的観測だな。ヴェルドラらしくない」

『300年の時は残酷に離別を強要するものですから。それにまあ……』

「それに?」

『よくよく考えたらミリムの忘れられた竜の都に合流するように伝えた気が』

「ダメじゃん!」

『まあ、ですので今しばらく羽根を伸ばして休むのもいいでしょう?』

「……たっく、都合のいいことばかりだな」

『ちなみに忘れられた竜の都は他の国との交流を断っているはずなので接触するのは苦労するかと』

「げぇ……江戸時代かよ……」

『話を本題に戻しましょう。この辺りでなら……獣王国ユーラザニアか武装国家ドワルゴン、あとはブルムンド王国の三つでしょうか』

「おすすめはどこだ?」

『食をさらに発展させるのなら魔王が納めるユーラザニア。住はドワルゴンでしょうか。ドワルゴンならば布もうまくいけば手に入るでしょうし』

「ならドワルゴンだな」

『そういえば以前ドワルゴンから友好の証として貰った大剣どこにやったかな……』

「…なにその重要そうなやつ。ていうか剣使ってたの!?あのサイズ感で!?」

『魔法の武器で伸縮自在なのですよ。それにほら、竜が剣を咥えて戦うってかっこよくないですか?』

「……一理あるな」

『それとひとつ礼を』

「礼?」

 

リムルは頼まれると断れないうえに責任感が強い。それ故にこれまで僕が守っていたジュラの大森林に住まうゴブリンを守ってくれた。それに実質無血開城に近い形で狼……牙狼種をも配下につけた。

 

『ゴブリンたちを助けてくださりありがとうございます』

「照れくさいな……まあ、オレの責任でもあるし、礼はいいって」

『まあ、僕の想定もひとつ』

「想定?」

 

これまでの面倒見の良さを配慮した上、ドワルゴンに行くとするとなると……

 

『リムルはジュラの大森林を治めることになる。ゆえに力も人脈もつけてもらいます』

「……はい?」

『僕の後ろ盾が機能してないのはあれですが、それでも果たせねばなりません。魔物の群れは脅威となり人間や魔王に目をつけられて然りです。その目にリムル・カームを強大に映す必要があります』

「まあ、たしかに……?」

 

※※※

 

というわけでやって参りました武装国家ドワルゴン。

といっても今はリムルがしてやらかしたことの影響でリムルと配下のゴブリンであり道案内役のゴブタは投獄されている。

 

『なにもドワルゴンで暴れてアピールしてこいとか僕いいました?』

(言ってないです……)

『ついでのように人助けまで……さきの回復薬、リムルの体内で抽出したものでしょう?』

(え、まあ、はい)

『あの回復薬は薬草の抽出率が高すぎてオーバーテクノロジーになりかねないのでその方面の希少生物扱いされて捕縛されても知りませんからね』

(そ、そんな……)

 

実際にその夜、瀕死の重体だったドワーフ三名がリムルの薬で復活したらしく

衛兵のドワーフから釈放を言い渡されていた。

 

『いい人でよかったですね』

(あっはっは……面目ない)

『なにかもう疲れそうなので僕は休眠しますが……2日後ぐらいにあいましょう』

(まって梯子を外さないで!?)

『いいじゃないですか。リムルの記憶にある漫画読んだりアニメ見たりするので』

(そんなことできるの!?)

『余裕綽々です』

 

そういうわけで漫画を読みふけり2日後。

久々に覗いたリムルの感覚には

 

『さて、大賢者。報告をお願いします』

『御意』

 

ドワルゴンから技術者4名が移住。

それに伴い集落の発展が期待できるだろうとのこと。

それと……

 

『リムルの運命の相手?』

『黒髪の女と金髪の男が映し出されていました』

『ふむ……運命ですか……』

 

悪くない運命であること祈る。すでにドワルゴンでちょっとした揉め事の渦中にいるのでそれ関連ではないように……

そう思ったのはいいもののそれからとくに何も争いごとはなく、リムルが治める村は周辺にいる小鬼族(ゴブリン)すらも受け入れさらに大きく発展していった。

その際に500名もの人鬼族(ホブゴブリン)の名付けをしてリムルが気絶したりもありました。

運命の人というのがどうなるか……などはまだわからないしかし

用心に越したことはないのであると後の僕は思うのであった。

何故ならその運命の人の片割れがリムルの村に流れ着いたのである。

しかも、その運命の輩…シズエ・イザワが体内に宿したイフリートに乗っ取られてしまったのです。

 

『水蒸気爆発が起こる故に被害が出ぬ水刃は使用不可能。僕由来である黒雨と黒疾風は被害が甚大になるが故にこれも使用は控えたい。守る者の弱さですね』

(冷淡に見るぐらいなら助けてくんないかな?)

『助言以外も求めるのなら簡単に授けれますが……』

(歯切れが悪いな……なにか条件付きなのか?)

『告、個体名【ヴェルドラ・カーム】のスキル【以心伝心】は条件を満たせば満たすほど相互関係が強まるものです』

『説明ありがとう大賢者。まあ、平たく言うなら』

(オレに女の子になれって!?)

『理解が早くてなにより』

 

無論、それ以外の対処法もある。

しかし、今後を見据えるのならば以心伝心の効果は早く慣れてもらいたい。

 

『運命の人に出会ったから億劫ですか?それとも前の性別が男だったから?』

 

そして今のうちに取捨選択を身に着けておいてほしいのです。

群れを生かすためには多少のいかれ具合が必要となる。

 

(いいぜ、なんだってくれてやる!だからヴェルドラ!オレにオレの望む結末をくれる力をよこせ!!)

『……いいでしょう。このヴェルドラ・カーム。友リムルとの繋がりを強め更なる加護を授けましょう』

 

以心伝心は相手との繋がりに応じてその効力を発揮するスキル

その主な効力とは【お互いが保有するスキルを使用可能にする】

 

『告、ヴェルドラ・カームの【以心伝心】によりスキル【奉公者(アタエルモノ)】【究明者(アバクモノ)】を共有化されました』

(そのスキルをもとに取れる選択肢を教えてくれ!)

『【奉公者】は他者に恵みを授けるスキル。その効力は非生物にも適用できます。まあ、今はそこまで使えないですね。ですがもう一つは……』

『【究明者(アバクモノ)】は得た情報などによる限定的な未来視や知り得ぬことすらも知ることができます』

(それはすごい……じゃあ早速、打開策を頼む!)

 

僕のスキルが共有化され、リムルに新たなる力が宿る。

晴嵐竜である所以のスキル【奉公者】は戦いには使えないのは知っていましたが……

 

『【奉公者】によりこの地に雨の恵みをもたらすことを推奨』

『え、使うのです!?』

 

扱える恵みが雨と風しか今のところはないため予想外だった。

 

『雨の恵みにより、辺り一帯へ火耐性を与えることが可能です』

「つまり被害がこれ以上広がらないってことだな!」

『な、なるほど……』

 

以心伝心以外のスキルは無限牢獄の効果により未だに使用できないがゆえに予測できなかったこと。

犠牲をよしとしないリムルには願ったり叶ったりといったところというわけですか。

 

『被害を抑えた次は打開策……つまりは攻撃手段ですね』

『告、精霊には魔法攻撃が特に有効です。推奨、氷魔法の捕食』

『とんとん拍子で事が進みますね……』

 

元の【大賢者】が優秀すぎるために僕の立場がない気がする……

いや、元より茶々入れるぐらいしかしてないのはそうなのですが。

 

※※※

 

そしてその日の夜。

大賢者による解析をしている間に会話をしていた。

 

『……シズエ・イザワの未来、もう理解してるのでしょう?』

『告、【究明者】だけでは分かりかねます』

『ふむ、確かにアレは【探求者(シラズナシ)】との相乗効果が凄まじいものでもありますが……』

 

それでもなお、である。

大賢者が教えてないだけで……きっとイフリートをリムルに捕食されたシズエ・イザワは少ない寿命を更に短くする。

魔人であった彼女の体内からその力を抜き取った際にリムルは彼女の一部を手に入れたに等しい。

というかイフリートがさっきから隣人になったような感じで胃袋に同居している。

無限牢獄という仕切りはあるものの、きっとリムルは今後イフリートを由来とするスキルを会得していくことだろう。

 

『彼女はきっと死ぬ。でもあれが最善だ。僕の判断に間違いはないと信じている』

『……』

『でもリムルは心優しい。きっと彼女が殺してくれと言ったらその通りにしてしまう。苦しんで死ぬより安楽死の方がいいだろうから。だから僕はリムルを支えたい』

 

無限牢獄は日に日にその綻びを広げている。

今は僕の全てを開放できるわけじゃないけど、それでもすこしだけでも干渉ができるようになっている。

 

『だから次は《以心伝心》で得たスキル《分身》を使わせてもらうよ』

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