転ヴェル、転生したらヴェルドラだった件 P.S.タスケテ 作:転生しても物書きだった件
「おいしい……」
「獲れたての牛鹿の肉はやはり美味ですね。引き締まって食べ応えもある」
「だな……スライムの時は味覚がなかったから益々美味しく感じる……」
もぐもぐと串刺しになった肉を食べる。
『……なあヴェルドラ』
『どうされました?』
『
『どう……ですか。口ぶりや会話の端から察するに
『妙……か?』
『ええ、本来
『中庸道化連……?なんだそれ?』
『ピエロマスクを被った悪趣味な奴らです。彼らが
『まだなにかあるのか?』
『中庸道化連となると誰かの依頼で動いている可能性が高いのです。もしかしたら
『魔王……か』
『魔王が出てくるとなるとこのジュラの大森林を手中に治めたいとも考えるでしょう』
『放っておいたらこの集落も安全とは言えない……ってことか』
『ええ、近いうちに激突することでしょう。その時のために……』
『戦力は多い方がいいか』
リムルは意見をまとめきり宴の端にいる
※※※
あの後、
リムルはまたスリープモードに入った。
毎回の如く回復していた僕の魔素まで消費して名付けしているから弱体化が起きてないものの、初めに僕を捕食していなかったらこのかわいらしい友人はすぐに消えてしまうのだろうな。
と思いながらぷにぷにとリムルを突いている。
「ヴァロ様、お代わりしましょうか?」
「そろそろ目覚めるので問題ないですよ」
リムルを寝床から拾い上げ高台に置く。
「んぁ……ああ?」
「ほら、目覚めましたよ……ってシオンとシュナ近い!」
シオンとシュナに圧され、若干後ろに下がる。
「申し訳ないヴァロ様……」
「い、いえ……リムルが慕われているようでなにより……クロベエもよく働いてくれてますし皆感謝してますし」
「お、おいヴァロ!この人たちどちらさまだ!?」
「……また考えなしに名前があった方が呼びやすいからで名付けしましたね?」
「リムル様はいつもそうなのか?」
「そうですよ。おそらく今後もリムルは似た乗りで名付けを行うはずなので慣れてくださいベニマル……」
衣服を正しテントを後にする。
「どちらに?」
「少しばかり偵察に。ベニマルのいう
そう言い残し集落を一望できる高台に向かう。
ここはリムルもよくいるお気に入りの場所だ。
(
(豚の養殖とは趣味の悪い……まさか
もしそうならベニマルが持つスキルの一部を持つ可能性もあったということに……
もしシュカのも得たとすればそれはもうどうしようもないことになっていたことでしょう。
「不幸中の幸いってやつですか……」
「なーにが不幸中の幸いなんだ?」
「おやリムル。挨拶は済んだのですか?」
「まあな。まったく、目が覚めたらお前がどこかいくもんだから何かあったかと……」
「今のところはまだ、なにも。といったところです。【
「そうか。そうなるとさっさと出してやらないとな」
「ゆっくりで構いませんよ。僕が自力で書き起こした解析データがあるとはいえ80年はかかるでしょうし。そもそもユニークスキルの解析を齢1年に満たない魔物に任せるのは本来酷なことです」
「1年って……そっか、まだ1年経ってないんだな」
「ええ、転生してからの日々が濃すぎて忘れちゃいましたか?」
「異世界だから現実離れしてて当然……って所ではあるが、そうだな。まだこの世界に来てそんなに経ってない……か」
「それなのに様々な種族を従えて……今度は
「俺の懐はすっごく広いってなによりお前がわかってるだろ?」
「確かに」
そこで2人で少しばかり笑い合う。
このスライムがこの世界に来てから退屈がない。
目まぐるしく変わる状況を僕は楽しんでしまっている。
「さて、そろそろ戻りましょうか。ソウエイにサボってると知られたらどうなることか」
「だな。さて、じゃあそろそろ聞かせてもらおうか?」
「えーとなにをです?」
「オレをわざわざ女にさせた理由だ!」
……そういえば説明してませんでしたね。
これは少し長くなりそう……主に説得に。
「いいじゃないですか。リムルかわいいですし」
「お前の言うかわいいって小動物に対するそれだろ!?」
「いやいや、今のリムルは可愛らしくていいと思いますよ。あと50年も経てば妖艶な女型スライムになるでしょう」
「……魔物ってそういうものなのか?」
「種として進化すればその体は成長します。シュナとシオンがいい例です」
「なるほど……いや、だからって……」
「それに
「……ほんとかぁ?」
「2人の姉がいるのですが、そのスキルも元々一部使えてたという話しましょうか?」
強すぎる2人の姉さんたち。
加速と停止、そしてちょっとした絶対防御が使えたのはひとえに兄弟という軛で魂が繋がっているからだ。
「竜種の……末弟だったなそういえば。そんなにお前の姉って強いのか?」
「最古の魔王ギィ・クリムゾンの側近してるヴェルザード姉さん。そのギィに名付けをしてぶっ倒れたバカの側近をしてるヴェルグリンド姉さん。僕の育成方針を巡って色々会った時にどこかの大陸が潰れたぐらいには強いです。今も尚成長してるはず……そう考えたら悪寒が……」
今思えば身内にゲロ甘いあの2人の姉さんたちが僕が消えたとなってるのに何も無かったの少し怖い……
あー、死んだか
程度で終わってることを祈ろう……
「まあ、とりあえず僕達が何を目指すにせよ力はないよりある方がいい。というのが大きな理由ですよ」
「……そう言われると強くは言えないな」
「ご理解いただき何よりです」
なお、少し先の未来でリムルがシュナたちの着せ替え人形にされるという事実を知るのはもう少し経ってからだった。
※※※
クロベエとカイジンに呼び出され僕は1つの大業物を持つ。
魔鉱塊で作られたクロベエとカイジンの合作第1号なのだとか。
「ヴァロ殿が昔持ってたやつに比べたら物足りないだろうがどうだ?」
「
「そうでもしねぇとヴァロ殿の余力に耐えられないと言われたべな」
「……ああ」
そういえばこの前、ハクロウと撃ち合った時に白熱しすぎて変に力をかけてしまって折れてしまったのでした……
「虹色の波紋を色付かせる刀身、魔力により増大するこの特性……勿体ないぐらいですね」
「まあ、まだまだ荒削りの逸品だ。
鞘を受け取り袖口を鳴らし納刀する。
「この刀の銘は?」
「ヴァロ殿が好きに決めてくれ」
「……まだ無銘で。カイジンとクロベエの作品とはいえまだ完成とは程遠いのでしょう?納得のいく作品ができた時に豪華な名前はとっておきましょう。それまでゆったりと考えさせてもらいます」
さーて、これはこれでうれしいけどどうしたものか……
もしあの剣が帰ってきたらどうしよう
その不安は実を結び
リムルに接触してきた
僕の冷や汗となって流れ出た。