「───はっ!?」
「どうしたのお兄さん?なんだか魘されてたけど」
突然視界が開けたような感覚に、思わず身震いをする俺と、そんな俺を覗き込んで不思議そうな顔をしているTASさん。
むくりと体を起こせば、そこはいつも俺が寝ている寝室で、どうやら俺は先ほどまで惰眠を貪っていた、ということになるらしい。
窓から差し込んでくる日差しは暖かく、秋の陽気はまだまだ翳りを見せていないということを、俺達に静かに教えてくれているかのようだった。
……まぁ要するに、もう一度布団を被って眠っていたい気分だ、ということになるのだが。
「?」
「……よし、朝飯にするか」
流石に、真横にTASさんが居る状況下で二度寝を決め込められるほど、図太い神経はしていない。
なので俺はよっ、と一つ気合いを入れると、布団から文字通りに飛び退いたのであった。……TASさんが怪訝そうな顔をしているが、
なんとなくそうしたかったからそうしただけで、別に俺が変になったとかそういうあれではないぞ?……と声を返そうとして。
「!?」
「わぁ」
轟音と共に、突然室内が土煙に包まれる。
隣のTASさんの声は幾分間抜けな感じだったが、だからといって俺まで気の抜けたようなことは言えない。
なにせ煙の晴れたあと、俺の目の前に現れたのは──天井を突き破り、先ほどまで俺が寝ていた場所を更に貫通していった隕石の痕跡だったのだから。
……うん、綺麗に俺の頭があったところに穴が空いてやがんの。こわー……。
「寝てなくてよかったね?」
「……そうだな、二度寝とかしようとしなくて良かったよ……」
もしかしなくても死んでた、みたいな状況を前に、なんだか却って落ち着いてきてしまった俺は、隣でそう問い掛けてくるTASさんにおざなりな返事を返しながら、この穴の空いた布団と床と天井どうしよう……とどこか抜けたようなことを思っていたのであった。
「なんだか凄い音がしていたとは思いましたが……」
「燃え尽きなかった隕石がピンポイントで降ってくるとか、確率的にどんなもんだってなったわ……」
「大体七十万とか百六十万分の一くらいって聞く」
「誰が計算したんだよそんなの……」
朝食の準備をしながら、今日の朝起きた出来事をAUTOさんに語って聞かせる俺達。
鮭の切り身を焼いたり玉子焼きを巻いたりしながら、和気藹々と過ごす朝の風景は、ある種我が家の風物詩である。
今日は既に出てしまっているため居ないが、ここにCHEATちゃんやMODさんが加わることもあり、そうなると大所帯も大所帯となって、俺の手間暇も格段に増えることとなるわけだが……まぁ、それはそれで楽しい悲鳴というやつを感じるわけで。
ともあれ、出来上がったものを並べつつあーだーこーだと話ながら、朝の時間が過ぎていくのだけれど。……そういえば、本来居るはずのもう一人が起きてきていないような?
「起こしてくるかー」
「……多分、
「ん、そうなのか?んじゃまー、用意だけしとくかー」
その一人──ダミ子さんは恐らく自室で惰眠を貪っているのだろう、先ほどまでの俺と同じく。
……なんかこう、変なフラグを感じたので起こしに行こうかな、なんてことを思った俺は、そうやって行動する前にTASさんに呼び止められたため、一先ず朝食の用意を優先することに。
──したタイミングで、ダミ子さんの部屋から猫が踏まれたかのような悲鳴が上がったことに気が付き、思わず「やっぱり」とぼやいたのであった。
「──当たりどころが悪ければ死ぬ、くらいの小ささの隕石なら、意外と死なない」
「それ、遠回りに今の隕石だって言ってない?」
数分後、頭を擦りながら居間に入ってきたダミ子さんを見て、TASさんがそう発言する。
……まぁ、重力加速度は無限ではなく、大気圏で燃え尽きなかった程度の大きさの隕石ならば、意外と当たっても死なない……なんて話はわからないでもない。実際、人が隕石に当たって死ぬ、なんて話はトンと聞いたことがないわけだし。
まぁ、だからと言って隕石に当たりたいわけでもないし、当たったかどうかとか関係なく、皆死ぬ類いの巨大隕石も勘弁して欲しいわけだが。
話を戻して。
居間に入ってきたダミ子さんは頭を擦っていたが、別に隕石が直撃したというわけではないらしい。
部屋の中に隕石が降ってきた音に驚いて外に出たのち、足を滑らせて転んだ結果後頭部を打った、というのが真相となるようだ。
「ううー……
「その場合、恐らく
涙目になりながらそうぼやくダミ子さんに、AUTOさんが冷静なツッコミを入れている。
そんな二人の言葉を聞きながら、俺はそこに奇妙な既視感を感じていたのであった……。