「───はっ!?」
「どうしたのお兄さん?なんだかひどく魘されてたみたいだけど」
突然、視界が大きく開けたような感覚に、思わず身震いをしてしまう俺と。
そんな俺を横から覗き込んで、不思議そうに首を傾げているTASさん。
そんな彼女に大丈夫だと告げながら上体を起こせば、そこはいつも俺が寝る時に使っている和室だった。……どうやら俺は、先ほどまですっかり惰眠を貪っていた、ということになるらしい。
窓から差し込んでくる日差しは暖かく、秋の陽気はまだまだ翳りを見せていないということを、俺達に静かに教えてくれている。
……
ええと、確かなんというのだったか……。
「──
「ああそうそう、
「読んでないよ?」
そんな俺の疑問を晴らすように、横合いから投げ掛けられたTASさんの言葉。
……
まぁ、それがわかったとて、俺にできることはなにもないのだが。だって俺一般人だし。
「…………」
「凄い顔になってるけど?TASさん」
「いや……なにか今絶対に反論した方がいい、って脳裏に開きが……」
……本当に人の思考を読んでないんですかね、この子。いやまぁ、気分だけ引っ掛かりを覚えている、って辺りに本当に読んでない、って事実が詰まっているのは確かなわけだが。
ともかく、こうして布団の上でだらだらしていても仕方ない。
いい加減に起きよう、と決心して布団を出ようとして。
「──あべっ!?」
「お兄さん?!」
突如額に走った衝撃に、意識が白く飛んでいく。
驚いたような声をあげるTASさんに一瞬意識を向けつつ、倒れた俺がその目に写したのは。
遥か空高くから、俺の額目掛けて飛んできた小さな隕石と、それによって空いた天井の穴。
いや、どんな確率だよ──などというどこか呑気な感想と共に、俺の意識は闇へと溶けていくのであった。
「──はっ!?」
「どうしたのお兄さん?なんだか酷く魘されてたみたいだけど。はい、タオル」
「え、ああ、ありがとう」
突然、大きく視界が開けたような奇妙な感覚に、思わず身震いをしながら目を覚ました俺と。
そんな俺を
彼女から渡されたタオルを手に上体を起こせば、そこは見慣れた俺の部屋であった。
……どうやら、さっきまでの俺は自室で呑気に眠りこけていた、ということになるらしい。
窓から室内に差し込む日差しは暖かく、秋の陽気はまだまだ健在であるということを、静かに俺達に教えてくれているかのようだった。
……ええと、なんだっけ?
ああそうそう、
何度も目にしているはずのものが、全くの未知に感じられるというそれ。
──正しくそれだ、と確信できることに少し違和感がないでもないが、それでも今の俺が感じたのはそれだ、と胸を張って言うことができるだろう。
などと考えながら、布団を離れる俺。
TASさんはなにも言わず、ただ首を傾げたままこちらの背を追ってくる。
で、そのまま部屋を出ようとして。
「あっ」
「なに?……って、あ」
突然襲ってきた
そうして振り返った俺達が目にしたのは、空高くから室内に飛び込んできた
「酷く大きい音と衝撃だな、などと思ってはいましたが……」
「いやはや、燃えカスみたいな小さな隕石が、ピンポイントにうちに降ってくるとか……確率的にどんなもんだ、って気分になったよマジで……」
「聞いた話によれば、人が隕石によって死亡する確率っていうのは、大体七十万から百六十万分の一くらいなんだとか」
「誰が計算したんですかぁ、そんな確率……」
あのあと、最低限の片付けを終えた俺達が居間に向かったところ、いつまでもやって来ない俺達に変わって、朝食を準備しているAUTOさんやダミ子さんの姿があった。
……まぁ、とりあえず破れた……というかずたぼろになった布団や枕をゴミに纏めたり、大家さんに現場確認して貰えるように連絡とかしていたため、時間が大幅に掛かりすぎていたので有り難いと言えば有り難い。……今から準備してたら、どう考えても彼女達の登校前に間に合わないだろうし。
ともあれ、出来上がった鮭の切り身の焼き物やら卵焼きやらを並べ、いただきますののちに食べ始める俺達。
……AUTOさんのあれこれって料理にも反映されるんだな、などと呑気なことを考えながら、彼女達の会話に耳を傾ける俺なのであった。
──内心を違和感でいっぱいにしながら、だが。