うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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雪国とは隠されし秘境、すなわちダンジョンの宝庫である

「まさか()()逃げ込んだ洞穴の奥に、こんな場所があるとは……」

「無理矢理崩すと周辺の山ごと崩れてた。だから暫く待つ必要があった」

「さらっと怖いこと言うの止めない?」

 

 

 TASさんの謎の蘊蓄タイムののち、俺達の前に現れたのは──先など無いはずの、行き止まりでしかないはずの洞穴の向こう側。

 いわゆる隠し通路、と呼ばれるそれを抜けた俺達を待っていたのは──広大な地下遺跡なのであった!

 

 ……うん、あれだな。色々ぐちゃぐちゃと理屈をこね合わせていたけど……本題としては、これが目的だったんだな?……と、なんとなーく察してしまった俺である。

 

 

「む。……勘違いしないで欲しいんだけど、最近お兄さんが私を蔑ろにしてたのは間違いない、からね?」

「へいへい。寧ろ毎日顔を突き合わせてるのに、蔑ろもなにもないと思うんですがねぇ」

「それは裏話(スタッフトーク)。表に出ないのなら無いも同じ、だよ?」

「いつにも増してTASさんの物言いがメタい件」

 

 

 誰に向けての台詞なんだよ、というか。

 ……ともかく、彼女がここを新たな遊び場として見出だした、というのは半ば確定事項。

 ゆえに俺ができることは、そうして遊びたがっている彼女に付き合ってあげること、ということになるのだけれど……。

 

 

「われのねむりをさまたげるのはだれだ……」

「頭の中に突然誰かの声が!?」

(Fチキください)

「頭の中に突然TASさんの声が!?」

「われのはつげんにかぶせるのやめない?」

 

 

 突如脳裏に響き渡るのは、重苦しく・かつ意味の理解できない言葉。……と、それに合わせて脳裏に響くTASさんの言葉。

 個人的には()の方が好きだぞ、などと思考を返せば、重苦しいはずの思念が少し困惑したような気がしたのだった。……まぁ、それもあくまで一瞬だったわけだが。

 

 

「……ながきにわたるわれのねむりをさまたげたきさまたちは、まさにばんしにあたいするざいにん。なれば、きさまたちにはわれのしれんをうけるぎむがある……」

「……んー、わからん。TASさんなに言ってるかわかる?」

「要約すると、『折角うちに来たんだから遊んでいかない?』でオッケー」

「ちょっ」

「なるほど。……因みに、遊ぶってのは具体的にどんな感じ?」

最速(Any%)全部(100%)、どっちがいい?」

「……流石に二十秒そこらで壊滅は可哀想だから、全部の方で」

「ん。わかった、任せて」

「なに?なにいってるのこいつら??こわいよぉ」

 

 

 なんかごちゃごちゃと話してるけど、こっちに理解させようとしてない時点で相互理解の必要性を放棄してるも同然、というか。

 まぁそんな感じなので、多分そういうのもわかるだろうTASさんに尋ねて見たところ。……うん、確かに話し合いを放棄したのは相手側だけど、だからと言って三十秒にも満たない時間で壊滅()させられるのは、流石に可哀想過ぎる。

 

 そんなわけで、俺はTASさんに全力で遊び尽く(全ボス全ルート走破)しなさい、と声を掛けるのでした。……え?そっちの方が酷い?

 

 

 

・∀・

 

 

 

 それでは、そのあとの顛末をダイジェストでお届けしよう。

 

 

「はい、よーいスタート」

「選手入場、選手入場です。まずはTASさん、入り口に向けて全力で逆走!これは一体どうしたことかー!?」

「……よ、よくわからんが、おそれをなしたのならばのこったほうのいのちをもらお」

「ちょいさ」

「へぶぅっ!?」

「おおっと、先にラスボスを沈黙させるのを優先したようです。まぁ多分表と裏があるやつなので、あとで表を倒せば整合性は取れますねー」

「うら!?おもて!?なにいってんのこいつら!?」

 

「この壁、抜けるよ」

「あー、どうやらここも欠陥建築のようです。当たり判定がちゃんと設定されてないか、フラグをミスってるみたいですねー」

「あたりはんていってなに!?っていうかそこはあいつをたおしたあとにいくとこー!!?」

「ここでこの【炎の玉】を先に入手しておくと、大体二秒(100フレーム)くらいの短縮」

「おおっと二秒の短縮は大きい!これは記録にも期待できるかぁーっ!!?」

「きろくってなに!?」

 

「とぉーっ」

「おっと、TAS選手いつものように上に落ちています。ついでに道中の雑魚が撫でられただけで破裂していきますねー」

「ねぇ?にんげんはいつのまにはんじゅうりょくそうちをつくりだしたの?ふつうしたにおちるものだよね???」

 

「お兄さん」

「TASさん」

「お兄さん」

「TASさん」

「なに?なんなの?なんでたがいのことよびあうとわーぷするの?なんで???」

 

「背を向けて呑気に立っているとは面妖な」

「TASさん、それ背を向けてるんとちゃう、アンタが裏口入学しただけや」

「ねぇ?もううごきがわけわかんないのはおおめにみるから、せめてふつうにじゅんじょどおりにとおって?おねがいだからさぁ!?」

 

「ふむ、対策を仕掛けて来たのか、どうやら抜けられない壁しかないみたい」

「おおっと、目的のアイテムは目と鼻の先なのに、どうしても手が届かないー!!」

「……!ふ、ふははは!そうだふつうはそうなんだよ!ちゃんとじゅんじょどおりにこうりゃくしないからそうなる!そこはあいつをたおさないとあけられな」

「むぅ。仕方ないからこれを使う」

「あ、あれはっ!!TASさんの不思議なノート!!」

「え」

「はい、ミニ竜巻。ギミックは無視しましたが重要アイテムは入手したので問題ありません」

「良かったなボス!ミニブラックホールとか使われなくて、な!」

「え、なに、みに、え?」

 

 

 ──以上、道中のダイジェストでした。

 いやー、久々に全力のTASさんを見た気がするね!

 で、あとは表ボスに『TAS流奥義(タスリュウオウギ)……!』を使って、断末魔の悲鳴(ヴォー)をあげさせて終わり!

 

 

「洞窟を崩したあとはお茶が呑みたくなる。ごくごく」

「……そういえば、この遺跡って壊して良かったのかな?」

「良いと思う。だってまともにやってたら日本とか世界とか滅ぼしそうだったし」

「あー……悪霊の類いだったかー」

 

 

 こうして、元の入り口に戻ってきた俺達は、内部の遺跡が倒壊したことによって山が一段下がり、合わせて起きた雪崩をやり過ごしながら、呑気にお茶を呑んでいたのでした。

 ……うーん、規模がでかいけど世界が救われたので問題ありません、だな!

 

 

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