「……あわや世界遺産がおじゃんじゃねぇか!!?」
北国でダンジョン一つを潰してきた日の翌日。
家でいつも通りの日常を過ごしていた俺達は、突然のCHEATちゃんの言葉に目を丸くしていたのだった。
「……いや、その『悪は滅んだので問題ありません』みたいな目を止めろや!!やるにしてももっとこう、やり方あっただろ!?」
「もー、
「
「む?CHEAT、遺跡とか好きなタイプ?」
「ばっ、ちげーよそういうんじゃねーよ!!」
(あ、そういうのだな、これ)
彼女が怒っているのは、あの遺跡を破壊したことについて。
……まぁ、そうなると丁寧丁寧にクリアすることとなり、あの時の驚異的な記録──十分そこらに至ることはできなかっただろうから、TASさん的に『ない』選択だった、というのも確かだろうとは思うのだが。
ともかく、CHEATちゃん的には、あの遺跡を壊してしまったことがどうにも気に入らない様子。
新聞に大きく掲載された『崩れた山、地下に眠る神殿!』の文字と、そこに記された調査員達の興奮と落胆に感化されたようだ、みたいな感想を抱くことになったわけだが。
……どうにも、下手すると彼らよりヒートアップしているのかもしれない、などと思わされることとなった俺なのであった。
「くそぅ……絶対昔の壺とかあったんだろうなぁ……その当時の生活を感じさせるような、色んな遺物……でもそれらは全て雪の下……」
「お、おぅ……思った以上にガチ凹み……」
だってほら、ご覧の通り滅茶苦茶沈んでるんだもんよ。事実が受け入れられずにこのままふて寝しそうなんだもんよ。……いや、意外すぎやしねぇ?
「……仕方ない。本当は後に取っておこうと思ってたんだけど……」
「え、なになに?ここでなにを取り出してくるんですTASさん?」
「それはこれ」
「……なにこれ」
「ん、ジュ○ンジ」
「……若い人に伝わらねぇ!」
「マジでぇ!?」
「うわ滅茶苦茶食い付いた」
そんな彼女の様子を見かねて、TASさんが持ち出してきたのは一つの箱。
要するに古代のすごろく、みたいなもののわけだが。……うーん、例えが古いが古いネタに精通しているCHEATちゃんには、寧ろクリティカルだったらしい。
目をきらっきらに輝かせる彼女の様子を見れば、そのテンションが先ほどまでの地の底レベルから天に昇るレベルまで跳ね上がった、というのはすぐに理解できる。
そういうわけで、彼女にはこの出所不明のすごろくが贈呈されることとなったのだけれど……。
「え、すぐに遊びたい?」
こくこく、と言葉すら忘れて頷くCHEATちゃんは、いつもの生意気さの欠片すら感じられない状態。
……いや、幾らなんでもキャラ変わりすぎじゃね?……的な思いが俺の胸中を占めていくが、それでもまぁ、彼女の落胆を生んだのがこちらである、という事実がある以上、指摘するのはどうにも憚られるわけで。
「……一回だけね?」
「やたっ!愛してるぜお兄さん!」
「まぁ雑な告白ですこと。……で、TASさんこれルールとかってあるの?」
「ルール?やればわかる、よ」
「……まぁ、サイコロ振ってコマ進めるだけだろうから、それもそうか」
仕方ないので一回だけ、という条件で付き合ってあげることにした俺達なのであった。
……で、さきほどTASさんが言っていたように、どうやらこれはすごろくに似たものであり、遊び方もほぼそれに準じている……とのことで、俺は箱の中からサイコロとコマを探しだし、それをスタート地点にセットしたのだけれど……。
「ん、おお、おおおっ!?」
「言い忘れてたというか訂正し損ねてたけど。──ジュ○ンジみたいなもの、というのは決して間違いじゃないから」
「だからそれ最近の子わかんねぇって!!?」
「やたー!!リアル体感ゲームだー!!敵対者全部ぶっ倒して行こうぜー!!!」
「CHEATちゃんもなんか蛮族思考だな!?」
その瞬間、俺達は盤面へと吸い込まれていくことに。……このコマやっぱり本人の写し身みたいなもんじゃねぇか!!?
再び脳裏に響き渡る
そんな愉快な仲間達と共に、俺はゲームの世界へと引き摺り込まれていくことになるのだった。……次回へ続く!