うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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最速攻略の次はやり込み攻略である

「ええ……なんでまたきてるの、かえっておねがいだから?」

「うーん、なんか歓迎されてない気がするんだけど、実際どうなのTASさん?」

「今回も宜しくお願いします、って言ってる」

「ねぇ、じつはそのこわかってていってるよね?わたしをこまらせるためにわざとやってるよね???」

 

 

 やって来た盤面の世界。そこにはあの山の中にあった遺跡と、寸分違わぬ光景が広がっていたのだった。

 ……で、そうなるとそこの管理者も多分同じ、ということになるようで。

 あの時と同じように脳裏に響いてきた声は、あの時の厳かさはどこへやら。こちらに困惑だけを感じさせるような、相変わらず意味の理解できない言葉をこちらに投げ掛けてくるのだった。

 なので、TASさんになにを言ってるのか翻訳して貰ったわけなのだけれど……うん、今回ばかりは俺にもわかるぞ、多分この人(?)、すっごい嫌がってる!

 

 

「そう!そうなの!わたしここのばんにん、ほんとうはとてもえらいの!なんかすごくないがしろにされてるけど!」

「お、おお?なんかすっごい興奮してないこの人?」

「……どうやら早速遊んでほしいみたい。仕方ないから今度は最速(any%)で終わらせてあげようかな?」

「ひぃっ!?なんかしらないけどじらいふんだかんじこれ?!!」

「あ、これはわかる。やべー死ぬ、みたいなあれだなこれ」

「ことばつうじてないのにすごいりかいど!?もしかしてあなたがわたしのしんかんか!?」

「…………」

「ひぇ」

「ひぃっ!?TASさんの顔が般若のように!?」

「……流石にそこまでじゃない」

 

 

 いやでも、漫画的表現なら頭の上辺りに怒りマークが付いてそうなくらい、今のTASさんイライラしてるよね?……と俺が思ってしまうくらい、彼女の表情は変化をみせていたわけで。

 ……いやまぁ、いつも通りちょっと不機嫌そう、くらいにしか見えないんだけどね?普通に見ると。

 

 ともあれ、なんか知らんけど不機嫌そうなTASさんを宥めつつ、そういえば一緒に来てるはずのCHEATちゃんはどうしたのか?……と周囲を見渡す俺。

 なにせ彼女、先ほどまでキャラ崩壊気味に喜んでいたため、ともすればそこら辺で興奮しながらごろごろしててもおかしくない、なんてことを思っていたのだけれど。

 

 

「もうマジ無理……」

「医者ぁーっ!!?」

 

 

 その当の本人は、幸せそうに痙攣しながら地面に倒れ伏していたのでした。……思ったより重症だった!?

 

 

 

・A・

 

 

 

「ふ、ふへへ……もう死んでもいい……」

「ダメ、完全に壊れてる。少なくとも、ここから出ない限り元には戻らない」

「うーん、思った以上にガチ勢だったか……」

「え、ええと……だいじょうぶ?そのこ」

「……なんか知らんけど、暫定敵(ボス)からも心配されてないかこれ?」

「お兄さんの理解度が急速に上がってる……」

 

 

 そんなに古い遺跡が好きになったのか、CHEATちゃん。

 ……などという冗談すら飛ばせないほどに、幸せそうな顔で溶けているCHEATちゃんを見て、思わず困惑する俺達である。気のせいじゃなきゃ、頭の中に響く声まで困惑してる気がするし。

 もうこうなると、攻略云々なんて言ってる暇じゃないのでは?……などと思わなくもないのだが、どうやらこの世界はあのすごろくの中であるため、ゲームをクリアしないと外に出れない仕様になっているらしい。

 脳内に響く言葉が更に気まずげになる辺り、向こうもこの状況は想定してなかったようだ。

 

 

「そっちのこがこのあいだみたいにするのは、まぁきょようはんいだったんだけどねー」

「む、言質取った」

「ひぇ」

「……なに言ってるのかわからんけど、あんまり虐めてあげないように」

「はーい」

「あなたがかみか」

「……なに言ってるかわからんけど、言わなきゃいけない気がするから言っとくぞ。──いや、そこは自信を持てよ、神として」

 

 

 なんだかすっかり打ち解けてしまった気がするが、一応形式としては向こうがゲームマスター、こっちが挑戦者という図式は変わってないのだから、最後までちゃんと威厳のある行動を心掛けて欲しいものである。

 ……いやまぁ、こんなことを俺が言ってる時点で手遅れのような気もするのだが。

 

 ともかく、気を取り直してこのすごろくを攻略して行かなければいけないわけなのだけれど。……これ、CHEATちゃんからスタートだから、彼女にサイコロ振らせないといつまでも順番回ってこないことない?

 

 

「……」<チャキ

「いやちょっと待ったTASさん、それでなにをするつもりだ」

「なにって、ちょっと目覚ましを、ね?」

「それでできるのは寧ろ永眠なんだよなぁ!?」

「このこやっぱりこわいよぅ……」

 

 

 そんな俺の呟きに、どこからか取り出したトゲ付き鉄球を構えるTASさん。……いや殺す気か!

 思わず抑えるように、と彼女に説教をする羽目になったわけだが……まぁでも、ムービーとか嫌いな彼女が立ち往生を強いられる現状を受け入れられるか、と言われればノーなのはすぐに理解できる話なわけで。

 

 脳裏に響く意味不明の声の主と共に、どうにかTASさんを落ち着かせようと奮闘することになる俺なのでした。

 ……いや、やっぱりちょっとよくわかんねぇなこの状況!?

 

 

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