うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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建築王になるのは君だ

「子供騙しの類いだと思っていたけど……意外と楽しいのね、これ」

「俺としては君のインテリジェンスの急激な高まりにびっくりだけどね」

「そりゃまぁ、これだけ建築してれば……ねぇ?」

 

 

 画面の中で積み上がっていくブロックを眺めながら、DMさんがしみじみとした言葉を吐き出す。

 そこに含まれるのは、確かな知性を感じさせる言葉。……先ほどまでひらがなでたどたどしく喋っていた姿はどこにもなく、その立ち姿には一種の威風すら感じられるだろう。

 ……いやまぁ、ゲーム内の彼女のアバターは、他と変わらず四角いアレなんだけどね?その辺りはまぁ、ゲームの仕様上仕方のない話というか。

 

 まぁともかく、結構な時間クラフトし続けている彼女達だが、画面の中の世界は半ば予想通り、混沌以外の何物でもない様相を呈していたのだった。

 なにせクラフトゲーである。自分で作り上げる世界である。……ともなれば、出来上がる建造物もまた、実際には作れないようなものになるのも宜なるかな。

 

 

「……一先ず聞きたいんだけど、これは?」

「山脈神殿・機動形態。先人にならってもっと奇抜なものが作りたかったけど、山の中の神殿って前提だとあんまり思い付かなかった」

「先人is誰!?」

 

 

 まずはTASさん。

 開始前はあれこれ言っていた彼女だが、やり初めてからはわりと真面目にDMさんへの贈り物、みたいな感じで神殿を作っていたわけなのだが。

 ……途中からなんかこう、雲行きが怪しくなっていき。俺が気付いた時にはこう、山の中腹からパカッと割れてロボットに変形する……という、素敵すぎて頭が痛くなってくる類いのギミックが追加されていたのであった。

 

 これにはDMさんも白目を剥く……などということはなく。なんか意外と好評である。『神殿が主人の意を汲んでその手足となるとは最高では?』みたいなことを言っていたが、正直正気の沙汰だとは思えない。

 

 

「……まぁ、TASさんの建造物は一先ず置いとこう。……CHEATちゃん?これはなに?」

「え?そりゃもう作るのは神殿だろ?だったらほら、各神殿の優れた技術を統合した、超神殿を作りたくなるのは仕方のないことじゃねぇ?」

「──うん、わからん」

 

 

 なんでだよー!……と喚く彼女には悪いのだが、正直見てるだけで目眩がしてくるような建造物を神殿だとは認めたくない俺である。

 ……いやね、なんでギリシャ風味の日本かぶれのインド感たっぷりのアラビア情緒溢れるインカ帝国ナイズな神殿……みたいなゲテモノが生まれるのか。正直説明してるこっちもこれであってるのか不安になるわ。

 

 そう、俺の目の前にあるのは、端的に言えば各所の建築様式が混じりあった、モザイクとしか言い様のない建物。

 ……ほんのり神殿、ということは感じられるものの、なにかを奉っていたとしても恐らく名状し難い系統の邪神のためのやつだろ、と匙を投げたくなる類いのものなのである。

 

 そりゃもう、こんなもの捧げられても困惑するかキレるかしかないだろうと思うのだが……これがまたDMさんには好評。

 なんでも、『人間という種族の限界を越えようという意気を感じられる』とかなんとか。……これが邪神のトレンドってやつか、とちょっと空を仰いでしまったけど私は元気です()

 

 

「うーんうーん……五重の塔がミサイルに……うーんうーん」

「ほら見てみろよダミ子さんを。あまりの衝撃映像に正気が焼き切れて気絶した結果、明らかにヤバイものに対面しちゃってるじゃないか」

「なるほどミサイル、そういうものもあるのか……」

「いや目を輝かせるな余計な閃きを得るな!」

 

 

 いやまぁ、彼女がそれを得たとしても、それを表現する力には欠けているので問題はないだろうが。

 

 ……この発言でなんとなく察せられるかもしれないが、今回の三人の中で一番(比較的)マシだったのは、なんとDMさんだった。本来邪神系統であるにも関わらず、である。

 それもそのはず、彼女ってばクラフトゲーは下手くその極みだったのだ。そのため、今回彼女が作れたのは他二人が作ったものの間にある、

 

 

「……トーテムポール?」

「単なる柱ですが?」

「……いや、余計なもん付きすぎでは?」

「お兄さん違う違う、それ単にまっすぐ積めなかったから模様みたいになってるだけ」

 

 

 なんかこう、変な模様とか変なオブジェとか付いた、一本の柱だったのだから。

 ……あれこれ作ってインテリジェンスが高まった感じなわりに、出来上がったものに知性の欠片も感じられないのはこれ如何に。

 そんなこちらの言葉に、画面の中の四角人間はぷいっ、とそっぽを向いている。……いや、自分でもわかっとるやないけ。

 

 まぁともかく、そんな感じ。

 他二人がトンチキ全振りなら、彼女は下手くそ全振り。……そうとしか言えない出来映えに、俺が思わずため息を吐くのも仕方のない話、というわけなのだった。

 

 

「皆さんご飯ができまし──……なんですこの違法建築!?」

「わぁ、こりゃまたご機嫌な建物だねぇ。前衛芸術かい?え、違う?」

「むぅ。ロボと言えば男性に大人気、お兄さんも好きだと思ったんだけど」

「そもそもこのゲームでロボ作る方がおかしいってことわかってる???」

「とりあえず喜んで貰えて良かったぜ!」

「ええ、褒めて遣わす……と言えばいいのかな?」

「うーんうーん、空からピラミッドが降ってくる……」

 

 

 ……なお、そのあとすぐに夕食の時間となったため、ゲームの話はフェードアウトしていきましたとさ。良いやら悪いやら。

 

 

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