「……ふむ」
「?どうしたのお兄さん、なにを見て……ああ」
ある休みの日のこと。
洗い物をしながら一点を見つめていた俺だったわけだが、横から現れたTASさんがその眼差しの先を見て、なにやら小さく頷いていた。
……いきなり謎の行動をしているように思えるが、その実俺がなにを見ていたのかがわかれば、恐らく皆同じ反応をすることだろう。
「……できた!どーよこれ!」
「ふむふむなるほど……うん、いいんじゃないかな、これなら中々良いとこ行けそうだと思うよ?」
「だろー?へへ、じゃあこれを基礎にして……」
「……なんだかすっかり仲良しだね、あの二人」
「いやー、まさかああいう関係に落ち着くとは……」
そう、俺の視線の先に居たのは、こっちが見ていることに気付いた様子もなく、なにやら話し合っている二人の存在……CHEATちゃんとDMさんの姿。
前回のゲーム内神殿建築を通して、いつの間にか仲良くなっていたコンビである。
……個人的には、半ば電子生命体と化しているDMさんとCHEATちゃんの組み合わせって、どことなく危ない香りがしなくもないのだけれど……。
「……?なに?」
「いんや、なんにも?」
……うん、TASさんが気にしてないのなら大丈夫なのかなー、というか。
まぁ、仮に二人の力を合わせたら二になるのではなく百とか千とかになるのだとしても、TASさんはその合間に億とか兆とかの超パワー☆を発揮しているのだろうし、気にするだけ無駄というか。
「……なんだか、そこはかとなくバカにされた気がするんだけど?」
「ははは、気のせい気のせげへぇっ!?」
「お兄さんがそういう時は気のせいじゃない、よってお仕置きです」
「やったあとに言うの止めねぇ!?」
なお、わりと彼女にはバレバレの思考だったため、横合いから蹴りが飛んできたけど俺は元気です(多分三敗目)。
「……それで?二人が楽しそうにしているのを横目に、いつも通りに行動をしていたと?」
「ええまぁ、はい……」
はてさて、先ほどのやりとりからおよそ十分後。……俺とTASさんは仲良く正座をしているわけなのだが、それには理由がある。……いやまぁ、AUTOさんに怒られてるってのは見りゃわかると思うがね?
「いやー……まさか単純に掛け算するんじゃなくて、累乗していくタイプのやつだったとは……」
「私としてはドンと来いって感
「ええ、私もわりと痛いですわ……」
「いや、なにやってんの君ら」
いやまぁ、反省した様子が欠片もないTASさんを叱るために、AUTOさんが拳骨を落とした……というのは今の流れを見てればわかるけども。……それで自分もダメージ受けてるのはどうなんですかね?
まぁともかく、TASさんの超人的機動力とかは未来視由来のもの、というのはご存知の通り。……ならば、この状況も知っていて放置した、とみなされても仕方のない話なのである。
そりゃ、ちっとは反省しろって気分になるのも宜なるかな、というか。
「むぅ、別に私はいつでもTASってるわけじゃないって前から言ってるのに。特に命の危険がなくて、本来私が
「ええまぁ、その辺りは今回しっかりと実感致しましたわ。……その上で聞きますけど……
「……攻略のしがいがある
「殴られるようなこと言ってる自覚がおありで……?」
とはいえ、TASさん側にも言い分はあろうというもの。
彼女は確かにタイムアタック勢だが、なにもあらゆる現象に対してタイムアタックを仕掛けているわけではない。
その対象については、彼女の中で明確な(?)基準があり、そこから外れているものにまで経過時間を競うような真似はしないのだ。具体的には食事を摂る時間とか。
まぁそんなわけで、今回の一件は彼女の対応範囲外だった、というのがTASさんの主張になるわけなのだが……それが単なるいいわけであることは、そのあとの彼女の反応から容易に察せられる。
……うん、わざと見送って楽しそう(彼女基準)なものが出来上がってくるのを、今か今かと待ってたよねこの子?
で、俺でも気付くようなものにAUTOさんが気が付かない、なんてことはあり得ず。
結果、再度の拳骨がTASさんに飛び、再び両者にダメージが入ることとなったのだった。……え?なんかAUTOさんの方がダメージが多い?
ともかく。
今回の案件を見逃したのはTASさん、それを解決するのも恐らくTASさん……ということで、正直高度なマッチポンプ以外の何物でもないのでは?……みたいな気分でいっぱいの俺の目の前に佇むそれは。
「はっはっはっはっ。……やりすぎちゃったんだゼ☆」
「……加減を知れっ!」