うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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意外な相性があるもの

 さて、最近また一人増えた我が家の面々だが。

 そうなるとやらなければならないことが一つ。……そう、ゲーム大会である。

 

 これは、圧倒的ディフェンディングチャンピオンであるTASさんに対し、どうにかしてそれを負かしてやろうと牙を研ぐもの達の血湧き肉踊る戦い……というと物騒だが、まぁ要するに普通のゲーム大会である。

 

 

「ぐ、ぬ、ぬぬっ!!ええぃ、ちょこまかと!!」

「最善の動きは最速ではない。基本性能の高さが仇」

「あー!!?」

「……落ちたな」

 

 

 例えば今ならば、TASさんとAUTOさんがレースゲームで競っているのが見えるが……TASさんの言う通り、AUTOさんには明確な隙があるため勝ち星を掴めずにいる。

 その隙というのが、彼女の特性である『最善手』。彼女のあだ名の元ともなった、とかく特徴的なモノなのだが……ゆえにこそ、彼女は本気で勝負を挑む時、そこから外れることができない。

 

 それが()()ということさえ認識できれば、それが例え遠く離れた並行世界や、未だ影さえ見えぬ未来技術であれ、万全にこなすことのできる彼女の『最善手』は、しかし()()()()()()()()()()()()()()性質上、どうしても()()()()()()()という欠点がある。

 

 以前の彼女が挑戦し続けていた『ダンスしつつ太鼓フルコン』などが良い例である。あれは、いわゆるキャパシティ・オーバー(処理落ち)を起こしたことで決して成功できずに終わっていたわけだが……それを言い換えると、()()()()()()()()()()()、ということになる。

 最善という以上、自身や使っている道具を使い潰すようなやり方は認められない。それゆえ、そういうのを平気で行ってくるTASさんには勝ちきれない、ということになるのだ。

 なので、ズルやら無茶やらができないこと──単純な高難易度音ゲーとかであれば、彼女にも勝ち筋がある……ということになっているのだとか。

 

 まぁそんな感じで、彼女達には完全な有利不利はないものの、状況や状態によってはどうしてもひっくり返せない戦力差を生むこともある、みたいなことになっているようで。

 その中でも面白い組み合わせが、CHEATちゃんとMODさんの対戦カードだろう。

 

 

「……だーっ!!また負けたっ!!」

「はっはっはっ。いやはや、私に負けているようだとTAS君には到底勝てないぞ?」

「キーッ!!」

 

 

 この二人の対戦だが、意外とMODさんの勝率が高い。無法さで言うのなら、CHEATちゃんの方が明らかに上なのにも関わらず、である。

 実際、格ゲーなどを見ればわかりやすいのだが……最初のうちはCHEATちゃんが押せ押せでかなり強いのだ。当たれば勝ち、みたいな改造(CHEAT)を惜しみ無く使ってくるため、じり貧にしか見えない塩試合が多発するのである。

 ……なんだけども。これが何度も戦っていくうちに、勝率がひっくり返るのである。で、結果としてCHEATちゃんが負け越すと。

 

 なんでそんなことに?……と思われるかもしれないが、これもまた二人のスタイルの違いにポイントが隠されていたのであった。

 それが、MODとCHEATの違いである。

 

 本来、MODというのは改造の一部である。本来のゲームにない様々な要素を、あとから付け加える……というそれは、ゲームのより根本的な部分に手を伸ばすモノだと言えるだろう。

 それに対してCHEATちゃんは、改造と銘打っているものの──その適用範囲は基本()()()()()()()()()に留まっている。

 これは恐らく、彼女自身がどこかで無意識にブレーキを掛けているから起こること、だと思われるのだが……ともかく、『騙す』という点等において、MODさんの方が一枚上手であることは間違いなく。

 

 

「──隙あり!」

「ぶへっ!?……き、ききき汚ねー!!?なんだよその格好!?」

「なにって……そこらに生えている木だが?」

「なんでプレイヤーキャラが木になってんだ、って聞いてんだよこっちは!?」

「はっはっはっ。まぁまぁ、落ち着きたまえよCHEAT君。姿形が違うだけで困惑してると、そもそもこの格好で高速ロケットになったりするTAS君には、一生驚いていないといけないことになるよ?」

「……キーッ!!絶対かーつっ!!」

「その調子その調子~♪」

「ギャーッ!!?」

 

「……相手側が騙し討ちが得意、というところもありますけど……大本を辿ると人生経験の差、ということになるんでしょうかね、あれって」

「だなぁ。わりとCHEATちゃんって素直なとこあるからなぁ」

 

 

 ああして、忍耐力の高さ・擬態力の高さ・隠密力の高さ……などなどの、いわゆる人生経験の豊富さから来る老獪な戦略に崩されることが多い、なんてことになっているのであった。

 まぁ、その辺りはDMさんと組んでる時だと、彼女がカバーしてくれるのでなんとかなるみたいだが。

 

 まぁそんな感じで、単純なスペック差が勝利を約束する、なんてことは全くないのがTASさん以外のみんなの対戦、だったりするのでした。

 ……え?TASさん?やればやるだけ成長するのもあって、正直成長の意味がない『高難易度音ゲーでAUTOさんと対決』以外だと、単純にドローにするのにも苦労するレベルですがなにか?

 みんなで掛かってそれなのだから、正直背中が見えないどころの話ではないと思うんですよね、正直。

 

 

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