「?私が悪役?いや、そういうんじゃないけど?」
「ほ、ほら!それ見たことかですよ!……ってほげぇっ!?」
「貴女は黙ってて」
「……ぶ、物理的に黙らせようとするのはどうかと思います……っ」
前回、実はこの人邪神的なあれを諦めてないんじゃね?……という疑惑の持ち上がったDMさん。
珍しくこう、
ふむ、これはどっちだろう?
いや、彼女の発言的にそんなことはない、というのはわかるのだけれど。DMさんのやり口如何によっては、相手にその気がないのに悪の道を突き進まされている可能性があるというか。
まぁ、そんなことにはTASさんも既に思い至っていたため、余計な弁明をしようとするDMさんは物理的に黙らせられていたのだが。……メカ相手に物理で制裁って、やっぱり大概だなこの子。
ともかく。
CHEATちゃんの認識的に、なにか悪いことをさせられている、みたいなことではないというのだけは事実。
ゆえに、俺達は普段の彼女達の行動を追走し、その実態を検証していくこととなったのだけど……。
「まずはこれだな」
「……これは?」
「遠隔地に能力を適用できるか、みたいな訓練だっけ?ほら」
「……あー、映像越しにってやつ?」
「そうそう」
まず始めに見せられたのが、リアルタイム中継の映像が映ったモニター。
そこに映っているのはどこかの森の中で、恐らくはセラピーなどの用途で無償提供されている動画だと思われる。
で、これを使ってやることと言うのが、遠方へと自身の能力を適用する訓練。
普段彼女達は、ゲームなどの
……が、それは本来結構おかしいことなのだ。
例えばここに『炎を出す』能力を持つ人がいるとする。
さて、単純にこの能力を考察するとして……普通の人は彼らが
自然発火?
……とまぁ、単純に『炎を出す』というだけにしても、そこに至る経路は複数に渡る。
そしてその経路というのは、普通
これは基本的に、こういった不自然・不可思議な現状を起こす起因となるものは、
簡単に言うなら、火を起こすのにライターを持ってるのにマッチまで持つことは少ないだろう、みたいな感じか。
まぁ、この例だと予備として持っている可能性もあるので、微妙に説明には不向きなのだが。
ともかく、特定の現象を起こすのに使われる技能というのは、多くとも一つあれば十分。同じ現象を起こすための手段を複数持つ必要性は薄い、ということになる。
……のだが。これは裏を返すと、
「と、言いますと?」
「ゲームの中で炎が出せたとしても、
「……なるほど、だからおかしいって話になるんだな」
そう、さっきは同じ現象を起こすために、違う手段を持ち合わせるのは無駄が多いみたいなことを述べたが。
例えば、自然現象に起因する能力で、水の中に炎を出すのは難しいだろう。同じように、酸素の無い状況下で物を燃やすことも難しい。──が、これが『炎そのものを生み出す』ような異能であれば、それらの環境の中でも『炎を出す』ことができるかもしれない。
そして逆に、そういう異能は
つまり、手段によっては使えない場所・使えない環境というものが存在している可能性があるのだ。
なので、そういうところに限り、他のやり方を持っておくのは悪いことではない。
……のだが、本来そういうことが起きそうなここの不思議ガールズ達は、大抵現実とゲーム内、その双方で
厳密に考えれば両者の環境はまるで違い、別々の手段を使わなければ同じように動くことはできないように見えるにも関わらず、である。
そこから考えるに、彼女達のそれは原理が違うのだろう。
空間に作用するのではなく、自身の認識に作用しているとでもいうか。
自分ができると思ってさえいれば、それが起きる場所を問わない……それは確かに、普通の異能とはまた別の、もっとおかしなモノだと言わざるを得ないだろう。
ゆえにおかしい、なのである。
「ほへぇー」
「……いやなんだその間抜け面は。わかってて遠隔操作の練習させてたんじゃないのか?認識を広げるために」
「いえその、遠くに手を伸ばせたら素敵だなー、便利だなー程度の認識だったと言いますか……」
「……この人なんで時々ポンコツになるの?」
「さぁ?」
なお、当の指導をしていたDMさんは、その辺り特に意識せずにやってた様子。……いや、もうちょっとしっかりしてくださいよ邪神様……。