「ふと気になったんですけど」
「んー?なにがー?……っていうか、いい加減流暢に話せるようになったんだね、DMさん」
「あ、はい。お陰さまで……ってそうではなく」
はてさて、とある日のこと。
今日はみんな出掛けているため、家に居るのは俺とDMさんくらいのものである。……なんかDMさんの見た目がメイドロボみたいになってる?最近の他の子達の鍛練の賜物ですよ、はい。
いや、これがまぁわりと高性能というか、無茶苦茶というか。……必要な材料をCHEATちゃんが生み出し、それをAUTOさんが組み立て、MODさんが形を整える……という連携プレイから生み出されたこの装備、あのTASさんも『これは素晴らしい出来』と認める仕上がりとなっているのだ。
なんてったってこのロングスカートの向こうには、ガトリングやらミサイルやらが満載の素敵仕様なのだからね!……え?なんかおかしい?メイドは戦うものでは?特にロボなら。
……まぁその辺りの話は脇に置いておくとして。
家の仕事をする分には過剰武装なので、基本的にロックの掛かったそれが表に出てくることはなく。
彼女は素直に俺の手伝いをしてくれているわけなのだけれど。……ふと、なにかを思い出したように声をあげた……というのが今回の冒頭の話。
それを聞いた俺は彼女の方を振り返り、なにが気になったのかを問い掛けたのだった。ついでに喋り方が大分流暢にもなったね、とも声を掛けた。音声システムが完成したとかなんとかで、こっちもやろうと思えば音響兵器に転用できたり。……なんか全体的に物騒だなこの人……人?
「その辺りは今は置いておいて下さい、私としてもちょっとどうなんだろうこれ、っていう気分でいっぱいなんですから」
「お、おう……」
……おかしーなー、この人元々邪神のはずなんだけどなー?なんかもう普通の感性のロボになってねー?……普通の感性のロボとは?()
なんて感想が脳裏を過るが、正直無闇矢鱈に突っつく話でもないので黙っておく俺である。拗ねられてもあれだし。
ともかく、彼女がなにかを疑問に思った、ということは事実なので、改めてそれを確認すると。
「いえ、前聞いた話を思い出していたのです」
「前?ええと……TASさん達以外にも不思議な人達は居るんだよ、みたいなあれ?」
「そうです、先日みんなが集まった時の」
彼女が話題に挙げたのは、以前みんなが揃って夕食を食べていた時、たまたま話に登ったもの。
この世界には、TASさん以外にも変な人達が居る、というものであった。……いや、変なとか言うとTASさんが拗ねてこっちの脇を抉るように突いてくるので、あんまり口にはしたくないのだが。
言い方はともかく、この世界が思ったよりも平和ではない、というのは確からしい。
こうなる前のDMさんもどちらかといえば世界の和を乱す存在だったわけだし、MODさんの普段の仕事はそういう輩の掃討とか邪魔とかである。
TASさんに関しては『悪役に人権?ないよね?』くらいのノリで実験台にしている節があるけど、基本的にはただボコボコにするだけなので人死にとかはない……はず。
……断言できないのは、あの子に振り回されて生きていられるのか?……みたいな疑念がどうにも俺の中から消えないからなのだが。
まぁ、意味もなくキルスコアを稼ぐような子でもない、と自身を納得させつつ、DMさんに続きを促す俺であった。
「それがですね、少し前からこんなハガキが……」
「ん?なになに……『邪神様大募集、我々悪の組織は貴方様の躍進を応援します』……えー……」
そうして彼女が懐から取り出したのは、一枚のハガキ。
一見なんの変哲もないハガキだが、なにかしらの料金の督促状みたいに後ろ側が剥がれるようになっており、そこには今俺が呟いたような文言が記載されていた。
……思わず凄い顔になってしまった俺は、確かめるように宛名の部分を再度確認するが、そこに書かれているのは至って普通の宛先と送り主の名前。
……いや、なんじゃこりゃ?
更に渋い顔をしながら、ハガキをDMさんに返すと、彼女は申し訳なさそうな表情で、こう聞き返してくるのだった。
「……
「……TASさんがいるから大丈夫かな!」
「説得力甚大の答えを返してくるのはずるくありませんか?」
……あーうん、なんでDMさんが邪神ってことバレてるんだとか、そもそもこの送り主誰だよとか、ツッコミ処は確かに多いけども。
正直今までもそしてこれからも、TASさんが居てくれるならそういうわけのわからん奴らは、きっとお空のお星さまになっていることだろう。
そう返せば、DMさんは『確かに気にするだけ無駄だな』みたいな表情を浮かべたのち、そのまま家事に戻ったのであった。
……うん、なんかこう色々あれだけど、終わりよければ全てよしだな!!(ヤケクソ)