うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

129 / 728
人が集まったらやることといえば?

「ダミ子はマスコットにするか否か、それが問題」

「いきなりなにを言い出すのかなこの子は?」

 

 

 突然わけのわからないことをTASさんが宣うのはある意味いつものことだが、今回はそれに輪を掛けて意味のわからない話である。

 ほら見てみろよ、ダミ子さん頭上にはてなマーク滅茶苦茶飛ばしてんぞマジで。

 

 ……というわけで、なにか変なことを口走り始めたTASさんにみんなの視線が集中したわけなのだけれど、それを確認した彼女は一つ咳払いをしたあと、再度口を開いたのだった。

 

 

「──ダミ子はペット枠がいいと……」

「いや対して内容変わってねぇ!説明をしろ説明を!」

 

 

 なお、ちょっと言ってることが違うだけで、内容はほぼ同じだった。なんでやねん。

 

 

 

・A・

 

 

 

「……ええとつまり?人数が多くなってきたから、少し趣向を変えてみようとした、ということなのですか?」

「そう。六人目の追加戦士が特殊なのはお決まりみたいなもの」

「……ん?もしかして巨大ロボになれと言われてますか私?」

「なんでそうなった???」

 

 

 詳しく話を聞いてみたところ、どうやらTASさんは順調に増えた面々を見て、なにか面白いことでもできないかと思い至ったとのこと。

 ……いや、別に君ら普通にしててもトラブルの源泉垂れ流しやんけ、ほっといても面白いことになるやんけ、的なツッコミが喉元まで出掛かったが、それを言った途端「そう。じゃあ実践」とかなんとか言われて、結果的に俺が死ぬほど酷い目に合うのは目に見えたので謹んで止めておく俺なのであった。

 まぁ、別に言おうが言うまいが変なことにはなるだろうし、みたいな諦めの気分もなくはなかったけど。仕方ないね()

 

 ともあれ、彼女の話に話題を戻すと。

 五人以上の人数でやれること、というと大抵の人が思い付くのは、それこそ日曜の朝にやっている子供達向けの番組のそれ、だろう。

 男の子向けもあるし女の子向けもある、ある種の伝統でもあるそれらは、基本的に五人・ないしそれに近似する人数の集団が、悪とかと戦う番組である。

 

 ゆえに、TASさんはそれを真似た話でもする?……みたいな提案をしてきた、ということになるわけなのだけれど。

 

 

「……個性がぶつかり合って、最終的になにもかも無茶苦茶になるだけなのでは?」

「そうでもない。最近は各々の特技を活かして色々してると聞く。とてもズルい」

(……あっ、なんやかやと蚊帳の外だったことを拗ねてる奴だこれ)

 

 

 常識人筆頭・AUTOさんからの至極真っ当なツッコミに、TASさんは最近の彼女達の活動実績を例に挙げ、淡々と(?)反論を投げ掛けてくる。

 ……うん、まぁこの時点で単に『みんなあれこれやってるのに私を誘わないのは酷い』みたいな話であることは読み取れてしまったわけなのだが。

 だからといって、彼女を混ぜるのは躊躇われるのも確かな話なのである。

 

 何故彼女をそういう話に混ぜたがらないのか、というのはとても単純で、それによって彼女にフィードバックされるものを思えば、わりとガチで手が付けられなくなる可能性が高い、というのがとても大きい。

 TASなのだからレベルは既に最大値なのかと思えば、実はまだまだ成長期な彼女は、目の前に自分の知らないものがあればそれを隅から隅まで、それこそ端に残ったモノまで舐めとるかの如く理解しようとするタイプの人間である。

 無論、彼女対策に使うのなら最終的に学ばれてしまう、というのは確かな話だが……未明領域という利点を投げ捨てるには早すぎるだろう。

 

 雑に言ってしまえば、一対一ならまだしも複数人が協力してる状況を学習されると、それこそ本来複数人でやらなきゃいけないことを()()()やり始めるだろう、みたいな危険性を考慮してのことというか。……わかるかはわからんけどどこぞの偉大(グレート)な冥王の使ってた火と水の合体技とか?

 

 まぁともかく、本来人数という制限があるものも、彼女の手に掛かれば普通にやれてしまうのは確かな話。

 ゆえにあんまり混ぜたくない、という話になるようだ。

 

 

「……嘘を付いている。正確には『みんなして限度なしに無茶苦茶やり出して収拾が付かなくなる』、でしょ?」

…………((;「「))

「目を逸らさないでお兄さん」

 

 

 ……などというおためごまかしは、そもそもそのTASとしての源泉が『未来視』である彼女にはまったく通じず。

 実際に彼女達にあんまり集まって変なことしないように、と言い付けていた黒幕()である俺にまで、彼女の追求は及んだのであった。

 ……いやだって、ねぇ?

 今のDMさん見てたらわかるけど、この子ら下手に好きにさせるとマジでどうしようもないもの作り出すんだもん。安心して見れるのダミ子さんくらいのもんなんだもん。

 そんな状況下にTASさん放り込んでみろよ、ただでさえ相手を見れば相手を真似られる、みたいな意味不性能の彼女の存在により、『各々のスペックが足りてないのでできないこと』にまで手が届くようになって酷いことになるわ!

 

 

「まぁ、私達はTAS君みたいに気軽に増えたりはできないからねぇ。そういう意味で、人手の問題が一種のストッパーだ、という指摘は否定しきれないなぁ」

「実際、DMさんの武装に関しては、私がもう一人いればもう少し精度を上げられた気が致しますわね」

「ほらー!!ダメです却下です集まるなお前らー!!」

「お兄さんが変なテンションに」

「鬱憤が貯まってたのは、もしかしたらこの人の方だったのかもしれませんねぇ」

 

 

 なお、その辺りの事情をぶち撒けたところ、最終的にみんなから優しい眼差しを向けられることとなった。……止めろよ俺が憐れみたいだろこれだとぉ!?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。