「まぁ戯れはここまでにして」
「こ、この人やっぱり性格が悪いですわ……!!」
そうしてしばらく被害者ごっこをしたあと、けろっとした顔で話を戻す俺。
AUTOさんはなにやらごちゃごちゃ言っているが……ははは、俺如きで精神的に疲れていては、TASさん相手だと首を吊る羽目になるぞ?
「……その、心中お察ししますわ」
「いやさー、そこでマジに受け取んないで欲しいんだよねー。一応ネタって
なお、その時の俺の顔が虚無ってたせいか、またもやAUTOさんから同情されてしまうことになったのだが……いやええんよ、そこで素直にこっちの話を聞かんでも。……え?真面目キャラって言ったのそっち?そうだったわ(真顔)
……閑話休題。
彼女がなにかを聞こうとしていた、というのは間違いないので、改めてそのことを問い掛けることになったのだが……。
「……はい?俺が働く理由?」
「ええ。だって、TASさんは俗な言い方をすれば大金持ち、なのでしょう?でしたらその保護者……保護者?の貴方が働く必要、あまりないのではなくって?」
その内容というのは、俺がバイトをしている理由。
先ほど述べたように、TASさんが色々やっているため、生活費の面で苦しいことはなにもない。
貯蓄もないのに湯水のように使っているのなら問題かもしれないが、うちの場合は普通に貯蓄は潤沢な上で盛大に浪費している形なので、特に問題はない。……いやまぁ、今のご時世そんな生活してたら下手すると刺されかねないわけだが。
「その辺りは、TASさんがフラグ弄って起きる前に潰してるからなー」
「……よくよく考えずとも、わりと意味不明ですわね、彼女」
そういう輩はまさに門前払い、俺の目に入ることもなく回れ右されているようで、その気配すら見付けたことはない。
……まぁ、それがある意味「俺がまだバイトをしている理由」にも繋がるわけなのだが。
「はい?」
「お金に惹かれてやってきた人間を追い返すのに、一番簡単な方法ってなんだと思う?」
「え?ええと……現金を渡して帰るように言う、とかでしょうか?」
「……AUTOさん、意外と俗物的なこと言うのな」
「ええ?!」
尋ね返したのは、金に引き寄せられた人々にはどうするのがいいのか、ということ。
無論、短期的にはAUTOさんの言う対処でも解決はできるだろう。
だが、
「……そこも良くわからないのですが」
「ああうん、AUTOさんは見た目に反して清貧系だもんねー」
「過ぎた富が瞳を曇らせる、ということは間違いありませんので。……いえ、彼女の目が曇っているとは思いませんけど」
なお、AUTOさん自体は
……こういうのも持つ者と持たぬ者の差なのかなー、なんてことをぼやきつつ、改めて話を続ける。
「即物的に現金を渡しても、働こうとする人は稀。──だから、TASさんのそういう人への対処って、働き先の斡旋なんだよね」
「なるほど、それならわかりますわ。対価を先にするより後にした方がよい、ということですわよね?」
「……なんか変な理解になっている気がするけど、概ねそれで間違いないよ」
お金だけあっても堕落するだけ。
だから、仕事を紹介する。無論、相手によっては厳しい仕事を用意することもある、というわけだ。
その対処のために、偽名で派遣会社の社長にもなっているらしい。
……で、ここまで語って俺の話に戻るわけだけど。
「TASさんが金持ちってのは確かだけどさ?……それに頼ってたら、俺ってヒモ以外の何者でもないわけじゃん?」
「?」
「そこで不思議そうにするのやめてくれないー!?ちげーから!俺別にTASさんに養われてる訳じゃねーから!」
「……あっ、なるほど。だからバイトなんですのね」
「今気付くの!?」
要するに、バイトをしている理由は単なる意地、ということなのであった。
いやだってねぇ、この状況下でバイトすらしてなかったら、俺完璧にダメ人間じゃん。……現状がダメ人間かどうか、みたいな議論は置いとくとして。
そういうわけで、俺は今日も今日とてバーガーショップでのバイトに勤しむことにするわけなのである。
「もっと稼ぎのいいとこ、紹介するよ?」
「いつ戻ってきてたのTASさん?……あと、君の紹介するところは怖いとこ多いからイヤだ」
「むぅ、お兄さんがバイトしてたら、顔見せするいい理由になったのに」
「俺をフラグにしようとするの止めねー?!」
なお、いつの間にか戻ってきていたTASさんから、もっといいとこ紹介するよー?……的なお言葉を頂いたわけだが。
言い忘れていたけど、彼女の派遣会社ってわりと
……俺だって、命は惜しいんだい!