はてさて、無事外に出てきたダミ子さんに、喜び勇んで昼食を振る舞った俺なのだが。
「ご、ごちそうさまですぅ……」
「あれ?ダミ子さんまだ調子悪い?全然ご飯食べてないけど」
「あっ、えっと……その、引きこもってた時にお菓子を……」
「なるほど、ダメだぞー間食のし過ぎはー」
「あ、あははは。はい、気を付けますぅ……」
いつもとは違って、出された食事をほとんど残していった彼女の姿に、少なくない違和感を抱くことに。
初めて出会った時からそうだったが、彼女はわりと食い意地の張ったタイプの人物。ゆえに、そんな彼女が昼食の五割以上を残す、というのは異常事態の何物でもなかったのだが。
(……本人が大丈夫、と言っている以上は気にしすぎるのもあれだしなぁ)
ダミ子さん自身が大丈夫と述べているのだから、そこを疑いすぎるのもアレか、とその日はスルーした俺なのであった。
……が、その日以降ダミ子さんの食は細くなるばかり。
食べることが生きる中で一番の喜び、くらいの勢いである彼女らしからぬ様子と、残された食事の量と比例するかのように生気を失っていくその顔色を見れば、流石の俺もなにが起きているのかを気が付くというもの。
「つまりダイエットか……」
「なんでやねん」<バシィッ
……軽い冗談のつもりだったのだが、TASさんからのツッコミは思いの外痛かったのであった。
──話を戻して。
あれだけ食の太かったダミ子さんが、ああなってしまった理由。……基本鈍い方の俺も、ここまでくれば気が付くというもの。
「……まぁうん、
「
そう、あれだけのものをあそこまで圧縮しているのだから、それによって食道が圧迫されて物が食べ辛くなったり、はたまた気道が圧されて呼吸が苦しくなったりしてもおかしくはない。
──つまり、誤解を恐れずに今の彼女の状況を説明すると。
「即ち胸が敵」
「……
「大丈夫。TAS的には無い方が回避力アップするから」
「これはポジティブ、と言っていいのだろうか……?」
ダミ子さんを苦しめているのは
はてさて、ダミ子さんが現在とても苦しい状況にある、ということがわかったわけなのだけれど。
……これ、俺がここで作戦会議に加わるの、とても宜しくないのではなかろうか?……みたいな気分がしてくるというか。
なんとなく居心地の悪くなってきた俺に、しかしTASさんはゆっくりと首を横に振っている。
「お兄さんが単独行動してる方が、よっぽどダミ子の負担になる」
「……あー、俺と他の面々とで、そこらに視点が分散するのが良くない……みたいな感じ?」
「そもそもの話、彼女がああやって苦しくなっているのは、『自分が衆目を引く』ことそのものに負い目を感じているから……というところが大きいからね」
今回彼女があんな風になってしまっているのは、偏に彼女自身が『自分が悪い』と感じているから、というのがほとんどを締めている。
雑に言えば、今まで彼女をジロジロ見る輩に対して、TASさんが視界ジャックを施していたのが逆効果だった……ということになるわけだ。
……いや、こういうのはジロジロ見てくるやつが悪い、で良いと思うのだが。
彼女自身(自覚は薄れているとは言え)以前男性だった記憶があるからか、そこら辺を責める気になれない……みたいな感じなのだと思われる。
「変なところで生真面目と言うか……」
「まぁ、その辺りは彼女の個性ですし……」
で、向こうがどう思っているにしろ、もし仮に彼女が
……結果、誰も幸せにならないことになってしまう、と。
なので、俺は迂闊にもダミ子さんに出くわさないよう、こうしてこちらの会議で大人しくしている必要がある、ということになるのであったとさ。
「……気まずい!!」
「じゃあ耳栓と目隠ししとく?」
「お願いしたいですけど大丈夫だよね?君達俺が進行役しないからって変なことしないよね??」
「…………ええと、頑張るつもりではありますが」
「頑張るじゃダメなんだよ確約して?!」
なお、その美麗さゆえに衆目を引くことはあっても、その姿形のみで衆目を引いた経験があるのは、実はMODさんくらいのもの(それもセレブモードの時のみ)ということもあって、どうにも会議が難航しそうな気配を感じ取ってしまった俺は、微妙に虎と狼に挟まれた気持ちになっていたのであった。
……いや君ら仮にも思春期の女の子でしょ!?もうちょっと自覚を持ってお願いだから!!
「女子である前にTASでありたい。そんな今日この頃」
「カッコつけてもごまかされねーからね?!」
「ちぇー」