さて、いつの間にやら年末である。
今年も色々あったものだが……よくよく考えると、一年の間にあれこれ起きすぎでは?人だって滅茶苦茶増えたし。
「元々私とお兄さんだけだったのに、今ではその三倍を越えてる。一気に大所帯」
「なー、ホント増えたよなー」
TASさんとの付き合い自体はそれなりの長さなのだが、それを踏まえるとこの一年という短い期間の間に、新たな出会いが集中しすぎ……という気分になるというか。
なんというかこう、一つや二つくらいは来年とか去年とかに回してくれても良かったんじゃね?……みたいな気分になるというか。負担がバカにならねーよというか。
「人の出会いと言うものは、それこそ基本的に奇縁だからね。人の意思でそれをどうこうする、というのは烏滸がましいことなんだよ、きっと」
「そういうもんかねぇ」
こたつでぬくぬくしているMODさんの言葉に、思わず首を捻る俺である。
いやまぁ、人がいきなり降って湧いてくるわけでもなし。
以前からずっと近くに居たはずなのに、それでも出会ったのは今年……などという結果から、それこそ奇縁としか呼べない縁が働いている、と解釈するしかないというのもわからなくはないのだが。
「私が……負けた、だと……っ!!?」
「わーい、やりましたぁー。私でも、運ゲーならまだなんとかなりますねぇー」
「いえ、今のは運は運でも、いわゆる悪運の類いのやり取りだったような気がするのですが……?」
こたつ近くの液晶テレビの周りには、CHEATさん達三人が集まってゲームをしている姿が見える。
どうやらボードゲーム系の作品をやっているみたいだが、とても珍しいことに、そこには一位に立つダミ子さんの勇姿が存在していたのだった。
……そういえばこの人、確か
だから、運任せの勝負をさせると変な結果になってしまう、ということなのだろう。……AUTOさんも不可解そうな顔をしてるし。
とはいえ、なにも悪いことが起きていないのなら、特に問題にすることもないわけで。
そう納得した俺は、持ってきたモノを机の上に置き、台所へと踵を返したのだった。
「……あ、お兄さん。申し訳ないのですが、味見の方をお願いしても?無論、私にも味覚センサーは搭載されているのですが、一応普通の人の意見も聞いておくべきではないかと思いまして」
「へいへーい。……結構辛くない?これ」
「え?……あ、ああ。なるほど。これは辛すぎるのですね、ははは……」
(メカのはずなのに情緒豊かダナー)
いやまぁ、中身は魔王なんだから当たり前のような気もするのだが。……当たり前か?
ともあれ、戻ってきた台所では、今日の夕食の準備を手伝うDMさんの姿がある。
メカなのに料理できるんだ?……みたいなツッコミはやめよう、そこらの人より調理技術は高いぞこの人(1敗)
……まぁご覧の通り、味覚と感性の同期がまだまだ甘いらしく、普通の人に食べさせると微妙に眉を顰めることになるようなものも、たまにお出しされることがあるのだが。その辺りはまぁ、要鍛練というやつである。
……え?魔王が料理をしてることにつっこめ?それこそ今更では?
「お兄さんの順応っぷりが凄い。これはもう、お兄さんを驚かせるために月を落とすくらいはしないと」<ワクワク
「おう、俺を口実にして自分のやりたいこと主張するのは止めような、いい加減」
「むぅ、お兄さんの存在を手前にすれば、大抵の無茶は笑って許して貰えるのに」
「お兄さん、その場合の笑みって大抵引きつってるヤツだと思うんだよね」
なお、TASさんは不満なのかご満悦なのか、よく分からないテンションで新たな厄介事を招き寄せようとしていたため、罰として脳天にチョップをあげることになったのだった。……対して痛くなさそうだったので、効いてるかは微妙である。
「最近は除夜の鐘も鳴らさなくなったから、若干物足りないなぁ」
「これもコンプライアンス。やはりここはレジスタンスの出番」
「いやだから月を落とそうとするんじゃない!無茶苦茶になるでしょうが地球環境が!!」
「仕方ない、じゃあ卵をお願い」
「はいはい、半熟でいい?」
「んー」
(……流れるように話が変わったな、今)
年越しなんだから蕎麦だよね!……ということで今日の夕食は温かい蕎麦だったわけなのだが、TASさん的にはエビ単体は物足りなかった様子。
なので予め作っておいた温泉玉子を持ってきて、彼女のどんぶりに投入する俺である。……なんかMODさんからの視線がジトッとしてるな?
まぁともあれ、年明けまでおよそ十分前、珍しく夜遅くまでうちに居る電脳ガールズ達との年越しも佳境、といったところだろうか?
「……ふと思ったんだけど、俺がみんなにお年玉とかあげたらやっぱりコンプラ違反になったりするんかな?」
「はい?……ってああ、そういえばお兄さんは成人でしたね。いつも変なテンションなのでてっきり同級生か低学年かと」
「おおっとなんか知らんがAUTOさんが好戦的!これはあれかな、さっきのレースで散々足を引っ張ったのを根に持ってる感じかな?」
「寧ろ何故根に持たないと思ったのです???」
へへへ、やベーAUTOさんが本気だ!あの目は俺を確実に
そんな感じでわいわいと過ごしつつ、大晦日の夜は更けていくのだった……。