うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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新年でも特に変わらず

「初日の出を確実に見るために、太陽の動きを止める」

「他の人達どころか、地球環境にまで悪影響ありそうなことをしようとすなー!!?」

 

 

 いやだって、最早眠いし……。

 みたいなことをぼやくTASさん以下複数名を連れ、近くの神社まで歩き始めた俺達。

 

 新年と言えば初詣でしょ、的なノリから朝早くに家を出たわけなのだが、この辺りから近くの神社までとなると結構な距離になる。

 それはつまり、場合によっては俺達が向こうに着くよりも先に、太陽が水平線から登ってしまう可能性がある……ということにもなるわけで。

 ゆえに飛び出したのが、さっきのTASさんの無茶苦茶な話だった、ということになるのだった。

 

 ……え?大晦日からずっと起きとけば、そんな風に時間に追われるようなこともなかったんじゃないかって?

 

 

はいはい、私が悪ぅございましたー……

「よくよく考えたらCHEATは中学生。夜更かしは厳禁だった」

「ダレガネムサニタエラレナイヨワヨワボディダッテー!!?」

「最早この流れ自体懐かしい……」

 

 

 まぁうん、一部の人が徹夜に耐えきれずに寝ちゃった、というところが大きいわけでですね?

 TASさんの着物の襟首を掴んで前後に揺らしながら大声を出すCHEATちゃん、というある意味懐かしさすら感じる光景に苦笑を浮かべつつ、その辺にしておけと声をあげる俺である。

 

 

「アァ゛?!」

「君がそうして叫ぶ度、大人なのに睡魔に勝てなかったダミ子さんがどんどん惨めなことになっていってるから、ね?」

「えぁ?」

「ふふふふぅーそうですよねぇー大人なのに眠気に負けていつの間にか意識が飛んでたとかぁ、もう色々とあれですよねぇー……」

「ぁ゛。……あいやその、別にダミ子を笑ったわけでも貶めたわけでもなくて……」

「いいんですよぉー別にぃー、私が中学生と大差ないほどにお子さまだってことでもぉー……」

「……微妙に煽ってないかこいつ」

 

 

 殴っていいか?と問い掛けてくるCHEATちゃんに止めときなさいと首を振りつつ、改めて神社へと歩を進め直す俺達であった。

 ……さて、彼女ら二人が寝坊した、というのも行動が遅れている原因の一つではあるが、実際一番時間を食ったのは別のことだったりする。

 

 

「……にしても、MODさんも色々できるようになったもんだねぇ」

「流石に他人相手に直接反映させるのは怖かったから、他の服の見た目を変える……という形にはなってるけどね。でもまぁ、自身にしか使えなかったことを思えば、大分成長したものだと自分でも思うよ」

 

 

 そう、今現在(俺以外の)女性陣が着ている着物。いわゆる振袖というやつだが、これはMODさんが家にあった服にMODを被せたものなのである。

 初詣なんだし、折角だから着飾ってみては?……みたいな俺の発言が受け入れられた形だ。

 

 以前彼女は世界をどうこうするつもりはない、ということを述べていた。──彼女の持つ技能を最大限活かすには、世界をどうにかしようという意思の方が必要だ、みたいなことを言われた時の返答だ。

 それゆえ、彼女の能力の成長の余地、というものは断たれたように見えたのだが……あのあとメカ娘化したDMさんが改めて話をして、その意思を少しばかり曲げさせることに成功したのだとか。

 

 

「人聞きの悪い。私は少し視座を変えて、『他者のためになにかをすることも、ある意味では世界を好きにすることと変わりませんよ』と述べただけなのに」

「そういうのって詐欺師のやり方だとお兄さん思うワケ」

「まぁまぁ。……実際、今を良くするというのは今を変えないということではない、ということにはわかっていたからね。だから単なる気の持ちようだ、と思い出したようなものさ」

 

 

 ……詳しいやり取りはわからないが、『今を守る』ことは『今を保つ』ことではない、的な話になったのだろう、ということはわかる。

 結果、DMさんの言う通り少しだけ()()()()()()MODさんは、自身の力の適用範囲を少し広げることに成功したのだった。

 まぁそれでも?自分の変化のように他者を変化させるのは少し抵抗がある……というか万が一失敗した時が怖いので、あくまで自分以外に使う時は物に対して、という風に徹底はしているみたいだが。

 

 そんな感じで生み出された着物達だが、他者付与型ではない以上それを着る、という行程が必要となるわけで。

 着物の着付けといえば、それなりに時間の掛かるものであるというのは有名だろう。それが単純に考えて六人分である。……そりゃ、出掛けるのも遅くなろうというものである。

 

 

「AUTOさんが居なかったら、もっと時間が掛かっていたでしょうね」

「そこを言うのであれば、TASさんが自分で着付けができたこと、DMさんも他人に着付けができるようになってくださったことも語るべきでは?」

「MODさんがそういうの苦手なのは意外でしたぁ」

「私の場合はそのまま変化(MODの適用)すればいいから、わざわざ着付けなんてしないからね……」

 

 

 なお、MODさんは当初『振袖を着ているMODさん』に変身しようとしていたが、他の面々から『風情がない』『楽をするな』などと言われた結果、渋々他の面々に着付けして貰った、などという裏事情があったりする。

 ……前々から思ってたけど、この人意外とズボラだな?

 

 

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