うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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雑な処理は禍根を残す()

「冬将軍を倒した結果、私達に待ち受けていたのは穏やかな春の兆しであった……」

「前回と今回の間に、極めて雑に処理される冬将軍さん可哀想……」

 

 

 積もりに積もった雪が溶け、あわや周囲一帯が水没する危機だったがそれも(TASさんが)なんとかして。

 雲が割れて差し込んでくる日光に目を細目ながら、帰路を急ぐ俺達である。

 なんでって?……気化熱ですっげぇ寒いんだわ()

 

 辺り一面埋まるほどの雪が、一瞬で溶けた際に奪われる熱量……というのが本来どれくらいなのかはわからないが、少なくとも普通にしてたら溶けた水が凍るくらいの低下量な気がしてくる、というのは確かな話。

 ゆえに、滅茶苦茶寒さに震えながら帰路を急いでいた、というわけである。

 ……え?急ぐんならさっきの背面削りを、今ここでTASさんにやって貰えばいいんじゃないのかって?それ俺が死ぬやつですよね???色んな意味で。

 

 

「そうだね。私一人なら空気の壁を刺激しない、なんてこともできるかもだけど……お兄さんの安全までは保証しかねる、かも」

「だよねー!問題はそこだけじゃないけど、仮に安全だとしても無事に止まれる気がしないんだよねー!!」

「む。そんなことはない……よ?」

「なんでそこで疑問系が返ってくるのかなぁ!?」

 

 

 いやね?さっき冬将軍の元に向かって爆進してたじゃんこの子。ただほら、あの速度(流れ星みたーい)だと急には止まれないでしょ普通。

 だからこう、そこからどうやって止まるんだろうなー、なんて風に見てたのよ、俺。そしたら最終的にどうなったと思う?

 

 

『──来タカ、挑戦者ヨ。我ハ冬将軍、汝ノ打倒スベキ……イヤチョッ、マッテハy()

「──ふぅ、こんなところに丁度良いブレーキが」

「ええ……(困惑)」

 

 

 いつの間にやら空中で体勢を変えていたTASさんは、ドロップキックのような姿勢で冬将軍に突撃。

 ……そのまま相手の顔面を蹴り飛ばしたTASさんは、自身の持っていた運動エネルギーを全て冬将軍に渡す、とかいう意味不明なブレーキングによって、相手の打倒と自身の安全な停止の両立に成功したのである。

 

 なお冬将軍に関してだが、TASさんの第一宇宙速度級の運動エネルギーを諸に叩き込まれ、あっという間に地球の重力圏から解き放たれて宇宙の彼方に飛んでいきましたとさ。

 ……確かにはた迷惑な奴だったが、それにしたって酷い最後である。

 

 

「猛吹雪で星を確かめられなくして、方向感覚を失わせて来た冬将軍。そんな彼が今度は自分が、右も左もわからぬ無明の荒野に叩き出された形になる。自分の現在位置を確かめようにも、自身の纏う吹雪が邪魔でどうしようもない」

「なんでそんな酷いこと思い付くの君?」

 

 

 今まで自分がやって来たことの、因果応報だとでも言いたいんです?

 ……などとツッコミながら、家路を急ぐ俺達なのであった。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「なるほど、それで今日は鍋なのですね」

「蟹食いたいってTASさんも言ってたからなぁ」

「むぅ、アレに関してはお出掛けしたい、って意味であって……」

「というか、そもそもあの時ちゃんと蟹食べたじゃん?」

「何度食べたって良い。蟹とはそういうものだ」

「突然なにを言ってるんですかぁ……?」

 

 

 そんなわけで。

 可及的速やかに温まりたいと願った俺達によって、選ばれたのは蟹鍋でした。

 ……まぁ、CHEATちゃんの言う通り、このメンバーでの蟹鍋は実は二度目なわけだが、MODさんの言う通り蟹なんて食える時に幾らでも食えば良い、みたいな感じであるわけで。

 そんなわけで、先日よりも更に豪勢な感じになった、スーパー蟹鍋タイムの開幕である。

 

 なお、そもそも何故蟹鍋を選んだのかと言うと……実はこれ、冬将軍からドロップしたモノを使った蟹鍋だったりするのであった。

 

 

「……それは食べても大丈夫なやつなんですか?」

「まぁ、神様の死体から様々な食物達が生まれた、なんて神話もあるし。そういう意味では、わりと普通の話なんじゃないかな?」

「……お兄さんしっかりして!そこは多分慣れちゃいけないところだよ!?」

 

 

 それを聞いたDMさんが、とても微妙な顔をしていたが……いわゆる食物起源神話においては、死んだ神様が様々な食物の起源となった、みたいな話も多く存在している。

 なんならパンは神の肉、なんて話も存在するので、その辺り気にする必要もないんじゃないかなー、なんてことを思ってしまう俺なのであった。

 ……まぁ、DMさんに肩を思いっきり揺すられながら諭されてしまったわけなのだが。

 でもほら、TASさんと関わってるとこういうのは日常茶飯事だし?

 そもそもDMさんも調理とか手伝ってくれてたじゃん?……え?流石に冬将軍がドロップしたモノって知ってたら止めてた?

 

 などと、あれこれと話し合いながら、蟹の鍋を突っつくこの一時の幸福よ。

 やっぱ寒い時には鍋だよなぁ、などと頷きながら、黙々と蟹の殻を剥く俺なのであった。

 

 なお後日、DMさんの忠告が的中する事態があったりしたが……それはまた別の話、というやつである。

 

 

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