うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ふりだし、とは言うが?

 はてさて、三月も終わり。四月に入り、なんだかわけの分からぬ合間に一年巻き戻った様子。

 ……なにがあったのか、というのは()()()()()わからないが、どうにも思い出したくないという感覚だけは残っているため、恐らく凄惨なことになってしまったのだろう……という予測だけは立てられたり。

 

 その辺しっかり覚えているであろうTASさんに尋ねてみたところ「……思い出さない方がいい」という言葉を賜ってしまったため、俺は自身の感覚を信じることにしたのであった。

 まぁうん、生きてるだけでハッピーってやつだよな!うん!

 

 

「……しかし、蓄積型というと……今ここに私が居る以上、この時期の私がやっていたはずのことは……?」

「もう過ぎた過去。貴方は太鼓に夢中になる必要はない。ダンスも必要ない」

「…………今思えば大分黒歴史ですわね、それ」

 

 

 そんなわけで(?)、早速ループに突入した影響というものを考察するため、あれこれと思い出せる範囲で過去のあれこれを列挙してみたところ。

 直近のイベントとして挙げられたのが、ゲームセンターでのAUTOさんとの出会い、ということになるのであった。

 ……いやまぁ、正確にはフリーマーケットでへんてこな買い方をする、みたいなやつもあるのだが、あれに関しては人が増えても対してやること変わらんので……。

 

 

(……結局、あのクマのぬいぐるみはなんだったのです?)

(単に欲しかった……というのが五割。残りはあの時点での私のレベルの確認。()()()()()()()()()()()()()?……とかを探るのに有用)

(なるほど、趣味と実益を兼ねていた、と)

 

 

 ……なんかTASさんとAUTOさんがひそひそ話をしていたので気にはなったものの、「……知らない方がいい」とさっきの俺の死亡確認云々に近い対応を返されたため、多分俺の付いていけない部分の高度ななにかの話なのだと思って気にしないことにした。

 

 ともかく。

 直近で大きなイベント、というのがAUTOさんとの出会いだった、というのは確かな話。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?……という疑問もなくはないが、その辺りを知っているはずのTASさんが黙して語らない以上、現状必要のない情報なのだろうからこれもまた無視である。

 

 なので、今回考えるべきことは『AUTOさんとの出会いのタイミング』が消えたことによって生まれた空白に、なにを詰め込むべきなのか?……ということになるのだけれど。

 

 

「……うーむ、周回得点でキャラが既に加入済みの状態で、本来そのキャラの加入イベントが始まる場所に行くとなにか良いものが貰えるかもしれない……って理屈はまぁわからんでもないけど、あんまりにもゲームっぽすぎるというか……」

「まぁ、私達の技能がそもそもそういうものに紐付きやすいですから……」

 

 

 AUTOさんを伴って件のゲーセンに来店した俺は、家を出る時にTASさんからもたらされた情報に首を傾げていた。

 

 ……いやまぁ、言ってることはわからんでもないのだ。

 普通、二週目が存在するゲームにおいて、キャラが加入しっぱなしになる場合──そのキャラが二重に加入しないように、なにかしらの処置が施されているというのは。

 今回の場合、本来AUTOさんと初めて出会うのはこのゲーセンでのことだが、こうして隣に彼女が既に居る以上、ゲーセンで衆目を引いている謎の金髪ドレス少女……というものは幻と化していないとおかしいのだ。

 

 改めて言われると、ほんっっとうに黒歴史ですわね……とほんのり顔を赤くするAUTOさんを横目に、ゲーセンの中をざっと見渡す俺。

 ……見たところ、あの時のように人だかりができたりは……できたりは…………?

 

 

「……あるんだけど、人だかり」

「ええっ?!」

 

 

 ……無いと思っていたのだが、俺の見間違いでなければ滅茶苦茶人が集まってる気がするんだけど?

 そんな俺の言葉に、そんなバカなと声を挙げたAUTOさんだが。……視線を向けた先にはっきりと人だかりがあることを確認し、思わず困惑したような表情をこちらに向けてくるのだった。

 

 よもや、彼処に二人目のAUTOさんが居るのではあるまいな?……そんな疑念のこもった視線を交わしたあと、思わず逡巡する俺達である。

 

 いやだって、ねぇ?

 これでもし、本当に二人目のAUTOさんが居た日には、俺達はどう行動するのが正解だと言うのか。

 というか、こういう展開に定番なのだと、下手するとこっちか向こうのAUTOさんが『出会った瞬間に』消滅する、なんてパターンも起こりうるわけだし。

 いや寧ろそれならまだマシで、もしかすると二人のAUTOさんが対消滅する、なんてことも……?……と、思考が悪い方向にしか行かないのである。

 

 とはいえ、ここで立ち尽くしていてもなにも解決しない。

 そういうわけで、俺達はどちらからともなく止まっていた足を前に動かし、人だかりの中を掻き分け進んだのだけれど。

 

 

「──遅い。待ちくたびれた」

「「なんでぇ?」」

 

 

 そこで待っていた人物──今頃家で留守番中のはずのTASさんの姿に、思わず二人揃って間抜けな声を挙げることとなったのであった。

 ……いや、マジなんで居るの君???

 

 

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