うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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目指す星は一際高く

 ──とはいえ、このまま無策に突っ込んでもさっきの二の舞になるばかり。

 ゆえに彼女が、「少し休憩致しませんこと?」と声を挙げるのは既定路線であり、それをTASさんが受領するのもまた、ある意味既定路線なのであった。

 

 

「……滅茶苦茶啖呵切ってましたけど、なにか勝算でもあるんです?」

「いいえ?全然?なにも?」

「おぃィ?」

 

 

 ……思わず言葉尻が荒くなったのは許して欲しい。

 いやだって、あんだけ「やってやるぜー!」みたいなテンションしといて、なんにも策は無いって。……なんでやねん、ってツッコミたくなるのも仕方なくない?俺悪くなくない??

 

 

「まぁ、なにをしたのか?……という部分には、ある程度察しが付いているのですが」

「……ほう?なんだぁ、ちゃんと勝算はあるんじゃないですかぁ、焦らさないでk()「時間停止」……なんだって?」

「だから、時間停止・あるいはそれに類似したなにか、ですわね。……止まっていたのが私達だけということを考えれば、より正確には『特定時間の消し飛ばし』、なんて方向性も考えられますが」

「どこのボスキャラの技能!?」

 

 

 とはいえ、そこは流石のAUTOさん。

 TASさんがどうやってさっきの勝ちをもぎ取ったのか?……という原理くらいは勘付いていた様子。

 それはつまり、彼女の技能的に最早逆転は確実なもの……ということになるはずだったのだが。そんな俺の予想を遮るように彼女からもたらされた答えは、どう考えてもこんなタイミングで出てきてはいけないタイプの技能なのであった。

 

 ……どこぞの漫画とかを思い出すそれは、恐らく『ゲームをプレイしていた』時間を消し飛ばした、ないしそれに近い事象をもたらしたなにか、ということになる。

 正直聞いていてもよく分からないが、確かに俺達が一瞬気を逸らした、と思っていた間に、TASさんは勝利を納めていた。

 これが成立するのは、()()()()()()()()()()()()()()()()か、その反対──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことしかありえない。

 

 前者は時間停止、後者は時間飛ばしということになるわけだが……どちらにせよ、一体いつの間に超能力に目覚めたのか?……と問い詰めたい気分である。

 いやまぁ、人力TASというのも大概あれだが、あれは要するに()()()()()()()()()()()()()()()ことで得られるもの。……言い換えると、本気で死ぬ気で命を燃やして挑めば、()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 それに引き換え、時間停止だの時間飛ばしだのというのは……。

 

 

「どういう人類の進歩があるとしても、それを生身でできるようになるとは思えない……ということですわね?」

「まぁ、そういうこったね」

 

 

 思わず、むっとした態度を取ってしまう俺である。

 いやまぁ、ちょっと前からさらっと異世界旅行とかしてた辺り、今さらなにを言ってるのか?……みたいな部分もあるのだが。

 ……なんだろう、気のせいならいいんだけど頭の中のTASさんが「?できるようになるよ?生身で、そのうち」とか言ってる姿が出てきたんですが?

 

 思わず頭を振って、あまりにもあんまりな想像を拭う俺である。……AUTOさんが「なにやってんのこの人」みたいな顔でこっちを見てるけど無視だ無視。

 

 ともかく。

 今回のTASさんが、かなり無法な手を使っている、というのは間違いなく。

 そしてそれに勝つためには、こちらも相応の無法に手を染める他ない、というのは間違いないだろう。

 

 

「と、言いますと?」

「極端な話、TASさんのやることって人間ができることの延長線上なわけで。……だったら、AUTOさんがTASさんのやってることを()()()()、なんてこともできておかしくないんだよ、だって所詮それは()()()()()()なんだから」

「……随分と大きく出ましたわね」

 

 

 で、その無法と言うのが、AUTOさんのTAS化である。

 ……なにを言ってるかわからないと思うので、詳しく説明すると。

 

 AUTOさんの能力は、一定のルールがあるモノの最適化・最善化である。

 ()()()()()()()()()()()()()ため、ある程度の限度はあるものの……その能力は、一部分野においてTASさんの追従を許さないほどの練度を誇る。

 とはいえ、あくまでも出せるのは最善・最適。横紙破りで最速を叩き出すTASさんには、勝ちきれないことも多くあった。

 

 ──ゆえに、考え方を変える。

 AUTOさんのままではできないことがあるなら、それができる相手になればいい。

 

 TASさんのそれは、本来それをミスなくできるのがおかしい……というだけで、部分部分で見れば普通の人にもできることの集合でしかなかったりする。

 ──つまり、AUTOさんの性質上、彼女の真似ができてもおかしくないのである。

 

 無論、そのままでは単なる真似にしかならないが──彼女は機械ではなく人間。つまり、二つの要素を組み合わせる余地があるのだ。

 

 

「つまり、貴女が目指すべきなのは正確無比な操作技術で修羅達の中を突き進む者──即ち『サイボーグ姉貴』!」

「なんだか矛盾してませんこと?」

 

 

 ロボットのような正確無比な技術と、それを的確に見極め使い分ける人の心。

 その二つを合わせたパーフェクト・ソルジャー。

 それこそが今彼女が進化すべきモノ、と俺は声を大にして訴えるのであった。

 ……え?AUTOさんが微妙な顔をしてる?なんでさ。

 

 

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