うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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束の間の休息を楽しむべき

 はてさて、四月である。

 

 ……前回の会議からまだ一週間も経過してないこの日、俺達がなにをしに来たのかと言うと……ご覧の通り、今日はみんなで花見をしに近くの公園にやって来ていたのであった。

 

 

「……よく考えてみると、私達ってこの時期に軽率に外に出て来ていて大丈夫なのかい?」

「大丈夫。基本的に特定のタイミング以外は、わりとフラグチェック雑だから」

 

 

 というか、じゃないと前ループからの仲間が増えても、実際に運用できるタイミングがほとんどないし。……とはTASさんの言。

 

 要するに、今回のあれこれはみんな背景(後ろ)であれこれしているのに当たる、ということになるらしい。

 まぁうん、花見をした記憶はあんまりないし、そこでなにか重要なことがあった覚えもない。

 ……唯一、TASさんと二人でフリマに行ったことが思い起こされるが……アレに関しては発生時期が春であるというだけだし、なんならAUTOさんと会うより前に終わってる話なので関係がな……ない……のか?

 

 

「……なんでそこで断言なさないので?」

「いや……よく考えたらあれの起こった時期が明確にわからんというか……」

「はい?」

 

 

 ほんのり話題に上がったAUTOさんが聞き返してくるが、俺としてはそれどころではない。

 ……いやまぁ、別に深刻な話というわけでもないのだが、よく考えたらあの話、それが起きたタイミングが()()()()()()()()()()()()()()というだけであって、その時期を明言した部分がなに一つないことに気付いた、というだけの話である。

 

 ……どこからか時系列(メタ)的にはAUTOさんと出会う前なのでは?……みたいな疑問が飛んできているような気がするが、その疑問に対する返答は至極単純である。

 

 

「俺達って毎回一緒に行動してるってわけじゃないから、単にAUTOさんが出てきていないだけで合流事態は終わったあとの話、という可能性が……」

「!?」

 

 

 そう、たまたまその時AUTOさんのことが()()()()()()()()()()()()()のなら、彼女を一切登場させずにいても問題はないのである。

 ……というか、そういう話が俺達の間には多いというか。

 

 無論、滅茶苦茶意識している話もあるにはあるが……こっちが思っている以上に前提条件がガバガバなところが多い、というのは確かなのだろう。

 ゆえに、今回みたいに花見にみんなで行く、なんて一見無茶なことが成り立つのだろうし。

 

 

「未来というのは意外といい加減。()()()()()()()()()()()()()()()()というほどに強固なモノもあれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ところも結構ある」

 

 

 そういう意味で、蝶の羽ばたきが世界を変える……なんて話は、そういう時もあるしそうでない時もある、などとTASさんはこちらに笑みを向けながら、いそいそとブルーシートを設置しに掛かっていたのであった。

 ……ううむ、未来視というのは奥が深いなー。

 

 

 

・A・

 

 

 

「あ、それはダメ。ここで貴方が突然気分が良くなって踊り出すと、それをたまたま見掛けたアイドルプロデューサーが貴方を見付けてスカウトしたいと思い出し、最終的にテレビ局が一つ吹っ飛ぶことになる」

「いやどういう流れでそうなるんだい!?」

 

 

 ……奥が深すぎじゃねーかなー、などとげんなりしてきた俺である。

 

 現状の俺達が()話みたいになっている、というのは先程触れた通りだが、この表だの裏だのという区分、こちらが思っているより随分と壁が薄いというか、区別の仕方が適当なようで。

 現在TASさんにダメ出しをされているのはMODさんだが、今回の彼女の場合()()()()()()()*1を『花見だしいっか!』と飲んでテンションハイになった結果、なにやら変なサクセスストーリーを踏んで一つのテレビ局を潰す、ということになるらしい。

 

 ……どうやって潰されるのか?についての明言がないため、結果は不明だが……彼女の言いぶりから察するに『爆破される』可能性が一番高いように聞こえるのが恐ろしい話である。

 まぁ、MODさんってどっかの国のエージェントっぽいところがあるので、その流れでテレビを見た敵対組織に『その命貰った!』、とされたのだろうとは思うのだが。

 

 

「?単なる痴情の縺れ。モテる女はとても辛い」

「愛って怖いなぁ!!」

 

 

 なお、もう分岐しない選択肢になったせいか、あっさりTASさんから明かされた結末は、愛は怖いものという普遍的(?)答えに着地する結果となった次第である。

 ……いや、どこぞの探偵ものの映画じゃねーんだから、軽率に爆発さすなし。

 姿もわからぬ爆弾犯に、そんな届かぬツッコミをぶつけつつ、当たり障りのない花見を楽しむ俺達なのであった。

 

 ……まぁ、こういうこと言ってると「以前フラグを立てていました○○です」みたいに登場してくるのがこの世界なので、あんまり油断とかはできないのも確かな話なのだが。

 不思議そうな顔をしているダミ子さんの頭を撫でつつ、団子を食べて一息つく俺でしたとさ。

 

 

*1
とてもとても不思議な水。飲むととても気持ちよくなる。お酒じゃないよ?

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