「……というかそもそもの話として、ナビゲーター役のDMさんも微妙に信用ならないんだよなぁ」
『えー、そんな失礼な。私ほど忠実なシステムもそうないと思いますけど?』
「おいこら、テメェ自分が元々なんなのか言ってみろよ」
『単なる遺跡防衛用AIでーす』
「嘘付けぇっ!!」
さて、相も変わらず黒板迷宮を歩き続けている俺達である。
……あるのだが、なにを頼りに迷宮内を進んでいるのか?……という部分で不具合の出てきた感じであった。
確かに、DMさんは現在タブレット内にてこの迷宮のマップを表示する、というこちらへの利敵行為をしているわけだが……よくよく考えたらこれ、信憑性的に微妙なのでは?
そも、CHEATちゃんに黒板の隠された使い方を示唆したのは彼女。……言うなれば真なる黒幕であり、それがこちらに力を貸しているという時点で、怪しいどころの話ではないというか。
『だからさっきから言ってるじゃないですか、私は諭した訳ではないんですって。その証拠に、こうやってお二方と一緒に迷宮くんだりまでやってきたわけでしょう?』
「でもなぁ……」
確かに、彼女が単にCHEATちゃんを焚き付け、俺達三人を迷宮内に閉じ込めたかったのであれば、こうしてタブレット状態とはいえ同行する必要性はなかったはず。
放っておけば勝手に迷宮にはまって出てこられなくなるのだから、ここにいる時点で誠意を示している……という彼女の主張もわからないでもない。
……が、同時に彼女の案内があってなお、三時間以上も迷宮内を歩かされているとなると……やっぱりわざと迷うようなルートを選んでいるのでは?……と邪推してしまうのである。
だって三時間だからね、人間の歩行速度が平均して大体時速三キロほどというのだから、単純計算で俺達は現在十キロ近くを歩いている、ということになるわけで。
……そんなに歩いてたら隣駅に付くわい、ってツッコミもしたくなるのが普通……という話なのであった。
「それから、それほど大きな迷宮をいきなり用意できるのか?……という疑問もありますわね。……いえ、この迷宮が実際に現実世界に展開されているわけではなく、私達がいつぞやかのボードゲームと同じく、
「あー……ありそう」
それと、この規模の迷宮が現実に突然現れたら、大騒動どころの話ではないだろう……みたいな疑問もある。
AUTOさんの言うように、実際は俺達があの黒板の中に吸い込まれたのだとすれば、一応の説明も付くわけだが……これがまかり間違って『実際にフィールドが展開されている』ともなれば、これから先の『今回のループ』が無茶苦茶になるのも必至、ということに……。
「……あー、いや。行けるのか……?」
「はい?」
「あーいや、これがリアルだったら大騒動だろうと思ってたけど、そういえば前回の時も大概傍迷惑だったけど、大した騒動にはなってなかったなーと思って」
「……いえ、流石に規模が違いすぎ……あー、なるほど、そういうことですのね」
『……なにをお二人で納得しあっているんです?』
そこまで考えて、言うほど大騒ぎになっていないかもしれない、という思考にたどり着いた俺である。
前回ループの同イベントを思い出して欲しい。
あの時の騒動の規模は、確かに今の状況より遥かにこじんまりとしたものだった。……だがしかし、駅の構内で人の往来の多い場所に蓋をするかのように鎮座していたあの黒板は、はたして他者の注目を一切集めないモノだったろうか?
答えはノー、本来なら積極的に撤去させようとか、それができないでも駅の職員に文句を付けるとか、そういう反応があって然るべき存在であった。
実際には、そういう反応は起こらず、周囲の人々は皆
……要するに、それと同じことが今回起きているとすれば、一応の道理は付くのである。
どれほど巨大な施設であれ、相手に『見たくない・関わりたくない』と強く思わせられるのであれば、それは共通認識的には
すなわち、この迷宮を
……まぁ、大分力業的な解決方法なのも確かなのだが。
とはいえAUTOさんもちょっと納得してしまったように、あの時周囲の人々に忌避感を抱かせた黒板と、この迷宮の構成素材である黒板は同一のもの。
更に、その黒板の出所はDMさん──人智の及ばぬ
そんな俺達の話を聞いたDMさんは、なんとも言えない表情でこんなことを呟くのだった。
『……それ、最終的に私がボスとかになるやつなのでは?』
「────そうだな!」
『笑顔で言うことではないですよね!?』
はっはっはっ。……やっぱり疑わしいんだよお前ェ!!