うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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スパイの世界にまっしぐら

 はてさて、唐突に浮かび上がってきた大問題、MODさんの加入フラグが立ってないということについてだが……。

 

 

「あー、一先ず整理しよう。とりあえず、MODさんは裏世界に顔を売る必要があると?」

「正確には、裏世界に轟く敏腕スパイ・Man Of Different(MOD)の名前を……だね」

異色の人(MOD)、ねぇ?」

 

 

 わりと無理矢理な語呂合わせに思わず苦笑しつつ、件のスパイ・MODについての情報を挙げていく俺達である。

 

 曰く、その人物はチームのようである。複数の人間達が毎度派遣されるが、その実必要とされる金額は均一。

 どんな専門的な能力を必要とされるような存在であっても、老若男女誰であっても、求められる仕事がどうであっても、それらに掛かる金額は均一、なのだとか。

 

 

「……なんでも?」

「そう、なんでもだ。例えば迷い猫の捜索だろうと、はたまた要人の誘拐だろうと、掛かる金額は一緒だよ」

「ええ……」

 

 

 なおその金額、猫の捜索だと高すぎるし、要人の誘拐だと安すぎるという微妙な金額なのだとか。

 それでいて仕事はきっちりこなすのだから、できれば大きな案件に呼び寄せたいというのが本音だろう。

 だが、そうは問屋(MOD)が卸さない。

 

 

「基本的には先着制でね、先に頼まれたモノが優先、かつ頼まれたのなら断らないんだ」

 

 

 一応、一日に受ける依頼の量は決まってるし、そうしてあぶれた仕事は次の日には白紙扱いになるんだけどね……とはMODさんの言。

 ……とはいえ、これが成立していたのは顔が売れてからの話。

 前回ループ・同時期のMODさんに関してはそもそも仕事が少なかったこともあり、依頼が舞い込むというよりは依頼を獲得しに行く方式になっていたらしい。

 

 で、今回はその前回ループ終盤のノリで仕事を受けていたため、最初の内は全然仕事がなかったのだとか。

 暫くの間は「なんで依頼が来ないんだろう?」と、半ばのほほんと過ごしていたが……途中で「違う、そもそもこっちだと私はまだペーペーだった!?」と気付き、慌てて前回ループ初期のやり方を導入し……。

 

 

「……で、結果こうなったと?」

「言ってしまえば()()()()()()()()()()だからね、今更『依頼を受けすぎてムリでした』とは言えないんだよ……」

「計画性ぃ」

 

 

 必要な名声度を集めようとした結果、こうして明らかにキャパオーバーな量の仕事を抱える羽目になった、と。

 

 ……この問題の面倒臭いところは、彼女の言う通り()()()()()()()()()()()()()()()()()()というところにある。

 今は四月の末だが、ここから彼女の登場タイミングである夏の祭りまでの余裕、というものは実はそう多くない。

 何故かと言えば、この大量の依頼達はあくまでも本命のための前準備だからだ。

 

 

「あの祭りに居たのも、そもそもを言えば()()()()()()()()()()()()、というところが大きいからねぇ」

「つまり、その仕事とやらが……」

「有名になった私に対して、とある国の要人が頼んだモノだったのさ」

 

 

 ふふん、と胸を張るMODさんに対し、微妙なテンションで言葉を返す俺である。

 

 なんでも、お忍びで日本に遊びに来ていたとある国の王女様を、空港まで無事送り届ける仕事だったとかなんとか。

 ……その王女様が大層なおてんば姫で、日本に外遊に来た際些細な反抗心から護衛達の警戒を撒き、日本の下町に飛び出したは良いものの、実はその王女様の国はとある特殊な資源の算出国であり、その利権を巡って他国の刺客に狙われていたのだそうで。

 

 で、捕まった姫を人質に自国への不利な契約を結ばされても困る、ということで最近有名になっていたとあるスパイのことを思い出した国王が依頼をし、MODさんが受諾。

 

 結果、映画一本分に当たるようなスリル溢れるチェイスが繰り広げられたとのことだが、今回の話には関係ないのでスルーである。

 ……積極的に裏社会に関わってるだけあって、話題には事欠かないなこの人……。

 

 まぁともかく、そのチェイスの最中に浴衣に着替えるタイミングがあり、かつそれを脱ぐ暇も無かったため、姫を空港に送り届け『奴は貴方の大切なモノを盗んで~』云々のやり取りをやったあと、その姿のまま近くの祭りにふらりと立ち寄り……。

 

 

「結果、俺達と会ったと。……っていうか、あのクソダサお面を他所の姫様にも見せてたのか……」

「うるさいなぁ!?そこ今引っ掛かる場所じゃないよねぇ!?」

 

 

 あのクソダサお面のまま、俺達の前に姿を現した、と。

 ……ツッコミ所は幾つかあるが、一番のツッコミ所はやはり()()クソダサお面を被ったまま、姫を空港に送り届けるため敵対組織とカーチェイスを繰り広げた、ということだろう。

 なんならその格好のまま別れの挨拶部分までやってる辺り、これが映画だった日にはB急映画の謗りも免れまい。

 

 唯一救いがあるとすれば、相手は異国のお姫様なので、あのクソダサお面もそこまでダサいとは思ってなかったかもしれない、ということだろうか?

 

 そこまで述べたところ、MODさんは顔を真っ赤にしながら俺に殴り掛かってくるのであった。

 はははは。俺ってばクソ雑魚なので暴力的手段は止めて頂きたい。腹も止めて腹も。

 

 

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