うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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スパイは辛いよ~異国人情派~

「……はい、俺がぼこぼこになったところで話を纏めますと。今回溜まってる仕事は全部消化しないとダメだけど、一人でやると確実に時間が足りないってことですね」

「その結論に至るまでに、どれくらい寄り道してるんだか……」

 

 

 ごもっともで。

 

 まぁそんなわけで、今回MODさんが抱えている問題を確認したわけなのだけれど。

 ……ふむ、解決法としてはとても簡単、ということになるのだろうか?

 

 

「と、言うと?」

「見た目が千変万化って触れ込みなんだから、俺達が手伝っても特に問題はなさそうだなー、ってこと」

「!?」

 

 

 そう、その解決法と言うのが、俺達が彼女の仕事を手伝うというもの。

 ……いやまぁ、『俺達』って言い方には語弊があるわけだが。だってほら、俺が手伝っても足手まといでしかないわけだし。

 

 

「…………?」

「……ねぇTASさん、その不思議そうな顔はなんなので?」

「この世に使えないモノなんてない」<キリッ

「やーめーろーよー!!それ絶対使えるのは使えるのでも、俺を囮に使うとかそういう系統のやつだろー!!?」

「流石お兄さん、私の思考パターンはよくわかってる」

「やっぱりー!!」

 

 

 なんてことを言ってみたところ、TASさんから返ってきたのは『大丈夫、お兄さんの天職は囮役』とでも言わんばかりの反応なのであった。……いや絶対嫌だからね!?

 

 

 

・A・

 

 

 

「嫌だって言ったじゃないですかやだー!!」

「はっはっはっ、その程度の主張で止まるようなTASさんじゃない、というのは君の方がよく理解していると思うんだけど?」

「そりゃそうだけどさー!!」

 

 

 そんなわけで(どんなわけだ)、急遽MODさんのお仕事のお手伝いを敢行することとなった俺達である。

 目標としては、本格的なゴールデンウィークが始まる前に、百数件溜まっている依頼を全て片付けること、となるわけだが……うーん、終わるのかこれ?

 

 いやだってだね、確かに内容としては──まだ名の売れていない相手への依頼だからこそ──そこまで難しいものやややこしいものはないけれど、その分数が多すぎるというか。

 仮に一つ数十分で終わらせるにしても、これだけあるとその総時間は数千分となるわけで。

 

 ……一日を分換算すると千四百四十分なのでなんとかなりそうに見えるが、この場合計測しているのはあくまでも()()()()()()()()()()()()()()である。

 要するに、移動の時間とか相手から依頼の詳細を聞く時間とかを含めていないのだ。……ってことは、それを含めた場合は下手をすると一つに一時間以上掛かる、なんて可能性も出てくるわけで。

 

 そうなった場合、総経過時間は百時間とかに膨れ上がり、何日も寝ないで依頼を続けたとしても、ゴールデンウィークまでに間に合うかは微妙なことになってしまうわけで……。

 

 

「そんな問題を解消するために、複数人でのお手伝いなんでしょ?」

「いやまぁ、そりゃそうなんだけども……」

 

 

 そうしてあれこれ計算している俺に対し、TASさんは至って気楽な様子でストレッチを行っている。

 ……いやまぁ確かに?TASさんとかAUTOさんとかCHEATちゃんとか、彼女達をそれぞれ適正のある依頼に適切に割り振ることができるのならば、この程度の仕事ならば期限内に片付けることは不可能ではないだろう。

 

 が、その場合以後のMODさんの仕事に求められる『質』とでも言うべきものが、とんでもなく爆上がりする可能性がとんでもなく高いわけでね?

 

 お忘れかもしれないが、MODさんの変身は別に身体スペックまで変貌するというわけではない。

 あくまでも見た目が変化するだけであって、例え子供からムキムキのマッチョに変身したとしても、その腕力が変化したりはしないのである。

 ……まぁ、このパターンの場合は逆に『子供の姿にしては腕力が強すぎる』ということになるわけなのだが。

 

 ともかく、単純にTASさん達を運用してしまうと、以降の依頼が()()()()()()()()()()()()()にレベルが上がってしまうわけで。

 ……いやまぁ、MODさんならある程度までは対応して見せそうな気もするわけだが、それはそれとして。

 

 そこら辺のことを説明したところ、TASさん以外のメンバーは互いに顔を見合わせたりして、このまま依頼をこなしていいのかと迷い始めたのだった。

 ……うん、なんでTASさんは平然としてるのかな???

 

 

「なんでって……今まで二人分の加入イベントをこなしたお兄さんには、わかって貰えて当然だと思うんだけど……」

「あん?加入イベントって言うと……AUTOさんとCHEATちゃんの?」

 

 

 そんな彼女は、寧ろ呆れたような表情をこちらに向けながら、俺へと疑問を投げ掛けてくる。

 ふむ……?二人の共通点、ということだろうか?

 そんなことを脳裏に思い浮かべた俺は、

 

 

「……まさか、今無茶苦茶やっても後で帳尻合わせができる、と言っていらっしゃられる……?」

「ん、お兄さん大正解」

 

 

 そういえば、加入イベントの後の二人のスペックは、飛躍的に上昇していたことに思い至り。

 ……え、もしかしてMODさんに対してもそれを期待してる……?と、彼女の思惑を推測することとなるのであった。……そういうの、獲らぬ狸のなんとやらって言うんじゃないかなぁ?!

 

 

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