うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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これは最早スパイではなく忍者だ()

 はてさて、TASさんの無茶を肯定できるような理屈が見つかったところで、俺は改めて首を捻る。

 

 ……いやまぁ、確かに加入イベント後のMODさんの成長、という変化自体は確かに発生しそうではあるけれども。

 それを期待して動くのは、余りに行き当たりばったりという他ないというかね?いやまぁ、TASさんのことだから実は既に未来視してる……なんて可能性もあるわけだが。

 

 

「?してないよ?」

「寧ろなんでしてないのかなぁ?!」

「だって、そもそもMODが言ってたし。『別に強くならなくてもいい』って」

「……いや、あれは手段があれしかないならお断り、ってだけであってだね?」

 

 

 なお、当のTASさんはこれである。もー!この子はもー!!本当にもー!!!

 ……まぁ、MODさん側がそこまで嫌がってるわけじゃない、というのは救いだろうが。

 

 

「そうなの?」

「まぁうん、DM君の言う通りにするのが一番早い、と言うのは私にもわかるんだよ。……わかるけど、私の個人的な嗜好的には、そういうのはお断りかなぁって」

「なるほど。ならそっち方面は大丈夫、今回のモチーフはダークヒーローだから」

「ダーク、」

「ヒーロー?」

 

 

 首を傾げる俺とMODさんに対し、TASさんは不敵に(※当社比)笑って見せるのであった。

 

 

 

・∀・

 

 

 

 はてさて。

 お手伝いということで現場に繰り出した俺達が、真っ先にやらされたことはというと。

 

 

「……ええと、付かぬことをお伺いするのですけれど」

「?なぁに、AUTO。これからみんなを遠方地に送り届けるため、私はSRB*1にならなきゃいけないんだけど」

「ええまぁそれに関してもツッコミを入れたいのは山々なのですがっ!……それよりなにより()()()()()()()()()、貴方」

「……?なんでって……一人に一台TASだから?」

「わけがわかりませんわ!?」

 

 

 背後からTASさんに捕まった状態で、高度数千メートル上空の飛行機の上から飛び出す、という意味のわからない行動なのであった。

 端的に言うなら『これからスカイダイビングします、後ろに背負うはずのパラシュートに変わって増えたTASさん背負ってます』ということになるだろうか。……え?なに言ってるかわからん?大丈夫、俺にもわからん()

 

 ……いやまぁ、うん。

 一応、彼女達の会話からわかることは幾つかあるのだ。

 

 まず始めに、高度数千メートル上空の飛行機に連れられて来たわけ。

 これに関しては、MODさんが受けた依頼が世界各地に散らばっている……ということから推察することができる。言うなれば、ここを拠点として世界各国に俺達を飛ばそうとしている、というわけだ。

 

 ではそれをどうやって行うのか。……その答えが、俺達が背後に背負ったTASさんにある、と言うことになる。

 普段からあちこち出歩いているTASさんだが、その移動距離というものを俺達は知らない。

 ……海外で活動していたことがあるMODさんが、仕事の最中に彼女に出会うこともあった、と証言している以上、その行動範囲は海外にも及んでいる、と仮定する必要があるが……それが真実であるのならば、一つおかしなことがある。

 

 そう、彼女は基本的に()()()()()()()のである。

 みんなで一緒にどこか遠くに出掛ける、とかでもない限り、基本的には夜に帰ってきて部屋で睡眠を取っているのである。

 ついでに言うなら、夜と言いつつもその時間は学校から帰ってきた他の不思議ガールズ達と同じくらいの時間。……夕食を食べて風呂に入ってゲームして……みたいな余裕が十二分に取れる時間配分である。

 

 そうするとどうなるのか。

 ……つまり、彼女はそこらの飛行機より遥かに速い速度で、世界各国を往復しまくっている可能性がある、ということである。

 え?ワープできるんだからそっちの方がいいんじゃないかって?

 

 

「あれは基本的に私専用。他の人を連れていけるタイプのは、設置場所に制限がある」

「な、なるほど……」

 

 

 まぁ、そんなわけでして。

 どうにも今回みたいな連続使用を前提とする場合、向いてないというか下手すると移動者同士が原子単位で混ざる、なんて可能性があるそうで。

 ……流石に恐ろしすぎるため、ワープによる移動は断念されることとなったのであった。そういう危険のないゲートタイプの場合は、単純に設置制限があるとかで無理そうだったし。

 

 と、言うわけで。

 結果としては地道に足を使って動くしかない、ということになるのだけれど、規模が一地域くらいならまだしも、今回は全世界規模である。

 幾ら走るのが速くても明らかに時間が足りないので、こうしてTASさんは空を飛ぶ覚悟をした、というわけなのですが……。

 

 

「なななな、なんで私まで飛ばされる組に入れられてるんですかぁ!?」

「無論、人手が足りないから。……自力飛行できるDMはともかく、他の人は流石にロケット飛行はできないから、それを解消するために私が増えた」

「増える方が難しい気がするんですけどぉっ!!?」

 

 

 ……うん、その身一つで空を飛ぶ、なんて経験のある人が何人居るやら。

 普通のスカイダイビングなんかは、基本的にカッコ付けて落ちてるだけなのだから、まず誰もできない・やったことのないことだろう。

 

 それゆえ、()()()()()()()()()()、TASさんが補助として彼女達一人一人に付いていく、ということになっているのであった。

 ……なに言ってるかわからん?大丈夫、俺にもわからん(二敗目)

 

 

*1
『Solid Rocket Booster』の頭文字を取った頭字語の一つ。読んで字の如く、ロケットブースターのこと

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