うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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思った以上にはた迷惑

「……結局、道中襲ってきた奴らはなんだったんだ……」

「実はこの世界はよくあるラノベっぽい世界。裏で蔓延る超能力者によって、世界は日々滅亡の危機に晒されている」

「衝撃の事実!……って言いたいところだけど、いやナイナイ。だったらもうちょっとそういう噂とかあってもいいって」

「?なんでお兄さんに()()()()()()()()()()()って思わなかったの?」

「……それが真実なら、君は乱数調整の使い方をもうちょっと考えるべきだと思う」

「?」

 

 

 異常な世界、知らぬは自分ばかりかな……などという戯れ言は置いておくとして。

 

 ともあれ、TASさんだけでもわりとお腹いっぱいなのに、その上これ以外にも色々問題が転がっているかも……などと言われてしまうと、もはや満腹を通り越して胃痛になるレベルである。

 なので、できれば彼女なりの冗談であって欲しかったのだが……うん、この顔からしてそういう話ではないらしい。

 

 

「この間は顔がモザイクになってる人にも出会った」

「……それは一体どういう能力なん……?」

「ううん、能力じゃなくてバグ。……ちょっと変なアドレス弄っちゃったみたいで、その影響が出た人」

「あれー?もしかして他のなによりもTASさんが一番ヤベー感じかなこれ???」

「可哀想だったから戻したんだけど、何故か性転換してた。顔グラと性別判定のアドレスが、その人の場合連動してたみたい」

「さらっと人の人生塗り替えてんじゃないよ!!?」

 

 

 というか、人の性別弄れるとか最早想像の範囲外だよ!?

 そんなこちらの驚きに対し、彼女は「今さら驚くこと?」とばかりに首を傾げていたのだった。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「……ああなるほど、あのお方はTASさんの被害者だったのですね……」

「世間ってせめーなー」

 

 

 日付は変わって別の日。

 性別と顔のアドレス云々の話を思い出した俺は、その辺りのことをAUTOさんに語っていたのだけれど……それに対して返ってきたのは、件の人物を彼女が本当に見掛けていた、という意外な繋がりであった。

 

 

「困っていらっしゃるようでしたので、なんとかできないかと手を尽くしたのですが……」

「ああうん、AUTOさんはあくまでもルールに則った行動が凄い、ってだけだからそういうのは専門外だもんね……」

 

 

 無論、困っている人が居れば助けるのが役目、といった感じの性格をしている彼女のこと、そんな人を見れば助けようとするのは当たり前に想像できることなのだが……。

 同時に彼女の手には負えないだろう、ということも容易に想像できてしまったため、俺にできることはどうか安らかに、と手を合わせることだけなのだった。

 

 

「いえ、別にお亡くなりになられたわけではありませんからね?」

(別の意味ではお亡くなりになってるんだけど、多分言ったら軽蔑されるか殴られるかするんだろうなー)

「……あの、そこで黙られると困るのですが?」

「余計なことは言わないのがコミュニケーションを円滑にするコツだよキミぃ」

「それ余計なことを考えた、と遠回しに肯定していらっしゃいますよね???」

 

 

 なお、不謹慎だと怒られた。

 ……女性になった時点で、一部がお亡くなりになっているとも言えるため、ある意味さっきの行動は間違いじゃないのだが……素直に言うと良くて暴力、悪くて警察に突き出されるので、流石にお口チャックする俺である。

 

 

「……まぁ、ご本人様が仰っていらっしゃいましたけどね。『息子と死に別れた』と」

「俺の黙った意味ぃ」

 

 

 まぁ、すぐに彼女からの言葉で、俺の行動は無意味だったと知らされる羽目になるのだが。

 ……っていうか、肉体が女性になったとてセクハラはセクハラなのでは?最近そういう問題よく聞くし。

 

 

「ええまぁ。ですので、病院を紹介しておきました」

「建てろと!?バベルの塔を!?」

「はい、流石に殴りますわね貴方様」

「あっ」

 

 

 やっべ、話の展開が展開だけに、思わず口走ってしまったぜ、失敗失敗(n敗目)

 ……まぁうん、げんこつ程度で済んだことに感謝しよう、うん。

 

 

「……で、結局何故病院を?病気、ってわけじゃないと思うんだけど」

 

 

 ともあれ、さっきの会話で明らかにしておく必要性のあるモノがある、というのも確かな話。

 なのでわざわざ蒸し返して、彼女に確認を取っていく俺。

 気分は探偵、大体火曜の終わり頃である。

 

 

「劇場にしようとするのは止めてくださいまし」

「おおっと、話をはぐらかすのはナシだぜAUTOさん。君は何故、性転換した相手に病院を勧めたんだい?──それは、俺がネタとして言ったものと、対して変わらなほがっ!?」

「申し訳ありませんが黙秘します!」

 

 

 そうして、ノリノリで犯人を追い詰めていたら──うん、逆襲を食らって一人だけ崖の下に突き落とされました。

 みんなは犯人を追い詰める時は、必ず二人一組以上で動いて、相手の不意の反撃にやられないように気を付けるんだぞ!お兄さんとの約束だ!

 

 

「……?半歩避ければ当たらない。常識」

「異次元回避できる人の感性でアドバイスするのは止めようね……」

 

 

 なお、そうして後頭部に大きなたんこぶを作って地面に倒れ伏していた俺に対し、TASさんの反応は相変わらずの塩対応だったので、色々染みることになったというのは言うまでもない。

 

 

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