うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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星を見るように過去を視る

「……さて、明日からはどう行動しようか?」

「どうって言うと……確か、MODさんがこの辺りの観光に適したところを案内してくれる、って話だったっけ?」

 

 

 はてさて、束の間の天体観測の時間が終わりを告げ、就寝時間となったわけなのだけれど。

 キャンピングカーの中に引き上げていく最中、MODさんから声を掛けられた俺はと言うと、明日からの行動予定について思いを馳せていたのであった。

 

 確か、途中のサービスエリアなどで話したところによれば……。

 

 

「田舎だからといって、否や田舎だからこそ見ておくべき場所というものがある……でしたか?」

「あーうん、そんなこと言ってたよな?」

「まぁ、それもそうなんだけれども。そうして私が完全に行動の選択権を得てしまうのも、なんというかつまらないだろう?」

 

 

 だから、ほんのりと君達にも意見を募ろうかと思ってね、とはMODさんの言。

 ……まぁ確かに、完全に相手の案内に任せてしまうのも有りと言えば有りだが、同時にそれはこちらが選択の自由を完全に放棄することとも言える。

 

 なにが問題なのか?……という疑問の声が聞こえてきそうだが、これってつまり()()()()()()()()()()()()ことでもあるわけで。

 要するに、完全にお客様の立場に甘んじる、という宣言でもあるのだ。

 

 

「例えばこれから山に行くとして。実はみんなが海に行きたかった、なんて気持ちを持っていたとしても、選択を放棄している場合は()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんてパターンが多いわけで。……その場合、あとからそこに案内した人に文句を投げても()()()()()()()()()責められたりはしないわけだろう?案内側の不手際、で終わるわけだ」

「もてなされる側になっていることで、意思の確認をしなかった方が悪くなる……というやつですわね」

「そうそう」

 

 

 お客様という立場になると、わざわざ意見を述べずとも向こうから施してくれるようになる。

 そしてそれゆえに、与えられるものに()()()()()()()()()ということも可能となる。……予めこちらが意思を伝えておけば、ある程度は回避できたであろうものに対しても、だ。

 

 今回の場合は、ここでこちらの意思を確認しておかない場合、明日出てくるモノはこちらにとって全てサプライズということになる。

 そしてサプライズであるがゆえに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そうなると、そこで飛んでくる意見は全て感想(結果)に変わるわけだ。……事前に聞いておけば選択肢(起因)に変わるものが、だ。

 

 それでは案内する甲斐がないだろう。

 無論、徹頭徹尾彼女が企画・運用し、俺達を楽しませようとする……というのも、旅の一つの形ではある。

 

 

「ただ、今回に関してはそういう話でもないだろう?遠出しよう、と言い出したのは君だし、それに賛同したのは彼女達だ。……私はそれなら案内できる場所があるよ、と例を提示しただけ。それを受けるか受けないかは君達に選択肢があり、そしてそれは今も変わらない。……まぁもっと雑に言わせて貰うと、さっきからソワソワしているTAS君がとても気になる、ということだね」

「あー……」

 

 

 しかして今回、俺達は()()()()()()()()()()()

 それはMODさんについても同じであるため、彼女にともすれば非難が飛ぶような状況は宜しくないだろう。

 ゆえに、彼女はみんなで考えよう、と述べているのである。みんなで考えて、みんなで出した結論ならば誰かを責めるような選択は生まれないだろう、と。

 

 ……まぁ、ここまでの話はすべてもっともらしいことを言っていただけで、その実真の目的はTASさんがなにかしそうだよ、とこちらに気付かせるためのモノだったようだが。

 

 うん、騙して悪いがじゃないが、責任の所在を明確に他人に投げられる状況において、TASさんがじっとしている保証はどこにもない。

 ここまで静かに付いてきているというのは、裏を返せば彼女には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということでもあるのだ。

 

 

「……何度か言ってる通り、私はいつもいつでも短縮することしか考えてない、ってわけじゃないよ?」

「嘘付け少なくとも今はなにかしら考えてるのはわかったぞ。じゃないとMODさんがこんな遠回しに伝えようとなんてするもんか」

「信用されてますねぇ」

「負の方向に、だけどな」

 

 

 こちらの追求に、TASさんは顔色も変えずに反論を返してくるが、そもそもその時点でダウトである。

 

 確かに、彼女もなんだかんだで一人の人間。

 年がら年中短縮することに命を賭けているわけではない、というのは本当の話。

 何故なら彼女達は概念が形を持った者ではなく、その行動に似ている概念があるからその名前で呼ばれている、という存在。

 言うなれば、『TASみたいな人』なのだ。

 

 なので、本来のTASという存在より幾らか融通が利く部分があったり、AUTOさんが機械染みた性格をしていなかったりするわけである。

 

 だが、今回の話はそれとは別。

 確かに彼女は()()()()()()()()()だが、同時にそう言われても仕方のないような行動様式の人でもある。

 ……つまり、今回みたいに疑われたとしても、それが根も葉もないことなら無反応でいた方が楽、と判断するタイプなのだ。

 いや寧ろ、その時の無反応時間(変な間)で乱数回すタイプというか。

 

 それをしないということは、このままだと選択肢が狭まってしまうと彼女が認識しているから。

 つまり、彼女には明確に行きたいところがあるのである。

 そしてそれは恐らく……、

 

 

「私が今のところ()()()()()()()()()()()()、なんじゃないのかい?」

「……困った、こんなことになるのならもっと本腰入れて操作しとくべきだった」

「ついに白状しおったぞこいつ」

 

 

 さっきから会話に関わってなかったと思ったら、俺達の視界の外(画面の外)で暗躍してやがったとは。

 そんな俺達の視線に晒されて、TASさんは珍しくちょっと萎縮したような態度(※当社比)を見せていたのであった。

 

 

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