「しかし……一体どこなんですの?MODさんが案内するつもりがなく、TASさんが興味を持つ場所というのは?」
「あー、それなんだけど。俺、一つ心当たりがあるぞ?」
「え、お兄さんがですかぁ?」
「……そこはかとなく馬鹿にされてないか、俺」
TASさんの様子を見て、顎に手を置きながら考え込むAUTOさん。
確かに、TASさんがわざわざこっちに隠してまで行こうとしている場所、というものに疑問が向くのはおかしくはないが……それに関しては既に目星が付いている俺である。
……まぁそれを言ったらダミ子さんが驚いて、その後の俺の反応に「あっ、ちちちちがいますぅ~!別にお兄さんが珍しく知的だと思ったとか、そういうわけではなくてですねぇ~!!」などと涙目で土下座し始めたりもしたが、些細なことである。多分。
ともあれ、こちらの言葉に露骨に(※当社比)反応しているTASさんを横目に、俺はMODさんの方を向きながらその答えを告げるのであった。
「それが山なのか海なのか、はたまた森とか草むらなのかはわからないけど──あるんだろ、神隠しにあう場所」
「……神隠し?それって単なる噂って言ってなかったか?」
「火のない所に煙はたたず、っていうだろ?……多分、大多数の人はMODさんの言う通り、この田舎から逃げたってだけなんだろうけど……」
「……いや、ダミ子君の発言に同意するよ。珍しく冴えてるね、お兄さん」
「と、言うことは……」
「その通りさ。
それは、先ほどの夕食の時、彼女が話題にあげたもの。──そう、神隠しである。
さっきの話では半ば冗談のように語られていたそれが、実は本当に起きていたことだったのであれば。……確かに、TASさんが興味を持つのはおかしくないだろう。
まぁそれが、たった一件だけの実例だった、というところには驚きを感じないでもないわけだが。
はてさて、神隠しである。
それが起こる理由というのは大きく分けて二つあり、片方は
これは、MODさんを筆頭に、この田舎から逃げた若者達が該当例……ということになるだろう。
そしてもう一つ、
「実際、俺達は一回それに立ち会ってるからなぁ、
「当事者?……って、あー……」
最初は半信半疑……というか、神隠しなんて有り得ないだろうとでも言いたげな様子の面々だったが、
……そう、前回ループの夏休み。俺とTASさんは
「
「……なるほど。現状の人類文明には異世界航行の技術どころか、そもそも異世界を発見する手段すら存在していない。……ですので、他の世界に連れていくという一見とても簡単な行動をするだけで、人間を神隠しに合わせることができるのですね」
「そういうこと」
このメンバーの中でただ一人、件の夏旅行に関わりのないDMさんが、納得したように一つ声をあげる。
そう、あの時俺とTASさんは他の世界へと迷い混んでいたが、それを元の世界に残っていたAUTOさん達から見た場合、いわゆる神隠しと然程の差が無い状態だったのだ。
つまり、今回TASさんが『神隠し』というワードに反応した理由は、次のようになる。
「前回ループの影響は、あくまでもパーティメンバーの引き継ぎのみ。……つまり、ダミ子さんはここにいるけど、同時に
「つまり、今もこの田舎のどこかに、他の世界と繋がっているゲートのようなものが残っている可能性がある、ということですの?」
「まぁ、そういうことになるね」
以前TASさんも言っていたが、他所の世界と繋がりっぱなしというのはあまり宜しくない状況である。
ともすれば二つの世界が融合、下手をすれば片方の世界がもう片方の世界に呑み込まれる、なんて事態も普通にあり得るわけで。
それゆえ、もし生きているゲートが残り続けているのであれば、そこから世界崩壊の序曲が流れ初めてもおかしくはなく、ゆえに彼女はその所在を明らかにしようとした、と。
……まぁ、閉じる前にちょっと利用しようとか考えていてもおかしくないのが、ここにいるTASさんなわけなのだが。
先ほどからこちらに目線を合わせようとしないTASさんの様子に、ここにゲートがあることは確実だと改めて確信する俺なのであった。
……一体なにに利用しようとしていたのやら。