はてさて、TASさんの悪巧みが露呈したところで、とりあえず明日に備えて寝ておこう、となった俺達。
……こっちが寝ている間にこっそり抜け出して、ゲートの所在の確認とか利用とかを済ませようとしないように、交代でTASさんを見張るとかいう謎の役割が発生したが、些細なことなので割愛する。
いやまぁ、見張られてるTASさん自体は、とても不満げな顔をしていたわけなんだけどね?
「……全くわからないのですが、その……不機嫌かどうか、というのが」
「結構違うよ?ほら、眉が寄ってる」
「どこぞのファミレスの間違い探しより難しいんだけどぉ!?」
なお、相も変わらず『※当社比』であるため、他の面々には理解して貰えないのであった。解せぬ。
……まぁともかく、焚き火ならぬTASの寝ずの番となったわけだが、その間TASさん自体がどうしていたのかというと……。
「いきなり増え始めましたわ」
「唐突に逆立ちしたかと思えば、腕の力だけでジャンプし始めたぞ」
「ブリッジ状態で走り回ってたね。『夜と言えばこれ』とかなんとか言いながら、カサカサと」
「忽然と目の前から消えたかと思えばぁ、何故か私の背後に居たんですぅ……『私TAS、今貴女の後ろに居るの』って言いながらぁ……」
「私相手だとごまかしにくいということなのか、特になにもせず正座していらっしゃいましたね。まぁ、代わりに周囲から異常なまでにラップ音が発生していましたが」
「それって本当になんにもしてなかったんです……?っていうか、なんでじっとしてないの君?」
「止まってると不安になる。私は風だから自由が信条」
「そんな信条どっかに投げ捨ててしまえ」
……うん、欠片もじっとしてないんでやんの。
いやまぁ、流石に俺の番になった時にはもうみんな起きてくる時間に近かったのもあって、大人しく近くの切り株の上に腰掛けてたんだけども。
……俺の目の前でだけ大人しくしてればいい、とか思ってるんではなかろうな?なんて思考が脳裏を過ったが、そもそもこの子ってばやろうと思えば
……え?じゃあ見張ってる必要なかったんじゃないのかって?
「一応、思考だけで回せる乱数は結構狭いみたいだから、あるかないかで言えば意味はあるんだよね……」
「お兄さん相手だと、どれが乱数に関わる行動か見極められるから大変。ピンポイントに必要なことを禁止される」
「……んん?遠回しに私達の対処が的外れ、と言われているような……?」
この通り、TASさん自体が微動だにしない状態で回せる乱数には限りがある。
……ざっくり言ってしまえば大したことできない、となるわけで、そうなると見張る意味は大いにあるということになるのだ。
まぁ、TASさんが遠回しに宣ったように、彼女の行動にはブラフも混ぜられているため、派手な行動ほど無関係……なんてことも普通にあるわけなのだが。
その辺り、AUTOさん達は上手く振り回されてしまった、ということになるのだろうか?
とはいえ、睡眠を必要としないDMさんに広域監視をお願いしていたため、そこまで大層なことはできていないとも思うのだが。
……え?だったら最初から、DMさんに全部やらせとけば良かったんじゃないかって?それだとDMさんだけに負担が行き過ぎてるし、ある程度は好きにさせないとTASさんが爆発する(※比喩表現ではない)から仕方ないね。
なお、この発言が
……うん、そう受け取られても仕方ないなこれは。
「さて、それじゃあとりあえず、あまり焦らしても仕方ないから件の神隠しの現場に向かおうかと思うんだけど……」
そう言いながら、MODさんは俺達を見回している。
今は朝食を終え、片付けをしている最中である。……トーストと目玉焼き・それからベーコンというシンプルメニューだが、これが中々。
俺は半熟はそこまで好きではないので完全に固めまで焼いたが、他の面々は半熟卵とベーコンをトーストの上に乗せ、バターを溶かしてまとめて食べる……などのアレンジを効かせていたのであった。
「なんでかは知らないけど、こういう食べ方って人気だよね」<モグモグ
「確かなにかのアニメで印象的だったとか。……食事描写の丁寧な作品は好まれやすい、ということなのでしょうか?」
「いわゆる映えってやつ?」
「名前が付いたのが最近ってだけでぇ、似たような概念は昔からあったんでしょうねぇ」<ガツガツ
「……俺としては、今のダミ子さんの食いかたの方がアニメ的に見えるんだが?」
「この小さな体のどこに入っているんでしょうかね、あれ」
「……うん、話を聞いてくれないかなマジで?」
なお、
……え?TASさん?職業的に仕方のないMODさんはともかく、自己満足以外に理由のない彼女には『ちゃんと噛んで食べなさい』と言い付けてますがなにか?