うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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それではこれより耐久試験を開始するっ

 微妙に気まずい空気の中、始まった昼食の時間。

 とはいえ、基本的に気まずいのは俺とDMさんの二人であり、関係のない他の面々はわりと普通に食事を食べていたのであった。

 

 

「それにしても……この量の川魚をどうやって集めて来たのです?……まさか、爆破漁のようなあからさまな禁止行為を行ったのでは……」

「してない。ちゃんと全部普通に捕った」

「なるほど、普通に捕った……()()()?」

「そう。こうして……こんな感じ?」

「まさかの野生の狩人(くま)スタイル!?」

 

 

 話題になっていたのは、短時間にTASさんがどうやって魚を集めたのか、というもの。

 確かに、律儀に釣竿を握っていては、あんなに短時間で山のような魚を釣り上げる、ということは不可能に近いだろう。

 

 いやまぁ、乱数調整で魚群を一ヶ所に纏めた上で、そこに撒き餌を投げ込みすかさず釣竿を無数に垂らす……とかすれば、短期間に大量の魚を釣り上げることも不可能ではないと思う。

 とはいえそれは、あくまで釣り場が広いことが大前提。川を泳ぐ魚を釣り上げる場合、あまり大規模なことはできなしないだろう。

 ……そういう意味では、AUTOさんが話題に挙げた『爆破漁』もこんなところで使えるモノではないのは明白だったのだが……。

 

 それに対してTASさんから返ってきたのは、あまりに原始的な狩猟方法なのであった。

 ……ああうん、狙いを付けるのに時間が掛かるとはいえ、確かに直接捕まえられるのなら釣具はいらない、というのはそうおかしな話でもない。

 おかしいことがあるとすれば、あの時間であの量を狩猟する場合、ほぼほぼマシンガンの如く川に腕を突っ込み続けることになる、ということであろうか。

 

 その光景を想像し、微妙な顔になる一同。

 それを不思議そうに見ながら、串に刺さった川魚にかじりつくTASさんなのであった。

 

 ……とまぁ、そんな感じに会話が始まったため、こちらが感じていた微妙な気まずさはあっという間に霧散したのだけれど。

 

 

「食べ終わったら本格的な調査、ということになるんだけど……DM君」

ははひゃいっ!!?ななななんでしょうか!???!

「……ええと、なんでそんなに興奮してるんだい?」

こここ興奮?!?しししてるかも知れませんね!?ところでなんのご用でしょうか!!?!?!?

「……ええとTAS君、彼女大丈夫かな?メンテナンス不足だったりとかは?」

「気にしないで。多分大自然に身を置くことで昔の感覚が蘇ってるだけだから」

「うーむ……今でこそメカっ娘だけど、元々在野の邪神だったんだからそう言うこともあるか……」

(ひぃーっ!!?)

 

 

 次いで口を開いたのがMODさんだったため、落ち着いたはずの鼓動は再びエイトビート(ロック)を刻み始めるのであった。

 ……うーむ、即死トラップかなにかかな?

 まぁ、俺は微妙に当事者から外れられているため、DMさんよりかは冷静に状況を見られているのだが。

 

 ともかく、MODさんがDMさんに声を掛けたのは、別にこちらの心境を察したからというわけではない。

 

 

「ええと、センサー……ですか?」

「ああ、生憎と私が持っているモノといえば、簡易的なガイガーカウンターくらいのモノでね。……霊的な存在が放射線とか電磁場的なモノを発していることがある、というのは半ば迷信めいてはいるものの、君ならばそういうものを察知するなにかを持っていてもおかしくない、と思ってね?」

「ああ、なるほど。えーと……」

 

 

 彼女は単純に、今ここにいるメンバーの中で、一番そういうものに詳しいだろう人物に声を掛けただけに過ぎない。

 前回のCHEATちゃんの話の時、彼女の元へと案内してくれたのはDMさんの入ったタブレットだった。

 

 とはいえ、別にあのタブレットが特別だったかと言えば……ああうん、()()()()()は特別だったから、パッドって言い換えるべきか?

 ……まぁともかく、タブレットだろうがパッドだろうが、彼女が案内していたことに変わりはないのだ。GPS機能とか無効になっていたにも関わらず、だ。

 

 ゆえに、彼女の能力というのは、こちらが思っているよりも遥かに多岐にわたるのでは?……という話になるのだ。

 一応、CHEATちゃんもそういう意味では候補に挙がるのだが……。

 

 

「ほら、見たまえよ今回の彼女の装備。ちょっと配信くらいはするかも……みたいなことを考えていたくらいで、例の黒板すら家に置きっぱなのだよ?」

「ううう、うるさいなぁっ!?あれ割りと厄物だから、初見の場所に持っていって変なこと起こしたくないんだよっ!!?」

 

 

 今回の彼女、チートコード起動のための機器を持ってきていない。

 ……いやまぁ、その手に持つスマホでもやれなくはないみたいだけど、その場合使えるコードはかなり簡易的なモノに絞られるとかなんとか。

 

 そういうわけなので、異世界に吹っ飛ばされるような危険に進んで関わらせるには、ちょっと後ろ楯が弱いということになってしまうのだった。

 

 

(……それ、暗に私なら大丈夫そうって言ってますか!?いや寧ろ、下手するとここで亡き者にしようとしている可能性も!?というか、まさか私が関係者であることも既にバレている……っ!!?)

(……とかなんとか考えてる顔してるなぁ。アドバイスしようにも念話って、DMさん側が勝手に投げて勝手に読み取ってるだけだからなぁ)

 

 

 なお、頼まれた側の心境。

 ……下手すると今バレてなくてもこれから関与がバレる、みたいな状況に追い込まれたDMさんは、調べる術があるのかないのか伝えることすら出来ずにいたのであった。

 ……これ、詰みでは?

 

 

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