うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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思っていた方向性ではなかった!

「え、えー……」

「いやはや。こっちにいた時には人付き合いも下手くそだった癖に、この写真を見る限りは向こうで上手くやってるみたいだろ?……はっはっはっ、いやはや私のあの時の苦労はなんだったんだろうねぇ?」

(……あ、微妙にイラついてるなこの人)

 

 

 これを見たのが何時なのかはわからないが、多分初めて見た時には「こっちがどれほど心配したと……っ!!」みたいな感想を抱いたのだろうなぁ、ということを容易に察せられる、米神に青筋の浮かんだMODさんの表情に思わず戦慄しつつ。

 改めて、写真に写る人物を検分する俺達である。

 

 今現在のMODさんの姿──つまりは女子高生の姿と言うべきだが、それをそのまま成長させたかのようなその女性は、しかしてMODさんと同じく性別の分かりにくい空気を纏っていた。

 具体的に言葉にするのであれば、性別不詳感があるというか?

 まぁ、彼女と変わらず綺麗な人であることも間違いないのだが。

 

 で、その女性の隣に居るのが、なんというかわかりやすいくらいにチャラい感じのお兄さんだったわけで。

 

 

「……ええと、もしかしてMODさん、心配の方向がさっきまでこっちが思ってたのと違ったりします……?」

「はははなんのことかな?どこの骨とも知れないチャラ男がうちの妹になにしとんじゃわれぇ、みたいなことはこれっぽっちも考えてないよ?」

「ええ……?」

 

 

 それ、考えていると自白しているようなものなのでは?

 ……ともかく、彼女の思考を順を追って整理すると、次のようになる。

 

 ①:幼少期の事件。目の前で妹が謎の光に呑み込まれる、というわりとトラウマになりそうなそれは、恐らく彼女の行く末を左右したのだと思われる(スパイ云々が世界各地を回るための口実作りである場合)。

 ②:そうしてあれこれする内、たまたま(理由は不明。決意を新たにするために、定期的に確認に来ていたとか?)ここで妹の遺したモノを発見。妹の無事に喜ぶ。

 ③:妹の遺していく品物を集めるうち、なにやら様子がおかしいことに。時間の流れが違うこともそうだが、心配するこちらの気持ちも知らずわりと楽しそうにしてる姿が散見されるように(こっちの気も知らないで、的な怒りはあるものの、それでもやはり無事に過ごしてくれていることに安堵する)。

 ④:この写真のように、隣に立つチャラ男が発生する。MODさんの「は?」という感情が爆発する←今ここ

 

 ……うん、数分前のシリアスを返して欲しいかな!(白目)

 まぁ、シリアス続きで息が詰まるより、遥かにマシなのも確かなのだが。

 

 ともあれ、どうにも先ほどまでこちらが考えていたよりは、遥かに余裕のある状況のようでほっとする俺達である。

 ……まぁ、だからといって例の光がDMさんのとこのやつ、という事実は伝えない方がいいと思うわけだが。

 

 

「それはまた、なんで?」

「なんでって……そんなの、例のチャラ男を今から殴りに行くMODさんが出来上がるだろうから……って、はっ!?」

「なるほど、そんなこと考えてたんだね、お兄さん」

 

 

 の、脳内会話がいつの間にか実際の発言に……っ!?謀ったな、TAS!!

 ……いや、勝手にお兄さんが自爆しただけだからね?とジト目を向けられた俺ですが、まだまだ元気です。だってMODさんには聞かれてなかったからね!

 

 

「いやはやほんとにこっちの気も知らずどこの馬の骨とも知れない相手とイチャイチャしてる写真を送ってくるとかホントなに考えてるんだろうねあの愚妹はいやはや昔っから私の神経逆撫でするの大得意だったけどここまで大きくなってもまったく変わらないとかまさに三つ子の魂百までってやつで笑っていいやら怒っていいやら判別に困るわけさあははははははははははははは」

「ひぃーっ!!?MODさんが壊れたですぅ~っ!!?」

「お、落ち着いてMODさん!ビークール!ビークールです!いつもの冷静沈着な貴方はどうしたんですかっ!?」

「ははははは私はいつでも冷静だよ怒ってないよ呆れてるんだよあの妹の一切変わらない私に対しての煽り癖をねぇえええええええっ!!!」

「「ひぃーっ!!!?」」

 

「……うわぁ」

「普段温厚な人ほど怒らせると怖いと言いますが……まさに、というやつですわね」

「あれは怖いとかで済むのか……?」

 

 

 なにせ現在の彼女、妹のことを語っているうちに興が乗ったというか想いが溢れだしたというか、ともかく己の胸の裡を語ることに夢中で周りが見えていない様子なので。

 

 ……仄暗いオーラすら見えてきそうなその様相に、付き合わされている二人はすっかり戦々恐々である。

 あんな状況で、異世界への干渉手段があるだなんて知った日には、こちらが止める間もなく異世界侵攻開始しそうで恐ろしい。

 

 そんなことを思いながら、どうやってこの愉快な()状況を納めようかと、他の冷静な面々と話し合うことになる俺なのでありましたとさ。

 ……とりあえず、頭から冷や水でもぶっ掛ける?……今の状態だと掛けた水が瞬間的に沸騰して効果がなさそう?そうねぇ……。

 

 

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